きなこのブログ

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金融危機は米国側に壊滅的な大打撃を与える

クレディスイス潰れたら欧州崩壊や米欧分裂
https://tanakanews.com/230319suisse.htm

昨年から危機に陥っている世界最大級の銀行クレディスイス(CS)が、米国からの金融危機の波及でいよいよ潰れそうになっている。

 

 

CSが潰れたら、2008年のリーマン倒産時よりはるかに大きな米欧の経済破綻になる。

 

リーマン倒産時は、まだ金融界にも当局にも余裕があった。

 

対照的に今は、リーマン危機後の15年間の延命策で金融界も当局も余力を使い果たしている。

 

当局がこれ以上の延命策をやれなくなったので、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に始まる今回の金融危機が発生し、それが欧州に波及し、すでに脆弱化していたCSにとどめの一撃を与えている。

 

CSが潰れたら、当局も金融界もその衝撃を吸収する資産がないので、リーマンより大きな打撃を米国側全体が受ける。

 


金融当局はCSを、スイスのもう一つの最大手銀行であるUBSと合併させて破綻を回避しようとしている。

 

CSはリーマン危機前から米国に積極進出して錬金術的な債券の売買や起債の事業を拡大し、リーマン後の債券バブルの凍結状態の中で経営難になっていったが、UBSはこの種の錬金術事業にあまり手を出さなかったのでわりと健全だ。

 

当局としては、堅気なUBSに、不良なCSの面倒を見させて危機を乗り切りたい。

 

UBSがCSの面倒を見ない場合、CSが潰れて世界の金融システムが崩壊し、UBSも困るんだぞ、と当局は加圧しているはずだ。


一昨日(3月17日)の時点で、UBS経営者は合併話を断ったとマスコミに話していたが、それは目くらましのウソで、実際は秘密裏にスイス当局の仲裁で合併話が進んでいたらしい。

 

昨日になって「UBSがCSを併合したら、スイス当局がUBSに損失補填金として60億ドル払う」という案をUBSが出したと報じられた。

 

交渉が進んでいるようだ。

 

ドイツ銀行など他の大手銀行もCSの一部事業の買収を検討しており、CSを分割してその大きな部分をUBSが買う案のようだ。

 

UBSがCSを併合するかどうか、週明け3月21日ぐらいまでに確定しそうだ。 

UBSが併合しない場合、CSは破綻する。

 

 

一昨日ぐらいから、欧米の銀行群がCSとの取引に制限をかけている。

 

CSはいつ潰れるかわからないので信用されなくなり、あらゆるものを先払いさせられている。

 

アジアの大金持ち一族たちがCSから資金を引き上げたという話も出ている。

 

CSの最大手株主であるサウジナショナル銀行は追加出資を断った。

 

UBSに併合を断られたらCSは数日内に破綻する。

 

CSが潰れたらスイス当局だけで対応しきれず、米国側全体の経済破綻を加速する。

 

世界経済は今はまさに分岐点にいる。

 

今週中にどうなるか見えてくる。 

 

今回の金融危機はSVBなど米国の中小銀行の預金流出から始まった。

 

預金が流出して潰れそうなファーストリパブリック銀行に大手銀行群が共同で預金して流出分を穴埋めして破綻を回避する策がとられた(大手銀行は、中小銀行から逃避して自分らに回ってきた預金の一部を中小に戻すだけ)。

 

これでCSがUBSなどに買収されれば欧州も米国も危機を回避できるとか報じられている。

 

だが、事態はそんなに甘くない。

 

ファーストリパブリック銀行はいったん持ち直して株価も反騰したが、その後また預金流出の兆しがあり、株価が再暴落した。

 

米国も金融危機を乗り越えておらず脆弱なままだ。 

 

 

米連銀は3月21日に政策会議(FOMC)で利上げするかどうか決める。

 

金融危機なんだからもう利上げしないでくれと金融界が懇願している。

 

だが連銀は議会から「インフレ対策をやめるな」と加圧されているので、たぶん25bpsの利上げを敢行する。

 

