[鈴木宣弘氏] 今後20年で農業従事者数が30万人に激減するという仮定のもとに農業法人への企業参入を進める日本の亡国政策 / 「農家が元気に生産できる政策こそ本来の役割」
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=378158
鈴木宣弘先生が、日本を亡国に導く農業政策を批判されていました。
「今後20年で、基幹的農業従事者数は現在の約120万人から30万人まで約1/4まで激減する」という予測があるそうです。
そうなると大多数の農家が潰れることになるので、日本政府は今後、少人数で規模拡大が可能な農業法人化を進めて「スマート農業、輸出、海外農業投資」を展開させようとしています。
非農業の企業が農業法人に参入しやすくする法改正も進めるようです。
農家を支えるための「政策は十分やったのだから潰れるほうが悪い(中略)。もうこれ以上、農村全体を支える政策は行わない。」という国の方針ですが、
その十分やった政策というのは、
農作物の販売収入に対してゲタを履かせることで生産費割れの状況を防ぐ「畑作のゲタ政策」、
価格や収量が変動しやすい米や畑作物の収入が大きく落ち込んだ場合に、それを補てんするセーフティーネットの「コメのならし政策」、
農業者が加入する国の「収入保険」、
生産条件が不利な山間などの農業を支援する「中山間地・多面的機能直接支払い」など、
いずれも当面の経済支援で、
しかもよく見ると様々な条件をつけて、
とても全ての農家が安心して営農できる内容ではなさそうです。
まして日本の農業を大きく発展させる政策ではありません。
「こうした方策で、国民への十分な食料供給も、中山間地が多い日本の農業・農村を守ることもできるわけがない。」
鈴木先生は「そもそも、出発点が間違っている。」として、農業を担う人が30万人に激減するという仮定に政策を合わせるのではなく、「農家が元気に生産を継続できるようにする政策を強化して、趨勢(すうせい)を変えることができれば、流れは変わる。それこそが政策の役割ではないか。」と、本来の国の農業政策に立ち返るよう訴えておられます。
「大局的見地に立った国家観のない政策、人々の命と暮らしを守る視点の欠如した政策は亡国である。」
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】議論の前提が間違っている~人口問題、農業就業者問題
https://www.jacom.or.jp/column/2024/12/241206-78160.php
(前略)
今後20年で、基幹的農業従事者数は現在の約120万人から30万人まで約1/4まで激減するのだから、農業をやる人はいなくなってくるのだ。
だから、それに合わせて、企業参入を進め、少ない人数で一層の規模拡大をする必要がある、といった議論がよく展開される。
先般の食料・農業・農村基本法の改定でもそうだった。
(中略)
すでに畑作のゲタ政策、コメのナラシ政策、収入保険、中山間地・多面的機能直接支払いなどが行ってきたのに、それでも、農業の疲弊が加速している。
政策は十分やったのだから潰れるほうが悪い(コスト上昇が考慮されないから今回の危機に対応できないという政策の不備は認めない)。
もうこれ以上、農村全体を支える政策は行わない。
大多数の農家が潰れることを前提に、規模拡大、スマート農業、輸出、海外農業投資、などを展開するために、農業法人における農外資本比率の条件を緩和する(50%未満→2/3未満)などの企業参入の促進のための規制緩和を進める、といった議論だ。
(中略)
これは、そもそも、出発点が間違っている。
基幹的農業従事者が120万人から30万人になるというのは、今の趨勢が続いたら、それを放置したら、という仮定に基づく推定値であり、農家が元気に生産を継続できるようにする政策を強化して、趨勢を変えることができれば、流れは変わる。
それこそが政策の役割ではないか。
(中略)
(中略)
狭い目先の効率性、歳出削減しか見えない政策では、農業・農村が崩壊して一部の企業だけが儲けたとしても、日本の地域社会、資源・環境、人々の暮らしと命は守れない。
大局的見地に立った国家観のない政策、人々の命と暮らしを守る視点の欠如した政策は亡国である。
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