鳩山政治とは何であったのか
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戦後日本は一貫して米国の隷属下、米軍の占領下におかれてきた。
そうした中で2009年9月に対米自立・脱官僚政治を志向した鳩山政権が誕生し、事務次官会議の廃止、特別会計の見直し、年次改革要望書の取り止め、普天間基地辺野古移設の見直し、東アジア共同体構想の提起など実現出来なかった政策も含めて大きな功績を残した。
メディアは特定の人物群を激しく攻撃する。
ヒステリックな対応。
その標的にされてきた中核は鳩山友紀夫氏と小沢一郎氏である。
同じ文脈で私も激しい攻撃を受け続けてきた。
鳩山内閣が存在したのは2009年9月から2010年6月までの9ヵ月。
鳩山内閣が終焉して14年の時間が経過しようとしている。
長い時間が経過した。
存命している歴代首相のなかで鳩山友紀夫氏だけが、いまなおメディアの攻撃の対象にされ続けている。
極めて陰湿で執拗な攻撃だ。
ものごとの真相、深層は逆に考えると分かりやすい。
なぜこれほど執拗に鳩山元総理が攻撃されるのか。
これほど陰湿に攻撃しなければならないほど、依然として鳩山元総理は特定勢力にとって「脅威」なのである
攻撃されていること自体が「脅威」の象徴と考えて間違いないと思う
私は2010年に『日本の独立』(飛鳥新社)を上梓した。
出版記念講演会には鳩山元総理も駆けつけてくださった。
この本で私が捉える日本の「国のかたち」を描いた。
それが「米官業政電の利権複合体」である。
「悪徳ペンタゴン(五角形)」とも表現した。
正確に表現すると、米国が支配するピラミッド構造である
米国が日本の官僚機構、大資本、利権政治勢力を支配して日本を統治する構造だ。
この日本支配を存続させるために最大の役割を担うのが電波産業=メディアである。
このメディアを用いて激しい人物破壊工作が展開され続けている。
鳩山友紀夫氏も小沢一郎氏も、そして私も激しい人物破壊工作の標的にされてきた。
その理由は明快だ。
米国が支配する日本政治構造を破壊する危険人物であるということ。
2009年8月30日の総選挙を通じて鳩山友紀夫内閣が誕生した。
日本政治史における金字塔である。
文字通り、日本政治構造、日本の「国のかたち」を根底から刷新する明確な方針が示された。
しかし、政権交代は手段であって目的ではない。
スタートであってゴールではない。
2010年7月参院選で勝利を重ねて、初めて日本政治刷新の現実化が進行するはずだった。
しかし、敵もさるもの。
この前に総攻撃が展開されて鳩山内閣は2010年6月に破壊された。
1月27日に東京湯島の全国家電会館にて独立言論フォーラム(ISF)主催の公開シンポジウムが開催された。
テーマは「鳩山政権の誕生と崩壊 〜政権交代で何を目指したのか〜」
鳩山友紀夫元内閣総理大臣
川内博史前衆議院議員
原口一博衆議院議員
が登壇され、
ジャーナリストの鳥越俊太郎氏がビデオでのメッセージを寄せられた。
池田としえ日野市議会議員も参加され、2月1日に予定している日米合同委員会に対する抗議行動についての問題提起をされた。
シンポジウムには私も登壇させていただいた。
鳩山元総理から鳩山内閣が提示した諸施策についての詳細なお話があった。
また、鳩山内閣樹立に尽力された原口一博議員、川内博史議員(当時)から、非常に分かりやすい総括があった。
ISFが動画を公開される予定なので、ぜひご高覧されることをお勧めしたい。
鳩山内閣は彗星のように過ぎ去った。
15年前に日本に差し込んだ一条の光である。
日本政治を根底から刷新しようとしたがために、激しい攻撃を受けて破壊された。
鳩山内閣を破壊した者は鳩山内閣の中にも潜んでいた。
鳩山内閣で総務大臣を務めた原口一博議員の証言は重い。
日本政治を再度刷新する必要性が高まっているが、現在の立憲民主党にその役割を期待することは難しい。
しかし、原口一博議員がその事実認識を踏まえて行動を計画されていることを明らかにされた。
未来に向けての一条の光が再度差し込んだと言ってよいだろう。
実は原口一博氏が民主党代表選に挑んだ際に選対本部長を担ったのが川内博史氏であった。
原口一博氏、川内博史氏は鳩山内閣の本質を正確に理解されている。
そして、その本質を、これからの日本で再生することの重要性を強く訴えられた。
川内氏のシンポジウムでの指摘は、私にとって新たな発見だった。
日本国憲法は平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を根本原理としているが、敗戦後日本の政治を支配してきた自民党政治は、この根本原理とかけ離れていることを川内氏が指摘された。
考えてみれば、川内氏の指摘は正鵠を射ている。
川内氏は自民党所属政治家たちの言葉を例示された。
「そもそも国民に主権があることがおかしい」(西田氏)
「天賦人権説をとるのは止めようというのが私達の基本的な考え」(片山さつき氏)
2012年4月に発表された自民党憲法改正草案を見れば川内氏の指摘が正鵠を射ていることが当然であることもうなずける。
立憲主義を否定し、基本的人権を制限、平和主義を放棄するものである。
鳩山内閣の根本が二つあった。
第一は、対米隷属からの脱却。
独立自尊の確立だ。
この点は明確であり、広く理解は共有されている。
第二は、本当の意味の人権と民主主義の重視。
政治が誰のために存在するのか。
自民党政治は一言で表現して、大資本と金持ちのための政治である。
このことは裏を返せば、一般庶民の立場を無視するもの。
一般庶民が死のうが苦しもうが、彼らは意に介さない。
うすうす感じてはいたものの、そこまで明確な認識は薄かったかも知れない。
悪徳政治とはいえ、日本国憲法は残存しているのである。
日本国憲法の根本を、意識して踏みにじっているというところまでの認識は不足していたかも知れない。
しかし、川内氏の指摘を契機に現実を見つめ直すならば、川内氏の指摘が正鵠を射ていると言うほかない。
かれらは弱き者、一般市民を差別、虐待する存在である。
大地震の対応を見ても納得がゆく。
この根本を変えた、変えようとしたのが鳩山内閣だった。
「一人も取り残さない」
すべての国民の側に寄り添う「温かみのある政治」を確立しようとした。
いま、何よりも求められているのは、この「温かな心のある政治」である。
この意味で「鳩山政治を取り戻す」ことが日本政治の最重要課題である。
このことを明確に再確認できた意義あるシンポジウムだった。