きなこのブログ

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日本の賃金は世界5位から30位に転落

 

日本の賃金はアベノミクスにより世界5位から30位に転落した
https://yuzawaheiwa.blogspot.com/2021/10/04-530.html

野口 悠紀雄・一橋大学名誉教授が、「日本の賃金はアベノミクスにより世界5位から30位に転落した」とする記事を発表しました。
 

それによると購買力平価に換算した年間平均賃金は、2000年:2020年の比率が、韓国は1.45倍と非常に高く、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは、1.2倍程度であるのに対して、日本は1.02でしかなく、この20年間、実質賃金はほとんど上昇しませんでした。
 

2020年において日本より賃金が低い国は、旧社会主義国と、ギリシャ、イタリア、スペイン、メキシコ、チリぐらいしかありません。
 

 

ではアベノミクスが始まる前の2010年のレベルがどうだったかを、ビックマックの2010年の価格(ドル換算値)で見ると、日本は3.91ドルで、アメリカの3.71ドルやイギリスの3.63ドル、韓国は3.03ドルよりも高く、日本より高かったのは、スイス、ブラジル、ユーロ圏、カナダだけでした。
 

それが2020年に至って一挙に上述のように転落した原因は明瞭で、大量に通貨を発行して意識的に円安を求めたからで、それによって日本の輸出型企業は大儲けをしましたが、賃金が上がらずしかも円安になったために、日本の労働者は国際的に見て貧しくなったのでした。

 

これこそがアベノミクスの本質だ、と野口氏は述べています。


 


日本人は国際的に低い給料の本質をわかってない
アベノミクスにより世界5位から30位に転落した

野口 悠紀雄 東洋経済オンライン 2021/10/03
一橋大学名誉教授
 

日本の賃金は、OECDの中で最下位グループにある。

 

アメリカの約半分で、韓国より低い。

 

同様の傾向がビッグマック指数でも見られる。
 

ところが、アベノミクス以前、日本の賃金は世界第5位だった。

 

その後、日本で技術革新が進まず、実質賃金が上がらなかった。

 

そして円安になったために、現在のような事態になったのだ。

 

円安で賃金の購買力を低下させ、それによって株価を引き上げたことが、アベノミクスの本質だ。


昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。

 

野口悠紀雄氏による連載第53回。



日本の賃金はアメリカの約半分で、韓国より低い
 

OECDが加盟諸国の年間平均賃金額のデータを公表している。
 

2020年について実際のデータを見ると、つぎのとおりだ。
 

日本は3万8515ドルだ。

 

他方でアメリカは6万9391ドル。

 

したがって、日本の賃金はアメリカの55.5%でしかない。
 

ヨーロッパ諸国を見ると、ドイツが5万3745ドル、フランスが4万5581ドル、イギリスが4万7147ドルだ。


韓国の賃金は4万1960ドルであり、日本の値はこれよりも低い。
 

2020年において日本より賃金が低い国は、旧社会主義国と、ギリシャ、イタリア、スペイン、メキシコ、チリぐらいしかない。
 

日本は、賃金水準で、いまやOECDの中で最下位グループに入っていることがわかる。


だから、日本人は、日本で得た賃金を外国で使っても、あまり大したものが買えない。
 

こうした状況に対処しようと思えば、アメリカや英独仏、あるいは韓国などに出稼ぎに行き、日本より高い賃金を得ることだ。

 

日本人が老後生活を送るためには、海外出稼ぎを真剣に考えなければならない時代になってきた。


ビッグマック指数」というものが算出されている。

 

これは、イギリスのエコノミスト誌が公表しているデータで、各国のビッグマックの価格を比較したものだ。
 

2021年のデータを見ると、つぎのとおりだ。
 

日本のビックマックは390円で、これを為替レートで換算すると3.55ドルになる。
 

他方で、アメリカのビックマックは5.65ドルである。

 

したがって、日本のビックマックはその62.8%ということになる。
 

上で見たように、OECDの数字では、日本の賃金はアメリカの賃金の55.5%だった。

 

ビッグマックの価格の違いも、賃金格差のデータとほぼ同じだ。
 

またユーロ圏のビックマックはドルに換算して5.02ドル、イギリスのビックマックが4.5ドルである。

 

これも、賃金格差とほぼ同じ傾向だ。
 

さらに、韓国のビックマックは4.0ドルであり、これは日本の3.5ドルより高い値になっている。

 

これも賃金の場合と同じだ。



ビッグマックの価格は日本が最低
 

ビッグマック価格が日本より低い国は少ない。

 

これも賃金の場合と同じだ。
 

このように、賃金で見てもビックマック価格で見ても、日本と外国の格差は同じような傾向になっている。


これは、ビッグマック指数がある時点での賃金の国際比較をするのに使えることを意味する。
 

これは、別に不思議なことではないし、偶然でもない。
 

ビッグマックの価格と賃金の比率がどこの国でも大体同じような値であれば、賃金における日本と外国の比率と、ビックマック価格における比率は、ほぼ同じようなものになるはずだからだ。
 

もう少し詳しく言うと、つぎのとおりだ。
 

OECDの数字は、2020年を基準とした実質賃金を、2020年を基準とした購買力平価でドル表示したものだ。
 

したがって、物価の変動を除去した実質賃金であり、また為替レート変動の影響を除去したものになっている。
 

どちらも2020年を基準としているので、2020年については、名目賃金を実際の為替レートで換算した額に等しくなっている。
 

日本人の賃金が国際的に低いという状態は、昔からそうだったのだろうか?
 

