軍事的な緊張を高めてきた米国が欧州で孤立し始めた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201290000/
今にもロシアがウクライナへ軍事侵攻するかのような話をアメリカの政府や有力メディアは流し、軍事物資を運び込み、軍事訓練も行なっているが、ヨーロッパでは事態の沈静化を図る動きが進んでいる。
1月26日にはパリでロシア、ウクライナ、フランス、ドイツが軍事的な緊張が高まっている問題について協議、事態を平和的に解決することで合意した。
https://www.dw.com/en/russia-ukraine-agree-to-uphold-cease-fire-in-normandy-talks/a-60556387
ウクライナの現体制は2014年のクーデターで誕生したのだが、その際に結ばれた停戦合意を尊重するということだ。
ロシア軍の軍事侵攻が迫っているという話をウクライナの国防省は否定していたが、ドミトロ・クレバ外相も軍事侵攻するために十分な兵力は集結していないと語っている。
https://edition.cnn.com/2022/01/26/europe/ukraine-russia-latest-news-wednesday-intl/index.html
ウクライナのNATO加盟問題にロシアは口を出すなとしていたEUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表でさえ、対話を継続するべきだと語っていた。
反ロシア感情が強いはずのクロアチア大統領も全面戦争へ向かって動き出したならNATO軍へ派遣している自国軍を撤退させるとしている。
パリで会議が開かれる4日前、ドイツ海軍の海軍総監だったケイ-アヒム・シェーンバッハ中将が辞任を申し出た。
ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻しようとしているとする話は「ナンセンス」であり、ウクライナがクリミアを取り戻すことなど不可能だと21日にニューデリーのシンクタンクで語ったことが問題にされたのだが、問題にしたのはアメリカ政府だろう。
ウクライナで軍事的な緊張を高めてきたのはアメリカ/NATOにほかならない。
そこでロシアはアメリカの軍事的支配地の拡大をこれ以上容認できないとしている。
そこで、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことなどを文書で保証することを求めている。
アメリカ政府はロシア政府へ「回答文書」を渡したが、肝心の問題には触れていないと言われている。
ウクライナでの問題に限らず、軍事的な緊張を高める上で西側の有力メディアが果たしてきた役割は小さくない。
2003年3月にイラクを先制攻撃する前、アメリカの政府や有力メディアはイラクが「大量破壊兵器」を保有し、すぐにでも使うかのように宣伝していた。
そうした宣伝に熱心だったひとりがウォールストリート・ジャーナル紙のマイケル・ゴードン。
2002年に彼はニューヨーク・タイムズ紙でジュディス・ミラーと一緒に偽情報を広めていた。
2020年に入ってから世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で麻痺している。
その感染症の実態はいまだに明確でないが、その病気を引き起こしているとされているSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は武漢病毒研究所から漏れ出たとする話をゴードンは盛んに伝えていた。
また、ミラーは2005年にニューヨーク・タイムズ紙を離れ、07年にウィリアム・ケーシーの政策研究マンハッタン研究所へ入り、08年にはFOXニュースへ移動、2010年にはニューズマックスへ移った。
ここはケイシーやCIAと関係の深い富豪、リチャード・メロン・スケイフから支援を受けていた。
またCFR(外交問題評議会)のメンバーにもなっている。
アメリカに抑え込まれていたヨーロッパが独自の動きを見せ始めたように見えるが、そのタイミングでCOVID-19騒動も沈静化の動きがヨーロッパでは出てきた。
その時期にCOVID-19騒動を煽っている日本は軍事的にも前のめりになっている。
この国の「親米派」は自分たちのボスに忠誠を誓うことしかできないようだ。
間違った警告でパニックを作り出そうとするなとウクライナ大統領が発言
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201310000/
ジョー・バイデン米大統領は1月27日、ロシア軍が来月にもウクライナへ軍事侵攻する可能性があると主張、それをロシア政府は否定した。
その前日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツがパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意している。
こうした和平の動きをアメリカは壊したいのだろうが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは西側の記者に対し、侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言、パニックを作り出そうとしないように求めた。
すでにウクライナ国防省はロシア軍の軍事侵攻が迫っているという話を否定、ドミトロ・クレバ外相も軍事侵攻するために十分な兵力は集結していないと語っている。
https://www.bbc.com/news/world-europe-60174684
アメリカがネオ・ナチを使って実行した2014年2月のクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権は倒されたが、ネオ・ナチ体制への反発からゼレンスキー政権は生まれた。
