きなこのブログ

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アメリカの言いなりにならないエルドアンが再選

かつて米国に従属、現在露国に接近しているエルドアンがトルコ大統領選で勝利  
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202305300000/

トルコで5月28日に大統領選挙の決選投票が行われ、レジェップ・タイイップ・エルドアンが再選された。

 

ヨーロッパと中東の間にあるトルコは戦略的に重要な国であり、1952年からNATOに加盟しているが、現在はロシアとの連携を強めている。

 

 

アメリカの言いなりにならないエルドアンアメリカ政府は排除しようと試み、失敗した結果だ。

 

 

 

2011年3月にアメリカは同盟関係あったイスラエルサウジアラビアのほか、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、そしてオスマン帝国の再興を夢見るトルコと共同でシリアに対する侵略戦争を始めた。

 

その手先になったのはムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とする戦闘集団。

 

ズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めた仕組みを使ったのだ。

シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは2011年10月にムハンマド・アル・カダフィ体制が倒され、カダフィ自身は惨殺された。

 

それ以降、アメリカなどは戦力をシリアに集中させるのだが、バシャール・アル・アサド政権は倒れない。

 

そこでバラク・オバマ政権は2012年から支援を強化した。

オバマは「穏健派」を支援しているだけだと弁明するが、​アメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月、シリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフィ主義者やムスリム同胞団であり、アル・カイダだとホワイトハウスに報告している​。

https://www.judicialwatch.org/wp-content/uploads/2015/05/Pg.-291-Pgs.-287-293-JW-v-DOD-and-State-14-812-DOD-Release-2015-04-10-final-version11.pdf

 

オバマ大統領が言うような穏健派は存在しないというわけだ。

それだけでなく、DIAはオバマ政権の政策がシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。

 

その警告は2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で出現する。

 

そうした中、2014年8月にフリンは解任された。

そこでオバマ政権は政府を好戦的な布陣に変える。

 

2015年2月に国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。

 

ヘーゲル国防長官やデンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、のヒラリー・クリントン国務長官など好戦派と対立していた。

オバマ大統領が主張する穏健派は存在しないとする報告を出したDIAの局長、マイケル・フリンは2014年8月に退役を強いられていたが、それだけでなくヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任を拒否されている。

 

オバマ大統領は戦争体制を整えた。

 

そこでロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ武装集団を敗走させた。

 

シリアでの戦闘はロシア製兵器の優秀さとロシア軍の強さを知らしめすことになる。

そうした中、2015年11月24日にトルコ軍のF-16がロシア軍のSu-24を待ち伏せ攻撃で撃墜した。

 

トルコ政府が独断で実行できる作戦ではない。

 

オバマ政権はロシア軍をシリアから追い出したかったはずで、アメリカ軍の承認、あるいは命令があったと見られている。

トルコ政府は「国籍不明機」を撃墜したと主張したが、ロシア軍は軍事衝突を避けるため、事前に攻撃計画をアメリカ側に通告していた。

 

しかもアメリカは偵察衛星で監視しているはず。

 

しかもギリシャを拠点とするアメリカ/NATOAWACS(早期警戒管制)機、そしてサウジアラビアAWACS機も飛行していた。

 

11月24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問、トルコ軍幹部と会談していたことは興味深い事実だ。

アメリカの​アシュトン・カーター国防長官は2016年1月22日、陸軍第101空挺師団に所属する1800名をイラクのモスルやシリアのラッカへ派遣すると語り、翌23日にはジョー・バイデン米副大統領が訪問先のトルコでアメリカとトルコはシリアで続いている戦闘を軍事的に解決する用意があると発言した​。

 

 

バイデンの好戦的な姿勢は一貫している。

しかし、アメリカが手先として使っていた武装集団は予想を上回るスピードで敗走し、アメリカの好戦派は戦闘態勢を立て直すことができない。

 

そして2月3日にはヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問してウラジミル・プーチン大統領と会談する。

この会談はアメリカ大統領選挙の流れも変えた。

 

それまでヒラリー・クリントンが次期大統領になると見られていたのだが、共和党ドナルド・トランプに目が向けられるようになり、民主党の候補者選びでバーニー・サンダースが勝つ可能性も出てきたのである。

 

結局、大統領選挙ではトランプが勝利、サウジアラビアの権力バランスも崩した。

 

そこでCIAやFBIはトランプやサンダースを倒すための工作を始め、ロシアゲートをでっち上げる。

2016年6月下旬にトルコ政府はロシア政府にロシア軍機の撃墜を謝罪し、7月13日にトルコ首相はシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆する。

 

戦争が長引き、ロシアと経済的に結びついていたトルコは耐えられなくなっていた。

そして7月15日、トルコで武装蜂起があった。

 

トルコ政府は蜂起の背後にアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたと主張、また蜂起グループはCIAに雇われていたとも言われている。

このクーデター計画の情報を最初につかんだのはシリアの北部に駐留しているロシア軍の通信傍受部隊で、いち早くエルドアン側へ情報を伝えたと言われている。

このクーデターに関係していたと言われているひとりがサウジアラビアの副皇太子だったモハンマド・ビン・サルマンだが、今ではアメリカから離れ、ロシアへ接近している。

 

 

トルコでのクーデターは失敗に終わるが、エルドアン政権はその首謀者をアメリカへ亡命中でCIAの保護下にあると言われているフェトフッラー・ギュレンだと主張、そのギュレンを引き渡すように要求したが、拒否されている。

ギュレンはイスラム法による支配を主張、「ギュレン運動」を展開している。

 

その目的を達成するため、学校を中心とするネットワークを組織、男子だけで寄宿生活を送らせ、ギュレンの思想を叩き込んでギュレンに服従する人間を作り上げているという。

 

この運動の中心はアメリカのペンシルベニア州にある。

CIAがギュレンを守る理由のひとつは、ギュレン運動がCIAの中央アジアカフカスにおける工作で重要な役割を演じているからだ。

 

CIAの中で特にギュレンと近い関係にある人物がグラハム・フラー。

 

ジョージ・H・W・ブッシュと親しく、ズビグネフ・ブレジンスキーアフガニスタンにおける秘密工作でジハード傭兵の仕組みを作り上げた人物でもある。

フラーの娘であるサマンサが結婚していたルスラン・ツァルナエフは1992年からUSAIDの「顧問」としてカザフスタンで働いていたと言われ、CIAと関係がある可能性は高い。

 

フラーは2013年4月にボストン・マラソンゴールライン近くで引き起こされた爆破事件の容疑者、タメルラン・ツァルナエフとジョハル・ツァルナエフのオジでもある。

アル・カイダ武装集団やダーイッシュなどが敗走したことからアメリカ政府はクルドを手先として使い始めるが、エルドアンクルドを敵視している。

 

これもトルコとアメリカとの関係を悪化させる原因になった。

エルドアンを民主主義的な人物だということはできないが、そのエルドアンを排除しようとしているアメリカの支配層はエルドアンを上回る反民主主義的な集団、つまり帝国主義者だ。