きなこのブログ

大失業時代が到来しています。大失業の恐ろしさを歴史から学ばなければならない。『大失業は戦争への道につながっている』

歪曲されて凝り固まった善悪観「プーチンの偽悪戦略」

 

ウクライナでゆるやかに敗けていく米欧
https://tanakanews.com/230213russia.htm

間もなく開戦から1年がすぎるウクライナ戦争で、軍事的に最も重要なことは、昨年2月末の開戦日以来、ウクライナ全土の上空の制空権をロシアが握っていることだ。

 

ロシア軍は開戦日の数時間でウクライナの空軍や防空施設の大半を破壊して制空権を奪取した。

 

ロシア政府はその日のうちにウクライナ上空を飛行禁止区域に設定してICAOに通告した。

 

それ以来、外国の民間機はウクライナ上空を飛んでいない。

 

欧米の政府高官らがキエフなどウクライナを訪問する際は、すべて列車を使っている。

 

露軍はウクライナ国内の列車運行を認めており、列車が最も安全な移動手段になっている。

 

ゼレンスキーも昨年末の訪米時、列車でポーランドに出国し、そこで飛行機に乗り換えた。 

 


露軍は緒戦の大規模な地上軍侵攻でウクライナの残余の防空施設を調べて破壊した。

 

その後、米欧がウクライナに短距離のミサイル類を送り込んだが状況は変わらず、ウクライナはずっと制空権をロシアに奪われたままだ。

 

露軍は、自国に併合したウクライナ東部とクリミアという露系住民地域では軍用機を飛ばしているが、ゼレンスキー政権が管轄しているそれ以外のウクライナ(西部地域)には露軍機をできるだけ飛ばさないようにしている。

 

米欧がウクライナにあげた地対空ミサイルで迎撃される危険があるからだ。

 

露軍は、西部地域で制空権を侵害する動きがあった場合、ロシア国内から精密誘導ミサイルを飛ばして破壊する。 

 

 

 

NATO軍など米国側は、ウクライナ上空の制空権をロシアから奪回しようとする試みをやっていない。

 

それをやると、ロシアとNATOとの戦争になってしまうからだ。

 

開戦直後、ゼレンスキーは米国に制空権の奪還(米NATOとしてウクライナ上空に飛行禁止区域を設定すること)を頼み込んだが、米政府も米議会も断っている。

 

誰もロシアと直接戦争したくない。

 

ウクライナ当局は、自国内でヘリコプターなどを低空飛行して使っているが、露軍に攻撃されやすく高リスクだ。 

 


そんなわけでウクライナの制空権はロシアが握っているが、日本など米国側のマスコミはずっと「ロシアはウクライナの制空権を握れていない」と報じている。

 

「露空軍はウクライナよりはるかに多くの戦力を持っているが、戦法が悪く士気も低いのでウクイナの制空権を握れていないのだ」などという、軍事専門家のコメントが堂々と載っている。

 

こんな(笑)な事態になっているのは、米当局がそのように言っているからだ。

 

マスコミや専門家は近年、米当局から教わった話を鵜呑みにすることを事実上義務付けられている。

 

コロナ危機以降、大事な分野の報道の多くが歪曲されている。

 

ウクライナ開戦直後は、昔からの情勢を知っている日本人の記者が書いた現実的な記事も見たが、間もなく米国発の歪曲情報が席巻して現実報道は消失した。

 

米国側のマスコミは華々しい大誤報を続けてきた。

 

 


ウクライナが自国の制空権を西半分だけでも握っているのなら、EUの高官やゼレンスキー自身が列車で移動する必要などない。

 

最近は米欧の高官がキエフを訪問する際にどんな交通手段を使ったのか報じられなくなっている。

 

ロシアに制空権を握られていることを隠したいので、時間のかかる列車で移動していることを報じたくないのだろう。

 

だが、先日キエフを訪問したEU高官(ミシェル欧州理事会議長)が列車の個室から動画を配信したので、今も列車移動を強いられていることが垣間見えた。 

 

