国務長官が「ひとつの中国」政策を継続するとした翌日、大統領がその発言を否定
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202306230000/
アントニー・ブリンケン国務長官は6月19日に北京で中国の習近平と会談、アメリカは台湾の独立を支持しないと語った。
ウクライナでロシアに敗北し、ドル体制を支えてきたサウジアラビアが離反するなどアメリカの置かれた状況は厳しくなっている。
昨年4月30日にウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めたナンシー・ペロシ米下院議長(当時)は8月2日に台湾を訪問、蔡英文総統と会うことで「ひとつの中国」を否定した。
中国は反発、東アジアの軍事的な緊張は強まる。
アメリカ政府は中華人民共和国を中国における唯一の合法政府であると1978年の米中共同声明で承認、その政策を続けてきた。
この政策への門を開いたのは1972年のリチャード・ニクソン大統領による中国訪問。
アメリカは1979年に中国と国交を樹立、台湾と断交した。
その政策をペロシの台湾訪問は壊す行為だ。
ブリンケンは今回の訪問で台湾の独立を支持しないと明言、アメリカと中国の関係を安定させたいと語った。
「ひとつの中国」政策を継続するという意思表明だ。
1980年代に中国を自分たちの影響下に置いたとアメリカの支配層は認識していたが、バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行し、香港で反中国運動を仕掛けた2014年以降、ロシアと中国は急速に接近し、同盟関係を結ぶ。
これはアメリカの戦略を揺るがす展開だ。
しかもウクライナのクーデター体制は事実上、崩壊した。
アメリカ/NATOの支援で何とか生き延びている、いわば「ゾンビ」状態だ。
そこで東アジアへ「転進」しようと目論んだ勢力がいるようだが、製造を中国に依存してきたアメリカは中国との関係を断ち切るわけにはいかないはずで、ブリンケンが中国で「唯一の中国」を確認したのはそのためだろう。
しかし、ブリンケンの発言をジョー・バイデン大統領は6月20日に覆してしまう。
カリフォルニアで開かれたイベントでバイデンは習近平を「独裁者」と呼び、「Quad」の話をしている。
Quadはアメリカ、オーストラリア、インド、そして日本で構成される「反中国」の軍事同盟だ。
アメリカとオーストラリアはイギリスを加えた3カ国で「AUKUS」という軍事同盟も組織、オーストラリアはアメリカとイギリスの技術で原子力潜水艦を建造すると報道された。
ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと指摘している。
すでにロシアはアメリカと問題を外交的に解決することができないと認識しているが、バイデン発言によって中国も同じように考える可能性が高い。
昨年、アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されている。
RANDによると、そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだ。
しかし、その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力するという形にした。
ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。
実際、自衛隊は南西諸島にミサイル発射基地を建設してきた。
2016年には与那国島、19年には宮古島と奄美大島、今年3月には石垣島で駐屯地が建設されている。
日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。
例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。
極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。
2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。
政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられているが、
その背景にアメリカのGBIRM計画があった。
日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。
それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。
こうした当初の計画では準備が間に合わない事情がアメリカに生じ、トマホークを購入することにしたのだろう。
NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言。
2024年中に連絡事務所をNATOは連絡事務所を東京に設置するという
また、オーストラリアは2021年9月、イギリスやアメリカとAUKUSなる軍事同盟を創設したと発表、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。
バイデン大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。
アメリカはこうした流れの中に今もいることをバイデン発言は示している、少なくとも中国はそのように考えるだろう。
ブラックロック:ウクライナの戦争はカネ儲けのチャンス
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202306240001/
ブラックロックは「闇の銀行」のひとつだ。
「闇の銀行」とは銀行のような規制は受けない巨大金融機関で、メディアやシリコンバレーのハイテク企業を含むアメリカの主要500社の9割近くを支配している。
ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも関係が深い。
ウクライナは兵器のほか「復興資金」を西側政府から提供されているが、その資金の使い道に関してアドバイスしているのがブラックロックだという。
そのブラックロックで採用担当者だというセルジュ・バーレーとの話をジェームズ・オキーフのチームは隠し撮りし、その映像を公開した。
汚職まみれのゼレンスキー大統領だが、今年1月、ブラックロックのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にあることを明らかにしている。
アメリカの実業家に対し、軍事だけでなく建設、通信、農業、輸送、IT、金融、そして医療の分野でウクライナと手を組むすべての人が大儲けできると訴えている。
ウクライナでの内戦は2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権が実行したクーデターから始まる。
2010年の大統領選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチをネオコンは排除したかったのだ。
ウクライナに反ロシア体制を築いてドイツとロシアを分断、両国を弱体化しようとしたのだ。
ヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部と南部はソ連時代にロシアからウクライナへ割譲されたこともあり、住民の7割以上がロシア語を話し、東方正教会の文化圏に属す。
1991年12月にソ連が消滅した直後から住民の大半はロシアへ戻ることを望んでいた。
ウクライナ語を話し、カトリック文化圏の西部とは別だと考えた方が良いだろう。
キエフにおけるクーデターでヤヌコビッチを排除することに成功したアメリカ政府だが、資源地帯である東部や軍事的に重要なクリミアの制圧には失敗した。
そこで2014年以降、アメリカ/NATOはクーデター体制の戦力を増強、ドンバス周辺に要塞線を建設、攻撃するチャンスを待っていた。
昨年春、そのチャンスが到来したとアメリカ/NATOは考えたが、その直前、ロシア軍はウクライナ軍に対するミサイル攻撃を始めている。
こうした戦略を利用し、西側の大企業は大儲けしてきた。
兵器の製造メーカーが儲かることは言うまでもないが、ブラックロックのような金融機関にとってもビジネス・チャンスだ。
兵器メーカーに投資しているというだけでなく、穀物をはじめとする商品の相場が大きく動くため大儲けすることができる。
不安定な状況はビジネスにとって良いことだとセルジュ・バーレーは語っている。
オキーフはプロジェクト・ベリタスを創設、有力メディアが触れない権力の闇に切り込んでいたが、ファイザーの研究開発ディレクターだというジョーダン・ウォーカーとの会話を隠し撮りして公表した後にベリタスの幹部と衝突、組織から離れた。
幹部は「有給休暇」だとしていたが、オキーフは幹部に辞任を求め、それを受け入れないならば自分が辞めると宣言、辞めた。
ブラックロックのような巨大資本は戦争がカネになると考えているわけだが、ウクライナではジョー・バイデン政権の思惑が外れ、ロシアが圧倒的に有利な戦況だ。
勿論、バイデン政権はこうした展開になると予想していなかったはずだ。
ロシア軍が攻撃を始めた直後、アメリカの好戦派はロシアが罠にかかったと信じ、喝采していたようだ。
西側のメディアはアメリカの好戦派が事前に作成したシナリオに従って「報道」したのだろうが、彼らの作戦通りにロシア軍は動かなかった。
アメリカ/NATOは2014年から8年かけてドンバスを要塞線で囲んでいたと言われ、その中へロシア軍を誘い込むためにドンバスで住民を虐殺する計画を立てていたことを示す文書がある。
要塞線の中にロシア軍を閉じ込め、クリミアを攻撃するという手順だった可能性がある。
しかし、ロシア政府の動きは早く、ウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認した直後にドンバス周辺に集結していたウクライナ軍や外国の部隊をミサイルで攻撃、壊滅させた。
しかもロシア軍の地上部隊はドンバスへ入らない。
戦ったのは現地部隊、チェチェン部隊、そしてワグナー・グループだ。
こうした窮地から脱出するひとつの手段として、アメリカ/NATOがF-16を利用した核攻撃、あるいは「汚い爆弾」でウクライナやロシアを放射能まみれにする可能性を指摘する人は少なくない。
そこで、6月12日から23日まで実施されたNATOの軍事演習「エア・ディフェンダー23」を利用、そのままNATO軍がロシアを攻撃するのではないかと懸念する人もいた。
そうした事態になればバイデンの敗北しそうな来年の大統領選挙は消えてしまう可能性がある。
それに対し、ロシアは局地的な核戦争はありえないと警告、行動でも示してきた。
ロシアは新しいフリゲート艦に極超音速ミサイルを搭載、また戦略ミサイル部隊の約半数がヤースミサイル・システムを装備し、極超音速弾頭アバンガルドを搭載した最新のミサイルシステムによる再武装が進んでいるとウラジミル・プーチン大統領は6月21日に述べた。
アメリカ/NATOはこうしたミサイルのターゲットになるというわけだろう。
それだけでなく、ここにきてチェチェンの指導者ラムザン・カディロフは歩兵機動車ティグルを中国から受け取ったと語ったようだ。
https://defence-blog.com/russian-military-receives-chinese-armored-vehicles/
この車両はの乗員は2名で、完全装備の歩兵9名を乗せることがでる。
この供与は戦力的に大きな意味はないが、ロシアと中国が軍事同盟を結んでいることを示している。
アメリカ/NATOはロシアと中国、どちらかだけと戦争することは不可能ということであり、単なる相場の材料だと考えるべきでもない。