きなこのブログ

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CIAに動かされているフランス大統領選挙 4

フランス大統領選でルペンが勝つかも
https://tanakanews.com/220422LePen.htm

4月24日にフランスで大統領選の決選投票が行われる。

 

現職のマクロンと、右翼(保守派)のルペンとの二択だ。

 

5年に一度の仏大統領は、前回の2017年もマクロンとルペンが決選投票に臨み、66%対34%でマクロンが圧勝した。

 

だが今回は接戦だ。

 

4月14-15日時点の世論調査ではマクロン43%、ルペン41%。マクロンの優勢が2ポイントしかなく、有権者の16%が未決定だった。 

 

 

今回の仏大統領選は10人が立候補し、4月10日の1回目の投票で、マクロン26%、ルペン23%、左翼のメランション17%の3人が10%以上の得票を得て、マクロンとルペンの決選投票になった。

 

前回2017年は、1回目の得票の3位以下の候補(中道右派のフィヨン20%、メランション19%)の支持票の大半が決選投票でマクロンに入ったので、マクロンが圧勝した。

 

だが今回は、1回目でメランションを支持した人に対する世論調査の結果として、決選投票でマクロン支持が28%、ルペン支持が26%となっていて拮抗している。 

メランション自身が「決選投票でルペンに入れるな」と支持者に言っているので、それに従う左翼は反ルペン票を消極的にマクロンに入れる。

 

それ以外の左翼はメランションの言いつけに従わず、ルペンの貧困対策など経済政策が左翼と似ているので決選投票で積極的にルペンに入れる。

 

2017年の前回選挙で初当選したマクロンは、中道左派として振る舞っていたので左翼からも支持され当選した。

 

しかし、大統領としての政策はむしろ中道右派的だった。

 

しかもマクロンの経済政策の多くがうまくいかなかったので、左翼は裏切られたと思っている。

 

今回の決選投票は、ルペンに入れる左翼が増える。

 

 

有権者の全体で、マクロン票の中には右翼を嫌う反ルペン票(消極票)が多い。

 

対照的に、ルペン票の中には政策を支持する積極票が多い。

 

支持者に占める熱心な人の割合は、マクロン54%、ルペン64%だ。

 

当日の天候や社会情勢などの影響で全体的な投票率が低いほど積極票が多くなり、ルペンが有利になる。

 

投票率が高くても接戦になり、マクロンが勝っても辛勝になる。

4月20日にはマクロンとルペンのテレビ討論会が行われた。

 

2017年の前回大統領選では、決選投票前のテレビ討論会でルペンがマクロンより明らかに劣勢になり、それが決選投票でのルペン惨敗の一因になったとされている。

 

しかし今回の討論会では、

ルペンがロシアの銀行から選挙資金を借りていたこと(いつもの誹謗)マクロンが蒸し返したのに対し、

ルペンが「それはフランスの銀行が(エリート支配を崩そうとするルペンへの妨害策として)選挙資金を貸さない不当行為をしたから、仕方なく外国銀行から借りただけだ」という趣旨をうまく返答してマクロンを苛立たせるなど、

2017年よりかなり健闘した。

 

選挙戦全体で、ルペンは「ロシアは大国なのだから協調関係を維持するのが良い」と言う半面、「中露の結束は脅威だ」と言ったりしてバランスをとっている。 


ルペンは親ロシア・親プーチンの傾向がある。

 

米国が数年前からロシア敵視の戦略をとって欧州にも強要し、マスコミなどがロシア敵視のプロパガンダで欧州を席巻するなかで、ルペン=ロシアの傀儡=売国奴という図式がマスコミ権威筋や左翼のなかで定着してきた。

 

しかし今回の選挙に際してルペンは「ロシアの傀儡」という印象をかなり払拭している。

 

4月14-15日の世論調査で「ルペンは親露すぎるか」という問いに対し、はい43%、いいえ45%だった。

 

また同じ調査で、ロシアのウクライナ侵攻が今の最大の懸念要因だと答えた人は7%(マクロン支持者だけだと11%)しかおらず、フランスにとっての最大の脅威は何かという問に対しても、テロ33%、中国22%の順で、ロシアは第3位の20%だった。

 

マスコミがロシアの脅威をいくら誇張しても、フランスの市民はそれに乗せられていない。

 