欧州中銀も同じ構図に陥っており、先週50bpsもの利上げをする愚策を挙行した(原因が通貨関連でないので利上げしてもインフレはおさまらない)。

 

 

中銀群の追加利上げで欧米の金融はますます脆弱になる。

 

危機がいつぶり返すかわからない。

 

 


クレディスイス(CS)はUBSに併合されたらもう安泰なのだろうか??。

 

CSは昨年9-12月に1105億フランの預金が流出した。

 

その後はもっと流出しているだろう。

 

先週スイス当局が500億フランの穴埋め資金を融資したが、それで足りるはずがない。

 

CSは流出を抑えるため、大口預金の金利を7%まで引き上げたが、それでも流出している。

 

7%の利払いに必要な儲けをどうやって出すのか。

 

難題は今後も残る。

 

CSが潰れた場合、取引相手として巨額の損失を被る銀行の多くは中小でなく大手だ。

 

SVBは中小銀行の危機だが、CSは大手銀行の危機だ。

 

米欧金融界のすべてが危機に瀕している。

 


ウクライナ開戦後、世界は米国側(先進諸国)非米側(露中BRICS途上諸国)に決定的に分裂している。

 

今回の金融危機は、米国側に壊滅的な大打撃を与える半面、非米側への影響は少ない。

 

クレディスイスはアジアでも事業拡大してきたが、非米側の雄である中国は数年前から金融バブルを積極的に潰しており、これから米欧の金融危機が中国に波及しても米欧に比べて大した被害を被らない。

 

サウジなどアラブ産油国クレディスイスとの取引が多いが、アラブは今後の世界経済の非米化で繁栄するので、それと差し引きすると得るものの方が大きい。

 

 

中長期的に、、金融危機は米国側だけを破壊し、米覇権の衰退を加速する。 

今回の金融危機は、欧米で政治危機につながっていきそうだ。

 

打撃は米国より欧州が強く受ける(米国は政治危機というより内戦に向かっている)。

 

欧州は、新型コロナと温暖化の超愚策(都市閉鎖や化石燃料の使用制限)による経済自滅、ウクライナ戦争の対露制裁の反動による資源類の高騰と不足などにより、すでに経済がかなり弱体化して不況がひどくなっている。

 

今後はそこに金融危機が加わり、欧州の経済難がぐんと悪化する。

 

クレディスイスがあっさり潰れたら、欧州経済は劇的に崩壊する。

 

クレディスイスが合併策で延命したら、欧州経済の崩壊は時間をかけて進む。

 

経済崩壊が速いか遅いかの違いだけだ。

 

これは金融バブル崩壊であり、崩壊したら元に戻らない。

 

 

経済が崩壊するほど、欧州の人々は現状や現政権、今の西欧諸国の左右エリート支配体制、対米従属の安保政策に対する不満をつのらせる。

 

なぜウクライナ支援とロシア敵対を続けねばならないのか疑問だ、おかしいぞと思う人が増えていく。

 

エリート体制の一部であるマスコミが、ウクライナ戦争(やコロナや温暖化)についてとんでもない歪曲報道を続け、人々を騙してきたことが露呈していく。

 

欧州人は、本当は米英が悪いのにロシアが悪いと思い込まされ、本当はロシアが優勢なのにウクライナが優勢だからもうすぐ勝てると思い込まされて自滅的な対露制裁に協力してきた。

 

最近これらのウソがバレ始めている。

 

ドイツが敷いたノルドストリームの海底ガスパイプラインを、米軍がバイデンの命令で爆破したこともバレていく。 

 


ロシア敵視やコロナやウクライナのウソを信じ込まされた挙げ句、欧州人の多くは生活が大幅に悪化した。

 

今後はそこに金融崩壊によるリーマン危機以上の経済悪化が加わる。

 

フランスではマクロン大統領が年金受給開始年齢の引き上げ策を何とか実現しようと、議会の反対を無視して大統領権限で決定を強行したので人々が激怒し、大規模な反対運動・反政府運動が起きている。