 

ロシア政府は、米国側の歪曲報道を放置している。

 

露側は、ウクライナの制空権を握っているのはロシアだと繰り返し表明したりしない。

 

RTなど露側のマスコミも黙っている。

 

露政府は、ウクライナ戦争での自国の優勢を隠し、この戦争が地上軍だけでゆっくり進み、一進一退っぽく延々と続くように仕向けている。

 

米欧が強い兵器を出してきたら、露軍が上空から空爆して間引き的に破壊し、露軍の隠然優勢下で一進一退を演出し続ける。

 

この戦争が長引くほど、米国側とくに欧州がロシアからの石油ガスなど資源類の輸入を断って経済的に自滅していき、いずれ米欧の結束が崩れてNATOや米覇権体制が瓦解して多極化が進み、ロシアにとってうれしい世界体制に転換していくからだ。

 

この戦争の決着は、ウクライナの戦場で軍事的に決まるのでなく、世界的な政治経済の大状況として地政学的に決まる。

 

私はこれをプーチンの偽悪戦略」と呼んでいるが、多くの人が「そんなわけない。ロシアは本当に負けているだけだ。だってロシアだぜ」といまだに思っている。 

 

 


米国側は、制空権をロシアから奪還しない限り露軍の隠然優勢が続き、ウクライナ戦争で勝てない。

 

制空権奪還のためにはロシアと米NATOとの直接交戦が必要だが、その場合核戦争世界大戦を覚悟せねばならない。

 

好戦的な勢力は「核戦争を覚悟しつつ米NATOがロシアと直接交戦し、ウクライナの制空権を奪還してロシアを打ち負かすべきだ」と主張するのが筋だ。

 

だが、そのような主張はどこからも出てきていない。

 

核戦争しようぜと提案するわけにいかない。

 

ロシアを勝たせるわけにいかないと言っている人は多いが、勝つ方法が示されていない。

 

NATOは開戦直後に、ウクライナの制空権を奪還しないと宣言している。

 

NATO側がウクライナに戦闘機を送る話は繰り返し出ているが、いつも話だけであり、決して具現化しない。

 

ウクライナは勝利への道を閉ざされている。

 

 


軍事的に、ウクライナ戦争はこの状態で膠着している。

 

ロシアは膠着を望んでいるから、米国側が戦争を放棄しない限りこの状態がずっと続く。

 

戦争が長引くほど、米国側が資源面から経済的に自滅していく。

 

政治的にも、欧州で厭戦機運が強まって独仏などの政権が、従来の対米従属エリート支配から対米自立・非米的な右派ポピュリスト支配に替わっていく。

 

イタリアはその流れの先進国だ。

 

いずれ欧州はロシア敵視をやめて戦線離脱し、NATOが解体していく。

 

 


米国も、ウクライナ支援に消極的な共和党が今年から議会下院の多数派になった。

 

来年の米大統領選挙でトランプが勝つと、米国はウクライナを支援しなくなる可能性が高い(共和党の予備選は、最近の世論調査でトランプよりデサンティスが優勢だが、3番手に出てきたヘイリーがトランプの副大統領になることでトランプ陣営が勝てる。ヘイリーはデサンティス潰しのために立候補した)。

 

軍事面でなく、政治経済の面で、米国側が敗北、というか戦争放棄していく。 

 


こういう流れを作ったのは、米国の上層部である諜報界だ。

 

諜報界は大統領に報告する情報を歪曲して政策を不正操作してきた。

 

米諜報界は、2014年にウクライナ反政府運動を扇動して親露政権を潰して米傀儡・反露な極右政権に交代させ、ウクライナ極右が国内東部のロシア系住民を殺し続け、ロシアがウクライナの東部やクリミアを併合せざるを得ないように仕向け、ウクライナ戦争を誘発した。

 

開戦後、米国が欧州G7を率いてロシアに対する徹底的な経済制裁をする体制を発案・推進したのも米諜報界だ。

 