ルペンをロシアと結びつけて非難する上からの策略も効果が落ちている。 


人々の懸念は、ロシアやウクライナでなく、ひどくなるインフレ(庶民の生活苦)や、貧富格差の拡大、コロナ対策の愚策な都市閉鎖が続いたことによる経済破綻であり、それらはマクロンの経済政策の失敗とみなされている(それらは先進諸国全体の傾向で、どこの国で誰がやってもうまくいかないが)。

 

マクロンの経済政策への評価は、賛成37%、反対59%だ。

 

今の最大の懸念要因はインフレによる生活苦だと答えた人が54%いた(ルペン支持者だけだと69%)。

 

「フランスは正しい方向に進んでいるか」という問いに対し、いる38%、いない62%だった。

 

マクロンは2017年の大統領選で、エリート支配を壊して、正しい方向に進んでいないフランスを方向転換して良くすると宣言して当選した。

 

しかし就任後のマクロンはエリート支配に絡め取られ、事態を変えられなかった。

フランスの貧困層から見るとマクロンは、庶民の現実がわかっていないエリートな官僚機構を象徴する存在になっている。

 

フランスにはもっと過激にエリート支配に対抗する指導者が必要だ。

 

そういう流れで右翼のルペンが有権者に注目されている。

 

北アフリカや中東からの移民・経済難民を安直に受け入れすぎてあふれている移民問題でも、移民に寛容な中道派が国民に失望されている。

 

エリートが主導する中道の右派と左派は、安い労働力が増えるという資本家的な隠れた意図から、人権擁護を口実に移民を入れてきた。

 

もっと左にいる左翼も、人権擁護の立場から移民に寛容だった。

 

しかしフランスだけでなく西欧全体が、不用意に移民を受け入れすぎて大失敗しており、ほとんどの人がそれに怒っている。

 

移民受け入れに明確に反対している右翼の支持が増えるのは自然な流れだ。

ルペンは「極右」とレッテル貼らされている。

 

「極右」は印象として「テロリスト」「過激派」に近い響きであり、この呼び方自体が誹謗中傷を含んでいる。

 

実際のルペンは「保守的なポピュリズム政治家」だ。

 

米国のトランプに近い。

 

トランプは、二大政党制(エリート主導の2政党しか認めない体制)の右側の共和党から当選したが、大統領の4年間とその後の展開を通じてトランプは共和党のエリート主導体制を破壊し、共和党を自分が主導する保守的なポピュリズム政党に変質させた。

 

米国のエリート支配を破壊したトランプは、エリート支配の一機能であるマスコミ権威筋から猛然と攻撃・誹謗中傷され、2020年の大統領選で民主党側から不正をやられて落選させられた。

 

だが、その後もトランプは保守的な人々から強く支持され、「トランプ党」と化した共和党と合わせ、今年の中間選挙(議会選挙)と2024年の大統領選で返り咲きそうな勢いだ。

 

 


ルペンも大統領に当選した場合、トランプと似たような展開をEU全体に引き起こす。

 

米国でも欧州でも、エリート主導の中道右派・左派の政治勢力は、移民問題、貧富格差、インフレ、コロナ対策、ウクライナ戦争(ロシア敵視)などの諸問題で(諜報界の隠れ多極主義=米覇権自滅派から仕組まれて)連続して失敗せられている。

 

トランプやルペンなどの保守派のポピュリスト指導者が出てきてエリート支配体制を潰しにかかるのはまっとうな流れだ。

 

 


エリート側は猛反撃する。

 

エリート支配体制の一部である官僚機構(検察や捜査機関)は、トランプやルペンらポピュリスト政治家にロシアゲートに象徴される犯罪の濡れ衣をかける。

 

ルペンも、すでにEUから横領の容疑をかけられている。

 

マスコミ権威筋は、トランプやルペンを危険人物として描き、大統領として不適格だと客観報道を装った誹謗中傷を流し続けて潰そうとする。

 

世論調査も不正に操作される。

 

エリート側はルペン勝利を全力で阻止しようとするだろうから、今回の仏大統領選でも、もしかすると選挙不正マクロンの勝ちになるかもしれない。

 

そこまでやれない場合、スキャンダルが用意されたりする。

https://www.strategic-culture.org/news/2022/04/11/be-prepared-for-smear-campaign-against-le-pen-whose-ideas-threaten-the-eu-as-we-know-it/

 

インフレや貧富格差の是正は、誰がやってもうまくいかない。

 