アベノミクスが始まる前の2010年がどうだったかを、ビックマックの2010年の価格(ドル換算値)で見ると、つぎのとおりだ。
 

日本は3.91ドルで、アメリカの3.71ドルやイギリスの3.63ドルより高かった。
 

日本より高かったのは、スイス、ブラジル、ユーロ圏、カナダだけだった。
 

韓国は3.03ドルで、日本より低かった。
 

この時には日本のビッグマック価格がこれだけ高かったのに、いまは低くなってしまったわけだ。
 

つまり、日本人は、国際的に見て、アベノミクスの期間に急速に貧しくなってしまったことになる。



日本の実質賃金は伸びなかった
 

なぜ日本は急速に貧しくなったのだろうか?
 

それを見るために、OECDの年間平均賃金額データで2010年の値を見ると、つぎのとおりだ。
 

日本の値は3万8085ドルで、アメリカの6万1048ドルよりかなり低い。
 

またイギリスの4万6863ドル、ドイツの4万7054ドル、フランスの4万4325ドルなどに比べても低い。

 

また韓国の値は3万6140ドルであり、日本と大差がない。
 

このように、2010年においては、OECDの数字とビッグマック指数がかなり異なる状況を表している。
 

こうなる理由は、つぎのとおりだ。
 

上で述べたように、OECDの数字は、2020年を基準とする購買力平価によって各国を比較している。
 

ところが、2010年は円高だった。

 

しかし、2020年基準購買力平価では、2020年と同じ購買力にするように為替レートを調整するので、2010年の現実の為替レートよりは円安のレートで比較しているのだ。
 

したがって、日本の賃金は、国際比較で低く評価されることになる。
 

このようなデータを算出しているのはなぜか?
 

それは、為替レート変動の影響を取り除いて、その国の実質賃金が時間的にどのように変化したかを見るためだ。
 

2020年購買力平価で計算した数字を時系列的に見れば、各国通貨表示で見た実質賃金の推移を表わしていることになる。
 

そこで、年間平均賃金額について、2000年に対する2020年の比率を見ると、つぎのとおりだ。
 

韓国は1.45倍と非常に高い値だ。

 

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは、1.2倍程度だ。
 

ところが、日本は1.02でしかない。

 

つまり、この20年間に、実質賃金がほとんど上昇しなかったのだ。
 

実質賃金が上がらず、かつ円安になったために、ビッグマック指数で見た日本の地位が低下したのだ。



アベノミクスの本質:労働者を貧しくして株価上昇
 

日本の賃金が国際的に見て大幅に低い状況は、本来は不均状態とはいえない。
 

なぜなら、もしマーケットが正常に機能していれば、日本製品の価格が安いのだから、日本の輸出が増え、円高になるはずだからだ。
 

この調整過程は、現在の上記の不均衡がなくなるまで続くはずだ。
 

しかし、円高になると、輸出の有利性は減殺される。

 

本来は、円高を支えるために、企業が技術革新を行い、生産性を引き上げねばならない。
 

それが大変なので、円安を求めたのである。
 

 

手術をせずに、痛み止めの麻薬に頼ったようなものだ。
 

このため、日本の実質賃金は上昇しなかったのだ。
 

物価が上がらないのが問題なのではなく、実質賃金が上がらなかったことが問題なのだ。
 

賃金が上がらず、しかも円安になったために、日本の労働者は国際的に見て貧しくなった。
 

日本の企業が目覚ましい技術革新もなしに利益を上げられ、株価が上がったのは、日本の労働者を貧しくしたからだ。

これこそが、アベノミクスの本質だ。 


 

 

 

野党4党が「市民連合」の呼びかけに応じる形で次の総選挙での野党共通政策に合意したのは9月8日でした。

 

しかしその後もまだ候補者が1区1人に調整されていない選挙区が多数ある中で、立民党は共産党などとの調整を行いませんでした。

そんな中 9月30日、立民党の枝野代表と共産党の志位委員長が国会内で会談し、

 

(1)次の総選挙において自公政権を倒し、新しい政治を実現する 

 

(2)「新政権」において、市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する。その際共産党は、合意した政策を実現する範囲での限定的な閣外からの協力とする 

 

(3)両党で候補者を一本化した選挙区については、双方の立場や事情の違いを互いに理解・尊重しながら、小選挙区での勝利をめざす


―の3点を合意しました。


会談では、冒頭、枝野氏が、総選挙での両党の協力について上記の3点を提案したのに対して、志位氏は、「全面的に賛同します。枝野代表の決断に敬意を表します」と応じました。

 

志位氏は更に「とくに『新政権』において両党が協力していくことが合意されたことは極めて重要な前進です。~ 心からうれしく思っています」と述べました。
 

共産党の委員長が快諾したものを第3者がとやかく言うべきではないのかも知れませんが、枝野代表の「選挙では協力して欲しいものの連立参加はお断り」という言い分は、狭量と独善以外のものではありません。

 

それでなくとも9月8日の4野党の政策合意以降も、枝野氏は突如年収1000万円以下は所得税をゼロにするという立民党の政策を発表するなど、他党への信義にもと(悖)ろうとも立民党だけが伸びればいいという態度ははっきりしていました。

 

小林節・慶大名誉教授が、「『野党共闘』は自公の選挙協力を模範とせよ」とする記事を出し、

「特定の選挙区で共産党の候補者を降ろせ」、

共産党とは選挙協力はしても、政権を奪取しても共産党は閣内に入れない」

というのは、要するに共産党は立民の議席獲得のために犠牲になれと言っているに等しいもので、政治家以前に人として失礼千万な話と断じ、共産党は異質な政党なので連立は出来ない」というのであれば、その是非を公開討論するべきだと提案しました。