そのゼレンスキー政権もこれまではアメリカの命令に従ってきたが、その好戦的な政策がウクライナの存続を危うくする事態になり、アメリカ離れを始めたということだろう。
ロシアがアメリカに求めているのは、アメリカの軍事的支配地をこれ以上拡大させるなということ。
それはロシアを奇襲攻撃で破壊する準備になるからだ。
ドイツが1941年6月に始めた「バルバロッサ作戦」でソ連は大きなダメージを受け、1991年12月に消滅するまで完全に立ち直ることはできなかった。
その二の舞は御免だというわけだ。
アドルフ・ヒトラーはソ連への侵攻作戦に約310万人を投入した。
西側には約90万人しか残していない。
西側から攻められたらひとたまりもなかったのだが、そうしたことは起こらなかった。
西部戦線でドイツ軍と戦っていたのは事実上、レジスタンスだけだ。
イギリスとアメリカが動き始めたのは、ソ連へ攻め込んだドイツ軍が1943年1月にスターリングラードでの戦いで敗北した後。
その年の7月にアメリカ軍とイギリス軍はマフィアの協力を得てシチリア島へ上陸した。
レジスタンスの主力はコミュニストだが、シチリア島でもコミュニストの影響力は大きかった。
コミュニスト対策でマフィアと手を組んだのである。
それ以降、マフィアはアメリカの情報機関と同盟関係にある。
同じ頃、アメリカとイギリスの情報機関はレジスタンス対策で「ジェドバラ」というゲリラ部隊を編成する。
戦後、その人脈が軍の特殊部隊やCIAの破壊活動部門を作り上げた。
1949年に結ばれた条約に基づいて作られた「NATO(北大西洋条約機構)」の主要な目的はヨーロッパを支配することであり、加盟国には破壊活動を行う秘密部隊が編成されている。
中でも有名な部隊がイタリアで爆弾テロやを繰り返し、クーデターを試みた「グラディオ」だ。
アメリカやイギリスの金融資本から資金を提供されていたナチスがソ連へ攻め込み、その時にイギリスは動かなかった。
そのほかにも米英の私的権力とナチスとの連携を示す事実は少なくないが、アメリカやイギリスを「善玉」ということにしたい「親米派」はこれを認められない。
この幻影を世界に広めるためのプロジェクトをCIAは第2次世界大戦が終わって間もないころから行っている。
「モッキンバード」だ。
このプロジェクトについてデボラ・デイビスが『キャサリン・ザ・グレート』という本で詳しく書いている。
このプロジェクトを指揮していたのは4人で、
第2次世界大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、
ダレスの側近で戦後に極秘の破壊工作機関OPCを率いていたフランク・ウィズナー、
やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、
そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。
(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979)
ワシントン・ポスト紙はCIAと緊密な関係にあるわけだが、その新聞の記者としてウォーターゲート事件を取材したカール・バーンスタインは同紙を辞めた後、1977年に「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌で書いている。
(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
また、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出し、世界各国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。
https://www.youtube.com/watch?v=0I5BZCcURa4
ウルフコテは2017年1月、56歳の若さで心臓発作のために死亡した。
そうした情報操作はソ連が消滅した後、1990年代から露骨になる。
ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビアを先制攻撃する前にも偽情報を流していたが、シリアの場合は有力メディアの「報道」から事実を探す方が難しくなる。
例えば、リビアの体制転覆に成功した後、アメリカなど侵略国はシリアへ戦力を集中させる。
その際にダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国とも表記)の種を蒔き、DIA(国防情報局)から危険だと警告されているが、この事実は無視された。
この話を取り上げると、ダーイッシュを作り上げたのがバラク・オバマ政権だと知らせることになる。
その政策を警告したマイケル・フリン中将を有力メディアは後に攻撃したが、それも難しかっただろう。
2012年5月にシリア北部ホムスで住民が虐殺されたが、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝する。
イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載したが、これは2003年3月にイラクで撮影されたもの。
オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく、廃墟に変えて掲載したことも発覚した。
西側の有力メディアは自分たちで取材せず、現地の情報源を使う。
嘘が発覚した場合、責任を回避することが目的だろう。
そうした情報源のひとりがシリア系イギリス人のダニー・デイエムだったが、デイエムの「情報」が作り話だということが発覚する。
撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2013年3月にインターネット上へ流出したのだ。