ポピュリストがやっても失敗する。

 

ポピュリズムは人気取りでしかない」というエリート側や左翼の指摘は、その点であたっている。

 

しかし、重要な点はそこでない。

 

大事なことは、エリートの代理人が失敗して落選し、ポピュリストが当選して、その後に仕掛けられたスキャンダルなどの妨害工作を乗り越えて何年も政権を握ることで、それまでのエリート支配の構造がはっきり暴露されていくことだ。

 

エリート支配の構造がうまく露呈すれば、もうエリート支配の構造に戻れなくなり、巨悪の不正がやれなくなる。

 

トランプは1期4年しかやれなかったが、米国の諜報界や軍産マスコミ権威筋の不正な構造がけっこう露呈した(それをマスコミが報じないので皆が知るところになっていないが、私はけっこう分析した)。

 

ルペンが仏大統領になると、これまで見えていかなったEU中枢の構造的なインチキさが見えるようになるかもしれない。

EUの捜査当局は4月19日、ルペンが欧州議会の議員だった2004年ごろに資金を横領した疑いで捜査していると発表した。

 

EUは、決選投票の5日前に18年前の疑惑を急に蒸し返してきた。

 

 

これは明らかに、EUルペン当選の可能性を高いと考え、エリート支配機構であるEUの脅威になりそうなので妨害策を打つことにしたものだ。

 

ルペン当選の可能性が高いのだ。

 

しかし捜査開始の宣言は、フランスでルペンの得票を減らす効果をもたらすものなのか??。

 

私から見るとかなり疑問だ。

 

フランスで、ルペンが嫌いな人は「やっぱりルペンは悪いやつだ」と思うだろう。

 

しかし彼らはもともとルペンに入れないので関係ない。

 

ルペンが好きな人の多くは、もともとEUが嫌いだ。

 

今回の捜査開始を知って、EUが脅威に感じてルペン当選を妨害しようとしている、EUは許せない、絶対にルペンを当選させる、絶対投票に行くぞ、とルペン好きは思う。

 

EUの妨害策は見かけと裏腹に、ルペンの得票を増やしている。

・・・とか言いつつも私は、決選投票でルペンが勝つ可能性が高いと言い切れない。

 

接戦になるのは確かだ。

 

ルペンが勝ちそうも感じもするが、選挙は水ものなので、どちらが勝つかはわからない。

 

今回の題名は「ルペンが勝ちそう」でなく「勝つかも」にしておいた。

 

山勘としては「勝ちそう」だ。

 

欧州全域で、ルペンやオルバンに象徴される保守派のポピュリストが優勢になる傾向が続いているのも確かだ。

 

今回でなくても、ルペンやその系統の勢力が、フランスなど全欧各地で勝っていくようになる。 

 

 

欧州では4月4日にハンガリーで議会総選挙が行われ、右翼で現職のオルバン首相の与党フィデス(市民同盟)が一院制議会の6割を占めて圧勝し、4期目に入った。

 

オルバンの勝利は、保守ポピュリズムが欧州で台頭している流れを示した。

 

オルバンのハンガリーロシア敵視を拒否しており、重要事項で全会一致が原則のEUは、対露制裁などのロシア敵視策ハンガリーに拒否権を発動され、決定不能に陥っている。

 

ハンガリーは東欧の小国だが、フランスはドイツと並ぶ大国だ。

 

世界の5大国(国連安保理常任理事国、P5)の一つでもある。

 

フランスでルペンが勝つことは、トランプの台頭と並ぶ、国際政治の大転換となる。

 

EUは対露制裁をやれなくなる。

 

対露制裁の天然ガス輸入禁止が実施されると経済が崩壊するドイツなどは、ルペンの当選をひそかに期待しているかもしれない。 

ルペンが勝ったらどうなるかは、勝ってから分析することにする。

 

ルペンはNATOの軍事部門から離脱するが、EUからは抜けず、むしろEUを混乱させる。

 

フランスは1966年から2009年までNATOの軍事部門に入っていなかった。

 

ルペンはフランスをその状態に戻す。

 

ルペンは「石油ガス輸入停止などの対露制裁は、ロシアを打撃せず、欧州の経済を自滅させるだけのハラキリ戦略なので反対だ」と言っており、もし当選したらEUの対露制裁策を潰しにかかる

 

マクロン勝利なら、これまでと同じ冴えないエリート支配の延長になる。