山際前大臣と統一教会の黒幕は? 菅義偉に口説かれ同じ選挙区で出馬した江田憲司が「選対本部に当たり前のように信者」と証言
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統一教会とのズブズブの関係が次々と明らかになり、ついに大臣辞任となった山際太志郎・前経済再生担当相。
今回の辞任は事実上の更迭だと言われているが、すでに統一教会との関係が指摘されていたにもかかわらず内閣改造で留任させた岸田文雄首相の任命責任は厳しく問われるべきだ。
そして、山際氏の辞任を機にさらなる追及が必要なのが、あの大物政治家の問題だ。
じつは、山際氏の辞任が決まった24日、立憲民主党の江田憲司・衆院議員が、自民党の神奈川での選挙戦において、いかに統一教会が入り込んでいるかを物語るエピソードをFacebook上に投稿したのだ。
江田氏といえば、岡山県出身で通産省の官僚から橋本龍太郎内閣で首相秘書官に起用され、2000年の衆院選で神奈川を地元とする衆院議員の菅義偉氏に口説かれ、落下傘候補として神奈川8区で自民党から初出馬し、落選。その後、2002年の補欠選挙に、自民党でなく無所属で出馬し、初当選を果たしている。
じつはこの2002年の補欠選挙、同じ神奈川8区で、自民党から江田氏の代わりに初出馬したのが、山際氏だった。
そして今回、江田氏は当時の出来事をこのように投稿したのだ。
〈その山際大臣。いや、前大臣。前にも触れましたが、最初の選挙の相手は実は私だったんですね。
2002年秋のことです。
彼の発言によれば、この選挙で旧統一教会との接点ができた由。
(中略)
私の選挙区、青葉区しらとり台に旧統一教会の大きな教会がありますし、神奈川県勝共連合の本部も同地にあるのです。
私が、菅義偉さんの要請で自民党から選挙に出たのが2000年6月のこと。
ですから、その内情は私がよく知っています。
今でも鮮明に覚えているのが、私の衆院選対本部に当たり前のように統一教会の信者が入ってきたんですね。
選挙のことはズブの素人、生まれたことも育ったこともなかった「落下傘候補」の私は、何か地元の県議、市議等にモノが言える立場ではなかったのですが、「それだけはだめだ!」と、当該信者を私の選対から排除したことがありました。
だから、よく覚えているのです。〉
菅が江田憲司に「金も選挙スタッフも用意」と約束、そして統一教会信者が選対本部に
選対本部に当たり前のように統一教会の信者が入ってきた──。
江田氏は排除したというが、その後、同じ選挙区から自民党候補として出馬した山際氏は、そうした統一教会関係者を排除できず、受け入れたのではないか。
そう江田氏は指摘したのである。
しかし、問題なのは、誰が選対本部に統一教会の関係者を招き入れ、選挙支援を求めたのか、という点だろう。
今回の投稿では具体的に語っていないが、じつは、「経済界」2015年5月26日号に掲載された徳永家広氏との対談で、江田氏は自民党から出馬した際のエピソードをこのように語っていた。
「橋本総理が辞任した後、すぐに辞表を出してハワイに行ったんですが、1年後に帰国した時にパクっと捕まったのが、菅義偉さんです。
僕は首相秘書官としては嫌われ者だったと思いますが、意外にいろいろな政治家さんに壮行会をやっていただきましたから、議員会館に行ってお礼をして回ったんです。
それで菅さんの所に行ったら「実は神奈川八区に中田宏という強い奴がいて、自民党の県議も市議も尻込みして出ないから、江田さん出てください。
地元の合意は責任をもって私が取り付けます。
金は自分で出します。
選挙スタッフも全部派遣します」と」
菅氏は“地元の合意や金の問題は自分に任せろ、選挙スタッフも全部派遣する”と約束して江田氏を口説き落としたが、その選対本部には「当たり前のように統一教会の信者が入ってきた」というわけだ。
つまり、菅氏の人脈として統一教会が選挙支援に入っており、つづく補欠選挙で同じ選挙区から出馬した山際氏も統一教会と深い関係を結ぶこととなった。
そう疑いを持たざるを得ない話だろう。
