「台湾有事に関するCSISの報告書」の内容
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=335250
昨日の記事で、岸田総理大臣はバイデン大統領と会談し、“防衛力の強化のため、日本がアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得を計画していることを説明した”ということでした。
冷凍都市さんのツイートによれば、
「台湾有事に関するCSISの報告書」には、
“(1)米国が日本国内の基地から部隊を運用できるようにすること
(2)自衛隊が直接介入…米国の対応の大部分は、日本の基地から行われることになる”
と書かれているとのことです。
CSISの報告書の57~58ページの所をDeepL Proで翻訳すると、
「日本は大きく分けて2つの方法で紛争に影響を与えることができる。
(1)在日米軍基地の運用を認めること、
(2)自衛隊が直接介入することである。
…これらの基地は台湾に近く、近くに代替基地がないため、中国の侵略に対する米国の対応の大部分は、日本から行われる。
日本と中国は友好的な外交関係にはなく、日米は同盟関係にあるが、日本が中国に介入することは確実でない。
日米安保条約は、日米両国を限定的な防衛同盟で縛っている。
…米国の作戦に対する日本の支援に関する重要な決定は、
“法的に自動的なものではない。
…これらの決定はすべて政治的なものであり、その時々の首相に委ねられている。”…
最近、日本が台湾の防衛にある程度参加することが示唆されている。
日本は強大な軍備を構築している。
日本の軍事費は、中国と韓国を除くアジアのどの国よりもかなり大きい。
…日本の与党である自民党の委員会は、日本の“反撃能力”を高めることを提案した。
…しかし、これらの動きを、日本が台湾防衛に全面的かつ即座に参加することの決定的な証拠と読むのは間違いであろう。
日米条約とこれらの最近の(確かに決定的なものではない)日本における政治的展開を考えると、基本ケースは東京を想定している。
(1) 米国が最初から自由に日本の米軍基地にアクセスできるようにする。
(2) 自衛隊に対し、中国の日本領土への攻撃に対応する場合にのみ中国軍と交戦するよう指示する (日本の米軍基地を含む)。
(3) 自衛隊が戦争に参加した後、日本の領土から離れて攻撃的な作戦を行うことを許可する。
これは、困難な内部決定と米国との潜在的な対立を回避するため、日本にとって最も抵抗の少ない道でもある。
さらに、米国に基地の使用を拒否することは、70年にわたる日本の安全保障政策を支えてきた長年の日米同盟を崩壊させる危険性がある。」
また、117ページを翻訳すると、
「日米両軍は平時から多くの演習を行っているが、現在の日本の憲法解釈では、米国との統合(または合同)司令部の設置は禁止されている。
さらに、自衛隊に常設の統合司令部がなく、日本の各軍の間に地理的に一貫性のない司令部の境界が存在するため、作戦レベルでの効果的な同盟調整が阻害される。
日米の戦時連携を研究する中で、二国間条約の解釈に齟齬がある可能性が明らかになった。
日米地位協定は、日米間の“協議”の必要性に言及しているが、その内容については、日米地位協定も防衛同盟の原型も曖昧である。
多くの日本政府関係者は、日米地位協定は、米国が日本本土から戦闘任務を遂行する前に、以下のような目的で飛行する許可を得ることを要求していると解釈している。
日本政府関係者の多くは、日本の防衛以外の目的で日本本土から戦闘任務を行う場合、米国は事前に許可を得る必要があると解釈している。
しかし、米政府関係者は“協議”を米国の意図を日本に通知することと見なす傾向がある。
この断絶は、危機の際の戦争計画の遅延や混乱につながらないよう、直ちに是正されなければならない。」
2022年12月10日の『常設の「統合司令部」創設、自衛隊 防衛3文書に明記』という記事には、
“政府は月内に改定する国家安全保障戦略など防衛3文書に常設の「統合司令部」を創設すると明記した。
陸海空の3自衛隊の部隊運用を一元的に担う。
台湾有事に備え、米軍との意思疎通や戦略の擦り合わせなど統合運用を進める”
とあります。
岸田政権、この手の事に関しては仕事が早いですね。
何故なのかは、“続きはこちらから”の記事をご覧ください。
第4次アーミテージ・ナイ報告分析 さらなる日米一体化への要求(猿田佐世)
https://www.nd-initiative.org/research/6411/
(前略)
アーミテージ・ナイ報告書は政府の発表物でなく、一民間シンクタンクの報告書にすぎない。
何故この報告書に書かれていることがここまで実現されてきたのか、と疑問に思う人もいるかもしれない。
その答えは、いたって簡単である。
執筆陣は日本の外交・防衛当局者や政権与党の政治家と常日頃から交流の機会を持ち、彼らの次の狙いを深く理解している。
彼らがどのような報告書を望むかということについても深く理解をしている。
だからこそ、そもそも防衛大綱と重なる政策提言が多くなされるのである。
また、日本政府が心の中では望んでいても、踏み込み過ぎで国内で提案することは難しいような勧告を、ワシントンの対日政策コミュニティのイニシアティブとして代わりに提案するのである。
日本政府関係者は、この報告書の日本での影響力を大変良く理解しており、常時この報告書の執筆陣が属するシンクタンクに資金を提供したり、日本の外交・防衛政策に関わるプロジェクトを様々委託したりしている。
そして、このような報告書が出された際には、それを日本政府が実現していく、ということを繰り返してきた。
このサイクルは、日本政府や政権与党が自らの声を、ワシントンを使って日本国内で拡散するシステムであり、私はこれを「ワシントン拡声器」と呼んでいる(参照:「新しい日米外交を切り拓く(集英社)」)。
(以下略)