米国政府の命令でパキスタンの裁判所がカーン元首相の政治的抹殺を試みている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402010000/
パキスタンでは2月8日に総選挙が予定されているが、本来なら勝利する可能性が高いPTI(正義のためのパキスタン運動)は裁判所の決定により、同党の候補者は「無所属」として立候補することを強いられている。
党首のイムラン・カーン元首相は汚職容疑で懲役3年の判決が言い渡され、2023年8月から収監されている。
しかも1月30日に情報漏洩で懲役10年、31日には汚職で懲役14年が言い渡された。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2024/02/483080.php
裁判ではメディアや一般の傍聴が一切認められず、検察側の証人や専門家に対する弁護士の反対尋問も拒否されている。
この裁判は茶番にすぎず、カーンを2月8日の選挙に出馬させないだけでなく、政治的な暗殺を目論んだと言える。
カーンはアメリカに服従することを拒否、2月24日にロシア軍がウクライナに対する攻撃を始めた際には中立の立場を表明していた。
この戦闘の発端は2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って仕掛けたクーデターであり、元アメリカ政府高官の中にもロシアの動きは遅すぎたと批判する人がいた。
この件については本ブログでも取り上げたことがある:
インターネット・メディアのインターセプトがパキスタン政府の機密文書を公開した。
その文書にはアメリカの国務次官補だったドナルド・ルーやレ・ヴィグリーを含む国務省高官が当時の駐米パキスタン大使のアサド・マジード・カーンと2022年3月7日に行った会談の記録が含まれている。
その直前、2月24日にロシア軍はミサイルでウクライナに対する攻撃を始めたが、首相だったイムラン・カーンは中立の立場を表明した。
パキスタンは欧米の奴隷ではないと集会で演説、非同盟の立場を明確にしている。
会談はその翌日に行われた。
今回、公表された文書によると、その会談でアメリカ政府はパキスタン政府に対し、カーンを排除するように促している。
ルー国務次官補は不信任決議を提案、その決議が採択されば首相のロシア訪問は首相の個人的な決断だとアメリカ政府はみなして全てを許すが、失敗すれば厳しい対応をすると語ったという。
そして不信任決議の準備が会議の翌日から始まる。
2022年4月に内閣不信任決議案を提出されるが、下院議長は却下。解散総選挙に打って出るとカーンは表明し、4月3日に議会は解散されたものの、4月7日に最高裁が議会解散を違憲と判断、4月10日に内閣不信任決議案の採決が行われて可決されて軍を後ろ盾にするシャバズ・シャリフ政権が誕生した。
議会や裁判所はアメリカ政府の意向通りに動いたわけだが、国民は強く反発し、大規模な抗議行動や暴動という形で表面化した。そこで軍は市民の自由を大幅に削減し、軍への批判を犯罪化、国内経済における軍の役割を拡大して国内は麻痺した。
言論統制のひとつの結果として、アメリカ政府に従属する軍に批判的なジャーナリストが殺害されたり行方不明になったりしている。
軍は独裁体制へ向かっている。
昨年11月にカーンは政治集会で銃撃されて足を負傷した。その際、支持者のひとりが殺されている。
勿論、カーンを負傷させるために銃撃したわけではなく、暗殺未遂だ。
これを認めようとしない人はパキスタンのエリートと同様、アメリカの支配層に従属しているのだろう。
パキスタンはアメリカにとって軍事的に重要な役割を演じてきた。
例えば:
ズビグネフ・ブレジンスキーの戦略に基づいてCIAは1979年4月にアフガニスタンで秘密工作を始めた。
ソ連軍が侵攻する半年以上前のことだ。
その工作についてCIAのイスタンブール支局長はパキスタンの情報機関ISIの協力を得ている。
しかし、パキスタンのベナジル・ブット首相の特別補佐官を務めていたナシルラー・ババールが1989年に語ったところによると、アメリカは1973年からアフガニスタンの反体制派へ資金援助し始めていた。
その反体制派とはクルブディン・ヘクマチアルだが、その選定をしたのはISIだ。
(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005)
この工作を進めるためにCIAはパキスタン政府の協力が必要だったのだが、ベナジル・ブットの父親、ズルフィカル・アリ・ブットの政権はアメリカ政府にとって好ましくなかった。
自立した政策を進めていたからだ。
ブット政権は1977年の軍事クーデターで排除され、ブット自身は79年に処刑されている。
クーデターを主導したムハンマド・ジア・ウル・ハク陸軍参謀長はノースカロライナ州のフォート・ブラグで訓練を受けた軍人で、ムスリム同胞団系の団体に所属していた。
(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019)
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