2012年の前半、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロがシリアへ入って調査、その報告をローマ教皇庁の通信社が伝えている。
この人物は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告していた。
虐殺しているのは外国から侵入したサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)の戦闘員で、資金や武器はカタールやサウジアラビアから得ているとしていた。
これは事実だが、アメリカ、イギリス、フランス、トルコなども侵略に加担していた。
フィリップ・トルニョル・クロの報告は2012年のシリアだけでなく、現在の世界情勢全てに当てはまる。
西側の有力メディアが流している話を鵜呑みにすることは犯罪的である。
ウクライナに火をつけ損なったアメリカが台湾にターゲットを変更する可能性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201300000/
ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツは1月26日にパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意した。
軍事的な緊張を高めているアメリカは参加していない。
アメリカの好戦派が得意とする「偽旗作戦」も実行しにくいだろう。
生物戦争も見え見えだ。
アメリカ軍はシリアやイラクを含む中東に軍隊を送り込み、軍事作戦を展開しているものの、影響力は低下している。
おそらくアメリカが黒幕だったであろうカザフスタンでのクーデターも失敗した。
そこで注目されているのが台湾だ。
独立を望む勢力を焚き付け、軍事的な緊張を高めている。
ロシアより中国の方が組みやすいと考えているのかもしれないが、現在、ロシアと中国は戦略的な同盟関係にある。
日本は明治維新以来、基本的にアメリカやイギリスの巨大金融資本の影響下にある。
日本に支配されていた時代の台湾は間接的にアングロ・サクソンの影響下にあったと言えるが、一時期、中国との関係を優先していた。
それが変化したのは蔡英文が総統に就任にした2016年以降。
アメリカに従属したのだが、アメリカはフィリピンにも強い圧力を加えている。
橋頭堡と位置づけられているであろう韓国でもアメリカの圧力は強いようだ。
ハルフォード・マッキンダーがまとめた長期戦略では、ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げ、最終的にロシアを制圧して世界の覇権の握ることになっていた。
この長期戦略をその後も放棄されていない。
その戦略にとって日本列島から琉球、台湾、フィリピンへ連なる島々は重要な意味を持つ。
ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」につながった。
明治政府がアメリカやイギリスの外交官に煽られて台湾へ派兵したのは1874年。
その翌年に李氏朝鮮の首都を守る要衝、江華島へ軍艦が派遣して挑発し、大陸侵略が始まる。
その日本をアヘン戦争で大儲けしたアメリカやイギリスが支援した理由は言うまでもないだろう。
ハワイの真珠湾を攻撃して日本はアメリカやイギリスと戦争を始めたが、大戦後に主従関係は復活する。
ウォール街に天皇制官僚システムが従属するという関係だ。
GHQ/SCAPに保護された旧日本軍の将校は少なくないが、そのひとり、岡村寧次大将の下へ蒋介石のグループは接近する。
1949年4月に岡村の下へ曹士徴を密使として派遣する。
当時、岡村はGHQ/SCAPの保護下に入っていた。
岡本たちの行動の背後にアメリカがいたのだろう。
曹は岡村や富田直亮少将と東京の高輪で会談して台湾義勇軍を編成することで合意、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。
そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。
白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授しはじめたが、その工作には陸軍士官学校34期の服部卓四郎、西浦進、堀場一雄、あるいは海軍の及川古四郎、大前敏一らが協力していた。
翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡り、1969年のことまで顧問団として活動を続けたが、途中で工作の主導権はアメリカが握る。
その一方、CIAの顧問団に率いられた約2000名の国民党軍は1951年4月に中国領内へ軍事侵攻、一時は片馬を占領したが、反撃にあって追い出された。
翌年の8月にも国民党軍は中国へ侵攻しているが、この時も人民解放軍の反撃で失敗に終わっている。
1958年8月から9月にかけて台湾海峡で軍事的な緊張が高まるが、ダニエル・エルズバーグによると、
https://www.umass.edu/ellsberg/conference/livestream/
その際、ジョン・フォスター・ダレス国務長官は金門島と馬祖に核兵器を投下する準備をしていた。
ジョー・バイデン政権は同じことが国防総省で議論されているという。
現在、アメリカの特殊部隊と海兵隊の隊員約20名が昨年から台湾で兵士を訓練しているという。
https://www.wsj.com/articles/u-s-troops-have-been-deployed-in-taiwan-for-at-least-a-year-11633614043
アングロ・サクソンが19世紀から続く長期戦略を放棄せず、日本が現在もその戦略に従っている以上、似たことが起こるのは必然だろう。
「戦争ごっこ」に興奮していると、取り返しのつかないことになる。