 

 

欧州人はすでにかなり怒っている。

 

今後はそこに金融破綻による経済難が加わり、怒りが加速する。

 

この状態がひどくなると、ウクライナ戦争をやめてロシアと和平すべきだと主張する政治勢力が欧州各国で強まり、その政党が選挙で勝って政権交代になり、ウクライナ戦争から欧州が離脱していく。

 

西欧のハンガリー化が起きる。

 

欧州が対米自立して米国との同盟関係を解消していき、NATOが解体する。

そうした展開は、まだまだ先でないかという感じもする。

 

フランスのルペンやドイツのAfDが政権をとりそうな感じはまだ弱い。

 

 

しかし、もしかして米国側の崩壊によるウクライナ戦争の終わりやNATOの崩壊が近いことを前提に動いているのでないかと思われる国家指導者たちがいる。

 

それは、フィンランドNATO加盟を承認したトルコのエルドアン大統領と、夏までにウクライナの停戦和平をやれるかもしれないと言いつつ、米覇権崩壊後の中露と非米側の経済体制作りについてプーチンと話すためにモスクワを訪問する中国の習近平主席だ。

 

習近平は、4-5月に予定していた訪露を早めて3月20日からにした。 

 


エルドアンは、数年前にシリア内戦でトルコがロシアの傘下に入らざるを得なくなって以来、NATOに加盟したままこっそりプーチンの味方をし続けている「隠れ親露派」である。

 

だからエルドアンウクライナ開戦後、フィンランドスウェーデンり北欧2国がNATOに入りたいと申請したとき、NATOの全会一致の原則を使って加盟に反対して拒否権を発動して申請を止めた。

 

それ以来北欧2国はトルコと話し合っているが、エルドアンは2国が拒否せざるを得ない条件を出して交渉を頓挫させて加盟を止めてきた。

 

そのエルドアンが突然、譲歩をしてフィンランドNATO加盟を認めた。

 

スウェーデンはまだダメだと言いつつ、さらに交渉を続けると言っている。

 

一体何があったのか。 

 

 

エルドアンプーチンに恩を売るために、北欧2国のNATO加盟を止めてきた。

 

エルドアンが2国の加盟を認め始めたのは、もうすぐウクライナ戦争が終わってNATOが機能不全になるのでプーチンに対する奉公が完了するので、その前に2国がトルコに対して譲歩できる分のお土産だけもらって2国の加盟を許すことにしたのでないか。

 

訪露を前倒しした習近平も、金融からの米覇権崩壊が早まって米国側の戦争体制も崩れるので、早くその後の覇権体制を決めようとプーチンに誘われたのでないか。 

イスラエルでは、最近の中国仲裁によるイランとサウジの和解を受けて、元諜報長官がイスラエルもイランと和解せざるを得ない」と米CNNの取材に対して答えている。

 

仰天の転換だ(私は前から予測して何度も記事に書いてきたが)。

 

米国の覇権衰退が進んで米イスラエルの同盟関係が崩れ、米国はネタニヤフ首相の訪米を認めず、ネタニヤフは怒って対米関係を断絶している。

米覇権がいよいよ終わるので、日韓は協力して対米自立していかざるを得なくなり、昔の戦争プロパガンダに起因する「戦争責任」の喧嘩をやめることにした。

 

 

もうすぐ米覇権が終わって露中が台頭するので、国際刑事裁判所が最後っ屁みたいなプーチンの逮捕状を発行した。

 

 

 

米金融の崩壊が近いので、黒田の日銀はゼロ金利策をやめずに延長した。

 

 

 

今の金融危機で、米覇権の衰退がさらに加速する。

 

米国側はウクライナ戦争を続けられなくなり、欧州人が激怒して対米従属のエリート支配体制を打ち破り、欧州が対米従属をやめて対露和解していき、NATOが機能を停止する。

 

CSがすぐに潰れればそれが早回しされる。

 

UBSによる合併で延命したら、この転換は少しゆっくり進む。

 

私は今、そんな風に分析している。