きなこのブログ

大失業時代が到来しています。大失業の恐ろしさを歴史から学ばなければならない。『大失業は戦争への道につながっている』

非米側が主導する多極型世界

 

欧州を多極型世界の極の一つにする
https://tanakanews.com/230416macron.htm

フランスのマクロン大統領らが4月4-7日に中国を訪問した。

 

昨秋に独裁を確立した習近平が、世界を多極化するために、イランとサウジの和解仲裁や、訪露してウクライナ戦争の和平仲裁を提案するなど、外交攻勢に打って出た。

 

これに呼応してマクロンが訪中した。 

 

 

 

 

米国側は、台湾問題や中露結束を理由に中国への非難を強めており、マクロンも中国を批判・加圧するような感じをばらまきつつ訪中した。

 

だが蓋を開けてみると、マクロンは中国を批判せず、逆に、中国と戦略パートナー関係を締結して協力し合うことを決めた。

 

またマクロンは、欧州を米中と並ぶ世界の極の一つにしたいとか、欧州は米国の傀儡から自立せねばならないとか、台湾問題は欧州が関与すべき問題でないとか、ドルへの依存を下げるべきだなど、反米非米的な発言を連発した。 

 

 

米国では連邦議員らがマクロンの「裏切り」をなじっている。

 

フランスは民主的な台湾を見捨てたとか。

 

2003年のイラク侵攻の時もフランスは反対したが口だけだった。

 

米議会はフランスを非難して議員食堂の「フレンチフライ」を「フリーダムフライ」に改名した。

 

あの時の茶番劇の再演だという感じの言われ方もしている。

 

 

フランスは、マクロンの訪中に合わせ、中国から初めて人民元建てで液化天然ガスを買ったりもしている。

 

マクロンは、何のために中国に行ったのか。

 

ロシアから買えなくなって不足している石油ガスを中国に売ってもらうのが主目的で、反米非米発言は目くらましだったのか??。

 

言葉で反米非米を言っても、行動が伴わなければ意味がない。

 

訪中後のマクロンの言動に注目していたら、どうやら欧州諸国の指導者や政治家らを説得し、欧州の上層部を動かして対米自立の方向に転換させようとしているようだ。 

 

 

欧州は対米従属であるがゆえに昨春来、米国主導のウクライナ戦争・ロシア敵視に参加して自滅的な対露制裁をやらされ、経済・社会的に壊滅がひどくなっている。

 

 

 

多くの欧州諸国の上層部の人々が、対米従属に基づくロシア敵視・対露制裁を早くやめないと、欧州は自滅して立ち直れなくなると危惧してきた。

 

上層部の人々はそう思っても、米国に非難されたくないので口に出せない。

 

中露BRICSなど非米諸国は結束してドル使用を減らすなど、米覇権体制を崩しにかかっている。

 

 

 

欧州人の懸念は強まるばかりだ。

 

ロシアと最後まで敵対したがるのはポーランドや英国ぐらいだポーランドも、ウクライナが負けたら西半分を併合して自国領にしてしまう)。 

そんな中、マクロンが訪中し、欧州を対米自立させて多極型世界における極の一つにするんだと言い出した。

 

欧州エリートの多くがマクロンの動きを歓迎している。

 

訪中後のマクロンは、欧州各国のエリートたちと目立たないように話し合い、欧州をどうやって対米自立させて世界の極の一つにしていくか考えているのだろう。

 

欧州は先日11回目の対露制裁を発動しており、まだロシア敵視を続けている。

 

だが、今のマクロンの動きが成功すると、欧州は米国主導のロシア敵視に乗らなくなり、中国の和平仲裁に賛成するようになる。 

マクロンの策が成功すると、フランスは国連安保理などで中露を敵視しない傾向を強めるだろう。

 

常任理事国であるフランスが、米国側から中国側に転向したことになる。

 

フランスが転向すると、安保理は3:2(米英仏:中露)だったのが2:3(米英:中露仏)になって非米側の勝ちになる。

 

これは中国にとってうれしい。

 

習近平マクロンを大歓迎したのは当然だった。 

今のところ欧州が米国側から離反して非米側に移る気配はない。

 

ドイツなども沈黙している。

 

ドイツは日本同様に敗戦国だから、今のような大戦代替的な地政学的な大転換に際しては発言権がない。

 

だから日本もドイツも見てみぬふりをしつつ黙っている。

 

欧州は動いていないが、非米側は政治的にさかんに動いている。

 

ブラジルのルーラ大統領が中国を訪問し、ウクライナ和平だけでなく、BRICS内部の貿易からドルを排除する提案もしていった。

 

インドも中国に影響され、自国と非米諸国の貿易決済をドルでなくルピーでやる新戦略を打ち出した。 

 

 

政治的には世界の非ドル化が進んでいる。

 

だが経済的には、ドルに大転換が起きているわけではない。

 

米国の銀行危機はおさまっている。

 

米連銀はQTを再開した。

 

ドルはまだ崩壊していない。

 

 

この数年はこれまでも、経済的な転換よりも先に国際政治的な言説が先行してきた。

 

2-3年前と今を比べると、世界において中国が大幅に台頭したことを見れば、国際政治的な大変化が見て取れる。

 

今や非米側は世界の多数派になった。

 

だから遅れを取らぬよう、欧州を代表してマクロンが訪中した。

 

政治的な多極化が進んだ後で、経済的な多極化つまりドルや債券の崩壊(金利高騰など)が起きるのでないか。



国連はすでに非米側のものだ(米国は22年前に単独覇権を宣言したころから国連での覇権を放棄し、中国などが国連覇権を拾い集めてきた)。

 

国連では、コロナに続く新たなパンデミックや世界的な経済危機などの有事が起きた時に、その対策を口実に世界の支配権を国連に集中させる新政策を打ち出している。

 

この手の策略は以前なら「米覇権の強化策か??」と勘ぐられたが、今では逆に「中国やBRICSが有事を口実に国連を通じて世界支配を強化したいのではないか??」と勘ぐられる。

 

後知恵で言うと、新型コロナはそうした有事利用の非米側の覇権拡大策(世界政府作り)の先鞭だったことになる。 

また国連IMFは最近、国際的なデジタル通貨(世界通貨ユニット。ユニコイン、Ü)の発行計画を発表した。

 

 

 

世界の諸政府と中銀群と民間金融機関の集合体であるDCMAが発行し、既存の諸通貨との交換性を持つという。

 

この手の話は浮かんでは消えてきた観もあるが、実際にドル基軸が崩壊したらこういうものが必要になるともいえる。

 

新世界秩序は、非米側が主導する多極型世界として具現化していく。

 

フランスもEUも、日独も、最後は米英も、そこに入っていかざるを得なくなる。 

 

 

中露とイランとパキスタンの外相がウズベクに集まって、アフガニスタンの復興について話し合っている。

 

 

 

米国側が無茶苦茶にした世界を、非米側が立て直し始めている。

 

 

中国やロシアは全く悪くない。

 

むしろ素晴らしい。

 

悪いのは米英とその傀儡の方である。

 

そうした現実を全く報じず、歪曲したウソばかり報じている米国側のマスコミや権威筋も極悪である。