実際、9月8日に公表された自民党の「点検」結果でも、菅氏が牛耳る神奈川の自民党議員9人が統一教会と関係があったことが判明しているが、注目すべきは、神奈川選出の自民党議員と統一教会の関係が濃厚であることだ。
前述の山際氏や、菅氏の子飼い議員として有名な山本“マザームーン” 朋広・衆院議員(神奈川4区)は言わずもがな、菅グループの「ガネーシャの会」で会長を務め、菅内閣では官房副長官を務めた神奈川5区選出の坂井学・衆院議員も、選挙で統一教会関係者からボランティア支援を受けていたことや関連団体の会合に出席していたことを認めている。
また、菅氏と同じ法政大学出身であり親しい関係にある神奈川10区選出の田中和徳・元復興相も、2017年5月に自民党本部で教団幹部と会談していたことや、2016年10月に川崎駅の駅頭でおこなった街頭活動で自身の名刺とともに「世界日報」を配布していたことをジャーナリストの鈴木エイト氏が指摘している。
疑惑は、地元・神奈川選出の側近議員に統一教会と深い関係を持つ議員が多いというだけではない。
新聞やテレビなどではほとんど追及されていないが、自民党議員と統一教会の関係に菅前首相自身がかかわったという疑惑も浮上している。
2013年の参院選において統一教会の全面支援を受けていたと指摘されている自民党の北村経夫・参院議員の問題では、北村議員の元選挙スタッフが「当時の菅官房長官が、北村候補に(統一教会の関連団体である世界平和連合を)選挙支援として差配した、支援団体としてつけた」と証言している(菅事務所は事実を否定)。
また、鈴木エイト氏は著書『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)において、「菅氏の最側近」と呼ばれ、公選法違反で昨年衆院議員を辞職した菅原一秀・元経産相と統一教会の深い関係についても追及をおこなっているのだが、そのなかで、SEALDsに対抗してつくられたと見られている統一教会の学生組織「勝共 UNITE」が2017年に開催した「改憲2020年実現大会」に菅原氏が出席していたと指摘。
鈴木氏の取材に対し、自民党関係者は「菅原さんは無派閥なので、党本部か菅官房長官の指示ではないか」と語ったという。
選挙支援の差配にイベントへの派遣──。
だが、菅氏の疑惑はこれだけではない。
菅氏は官房長官時代、統一教会の要人を首相官邸に招待したとも言われているからだ。
前述の鈴木氏の著書によると、2017年に統一教会の金起勲・北米大陸会長兼世界副会長らが来日した際、〈菅義偉官房長官から招待を受けて首相官邸を訪問〉したと指摘。
実際、直後に韓国で開かれた「天地人真の父母様主管 韓・日・米希望前進大会勝利特別報告会」において、金会長は韓鶴子総裁に「ヨシヒデ・スガ官房長官が首相官邸に私どもを招待し、会いました」と報告しているというのだ。
鈴木氏は菅氏を統一教会と安倍政権の「共存共栄関係におけるバイプレーヤー」であるとし、さらに菅氏が小此木彦三郎氏の秘書時代から統一教会と関係があった可能性についても示唆している。
たしかに、安倍晋三・元首相が統一教会と本格的に関係を深めたのは第二次安倍政権誕生前の下野時代ではないかと見られているが、江田憲司氏の投稿にもあるように、神奈川8区の自民党の選対本部には2000年初頭から統一教会が入り込んでいた。
そのことを考えると、安倍元首相とは違うかたちで菅前首相には統一教会とのルートがあったのではないかと疑うことができるだろう。
第二次安倍政権では「影の首相」と呼ばれ、その後、総理大臣にまで上り詰めた人物に持ち上がる、統一教会と自民党によるズブズブ関係の“黒幕”疑惑──。
ところが、自民党による「点検」でその名は登場せず、メディアも圧力を恐れてか、菅前首相の疑惑についてはほとんど取り上げられていない。
だが、統一教会と自民党の蜜月関係を清算するには、安倍元首相はもちろん、菅前首相への追及は避けて通れない。
山際氏の辞任をきっかけに、山際氏や山本“マザームーン” 朋広氏と統一教会を結んだ背後に誰がいたのか、徹底追及がなされるべきだろう。
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