ロシアは経済制裁されて国家崩壊していくとか、露軍は士気が低くて負けているなどとマスコミが歪曲報道したのも諜報界の差し金だ。 

 

 


本当にロシアが経済制裁されて国家崩壊し、戦場で露軍が敗北していけば、米諜報界の策略は「成功」だったのだが、そうはならなかった。

 

これまで何度か記事にしたように、ロシアは経済制裁の体制を逆利用して中国インドBRICSサウジなど非米諸国を自国の側に引っ張り込み、世界の資源類と経済成長の中心地を非米側に移動させ、米欧の自滅も誘発して、米覇権を崩して覇権体制の多極化を加速することに成功している。

 

プーチンのロシアにこの動きをさせたのは米諜報界だ。

 

米諜報界の主流派は、911事件から四半世紀かけて、多極化を誘発する隠れ多極主義者に乗っ取られている。

 


米諜報界の主流派はもともと、米国の覇権体制を強化・恒久化したい米覇権主義の勢力だった。

 

彼らは、主流派を隠れ多極主義に乗っ取られた後も諜報界の勢力として残り、大統領や米議会を動かしてウクライナ戦争による米国覇権の崩壊を食い止めようとしている。

 

最近は、米国からバーンズCIA長官がキエフを訪問してゼレンスキーに会い、ウクライナ戦争の今後について話し合っている。

 

この会談で、ロシアが併合を宣言したウクライナ東部2州とクリミアをロシア領としてウクライナが認めることでロシアとウクライナが和解して停戦するという案がバーンズからゼレンスキーに示されたという報道が出ている。

 

また、米議会下院の多数派を握った共和党が、ウクライナへの軍事支援を減らすためにウクライナ政府高官の汚職を問題にしつつあることにどう対処するかという話も出たらしい。

 

ゼレンスキーは最近、側近たちを汚職容疑で次々と更迭しており、対応策がすでに始まっている観がある。

 

 

https://www.washingtonpost.com/national-security/2023/01/19/cia-william-burns-zelensky-ukraine-russia/

 

ロシアによる東部2州とクリミアの併合を米欧ウクライナが認めるという和解案は、本当に提案されたらロシアの同意を得られる(プーチンは、世界の多極化推進よりも自国周辺の平和を優先せざるを得ない)。

 

だが、米国側がこの和平案でまとまる可能性はほぼゼロだ。

 

「極悪なロシアによる併合の悪事を認めることなど決してできない」という、歪曲されて凝り固まった善悪観が各方面からすぐに出され、全面否定されるからだ。

 

米政府内では「米国はこれから中国と対決せねばならないので、もうロシアのことは最重要でない」という「ロシア敵視放棄論」も出ているが、どんな理屈をつけようが、ここまで人々を軽信させて凝り固まった米国側のロシア敵視の体制を崩すのはとても難しい。 

 

 


最近は、権威あるジャーナリストのセイモア・ハーシュ「ロシアからドイツに天然ガスを運んでいたノルドストリーム2のパイプラインを昨秋に爆破したテロリズムの犯人は米政府だった。バイデン自らが爆破を許可していた」という暴露記事を発表した。

 

米政府は「作り話だ」と否定したが、米国犯人説は当初から言われており、やっぱりそうかという感じだ。

 


以前の米国は、ドイツがロシアと仲良くして天然ガスで全面依存することを了承していたのに、近年の米国はどんどんロシア敵視を強めてウクライナ戦争を誘発し、ドイツにロシアとの完全な縁切りを迫り、挙げ句の果てに見せしめ的にパイプラインを爆破した。

 

米国は、同盟国であるドイツのことなど何も考えてくれない。

 

ドイツでそのような世論が強まっている。

 

しかし、ドイツのマスコミやエリート層は対米従属なので、米国への批判をすべてもみ消してしまう。

 

人々はマスコミやエリート層を信用しなくなり、AfDなど右派ポピュリスト政党への支持が増える。

 

ノルドストリーム2の爆破も、ドイツを非米側に押しやる隠れ多極主義的な策略のにおいがする。