きなこのブログ

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日本政界とアメリカ政界の統一教会 1

『タイム』誌に統一教会についての記事が出た
http://suinikki.blog.jp/archives/88450481.html

最近、『タイム』誌が統一教会についての長い記事を発表した。

 

統一教会が日本政界、特に自民党に深く浸透していたことを紹介しているが、後半は、統一教会内部の分裂や、アメリカ政界への浸透を紹介する内容になっている。

 

安倍晋三元首相殺害から、日本では統一教会の政治からの排除まで進んだ。

 

日本での霊感商法や莫大な献金統一教会の主要な資金源であったことから、日本での活動が縮小することは統一教会にとっては痛手となるだろう。

 

しかし、自民党が本当に統一教会と決別するのか、日本政界が統一教会の新党を排除し、浄化されるのかは不明だ。

 

それほどに根深い問題である。
 

今回、タイムが掲載した記事は、統一教会アメリカ政界に浸透しているという内容だ。

 

そして、指桑罵槐(しそうばかい)」(ある人物を非難しているようで、実際には遠回しに別の人物を非難する手法)で、ドナルド・トランプ前大統領を非難している内容だ。

 

 

ドナルド・トランプ統一教会が深い関係にあることをところどころに書いている。

今回の記事について足りないと感じているのは、日本政界への浸透ぶりと、岸信介安倍晋太郎安倍晋三と続く血脈が、協力関係にあったアメリカのCIAと統一教会と深くかかわり、日本人と日本のお金をこれらに貢ぐことに貢献したということが書かれていないことだ。

非常に長い論稿であるので、冒頭の紹介はこれくらいにして、中身を読んでいただきたい。

 

この記事にもヴェクトルがかかっているので、トランプ批判のために書かれたということに注意しながら、このような統一教会と長年にわたりずぶずぶの協力関係にあった自民党は許しがたい存在であることだけはよく分かると思う。

(貼り付けはじめ)

統一教会は日本政府に浸透した。現在、その標的はアメリカに向けられている(The Unification Church Infiltrated Japan’s Government. Now Its Sights Are Set on the U.S.)
チャーリー・キャンベル(東京発)筆 2024年4月4日 『タイム』誌
https://time.com/6961050/unification-church-ffwp-moonies-us-election/


ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで演説する際に劇的な動きをする文鮮明(Sun Myung Moon)牧師。

牧師の首席補佐役である朴普煕(Bo Hi Park)大佐(右)が韓国語から英語に翻訳している。

日本の西側にある奈良市の空は曇っていた。

 

午前11時29分、安倍晋三首相にマイクが手渡された。

 

紺のジャケットにパリッとした白いシャツを着た安倍元首相が、大和西大寺駅の小さな赤い台の上に立つと、集まった聴衆から割れんばかりの拍手が起こった。

 

15メートルほど離れたところに山上徹也が立っていた。

 

フェイスマスクを鼻の穴の下に下げ、両手を腰に当て、演説には全く無関心な様子だった。

 

安倍元首相が地元選出の自民党議員を応援する演説を始めると、山上は演説場所から遠ざかり、数秒後に安倍の側近たちの真後ろに再び姿を現した。

 

安倍がマイクを手にしてから2分25秒後、銃声が鳴り響き、現場は濃い白煙に包まれた。

 

安倍は混乱した様子で、周囲を見回した。

 

その3秒後、もう1発の銃声が安倍の首と胸を捉えた。

 

安倍は倒れた。

 

山上は警備員にタックルされ、逮捕された。

 

路上から手製の銃器が回収された。

2022年7月8日の事件は、衝撃的であると同時に、間違いなく事実である。

 

安倍はドクターヘリで奈良県立医科大学附属病院に搬送されたが、そこで死亡が確認された。

 

山上被告(当時41歳)は殺人容疑で起訴され、今年末の裁判を控えている。

 

山上は、安倍元首相が物議をかもしている統一教会(Unification Church)を支持していたことが殺害の動機だと主張している。

 

統一教会は、山上の母親を説得して、1億円(67万ドル)以上を教団に献金させ、山上一家を破産と困窮に追い込んだ。

 

釜山長神大学校教授で統一教会の専門家であるタルク・ジイルは、「ある意味、この青年は加害者ではなく被害者だ」と述べている。

安倍元首相が暗殺されてから数カ月後、内部調査によって自民党所属議員の約半数が統一教会と関係があることが明らかになり、日本政府の最高首脳部から辞任が続出した。

 

しかし、「ムーニー(Moonies)」と呼ばれ、合同結婚式(mass weddings)や熱狂的な反共(anticommunist fervor)で知られる宗教的好奇心が、なぜこのような殺人的怒りを引き起こしたのだろうか? 

 

そして、当時世界第3位の経済大国であった日本の統治エリートたちに中に、粛清(purge)が必要なほど深く入り込んだのはなぜなのか?

 

日本の奈良県で行っていた選挙運動の間に銃撃された後に地面に横たわる安倍元首相。2022年7月8日。

統一教会の真実は、1件の暗殺事件や日本よりもはるかに深い

 

統一教会はあらゆる大陸に広がる政財界の網の目のような存在であり、約200万人の会員(この数字には反対意見も多い)と10億ドル以上の資産を擁していると見られている。

 

教団は、『ワシントン・タイムズ』紙、UPI通信、マンハッタンにあるニューヨーカー・ホテル、バレエ団、そしてアメリカの寿司業界に鮮魚を供給する最大手のトゥルー・ワールド・フーズ(True World Foods)を所有している。

 

アメリカの諜報機関の報告によれば、第三世界のクーデターに資金援助をしている。

 

共和党民主党の有力者たちを招待して、保守的な大義を推進するイヴェントを開催している。

 

リチャード・ニクソンロナルド・レーガンドナルド・トランプを含む歴代アメリカ大統領は、教団について熱心な支持を表明してきた。

統一教会は1954年に文鮮明牧師によって設立された。

 

彼は、神の王国(God’s Kingdom)を地上に樹立し、世界平和をもたらすという任務を完遂するために、イエスから第二のメシア(second messiah)として託されたと主張した。

 

文鮮明の神学(theology)は、エデンの園でアダムと寝る前にエヴァがサタンに誘惑されたという考え方に基づいている。

 

信者は、文鮮明の選んだ配偶者と結婚し、塩をたっぷりまぶした部屋で文鮮明肖像画の下で、あらかじめ決められたさまざまな体位でセックスするなどの一連の儀式を行うことで、この「原罪(original sin)」の血統を清めることができる。

このような特殊性は、神聖なふりをした、1人の指導者に焦点を当て、資金を積極的に収奪することに加えて、統一教会はカルトであるという非難を増大させてきた。

 

文鮮明は自らを「完璧なアダム(perfect Adam)」、韓国を「アダム国家(Adam nation)」とし、「天使長(archangel)」国家アメリカの支援を得て、人類が発作前の純粋さを取り戻す手助けをするだろうと主唱した。

 

一方、日本は、1910年から1945年の朝鮮半島植民地支配中に犯した罪の償いを求められる「イヴ国家(Eve nation)」に指定された。

 

数多くの日本の元教会員の代理人を務める弁護士の山口隆は次のように述べている。

 

「彼らは、日本人全ての資産は韓国に返還されるべきだと信じている。それが救いへ向かう道だ、と」。

 

2022年8月10日、東京の首相公邸での写真撮影から退場する岸田文雄首相に頭を下げる閣僚たち。

支持率の低迷を受け、岸田首相はこの日、政権から統一教会とのつながりを排除するために内閣を改造した。

しかし今日、統一教会は自らを苦境から救おうと奮闘している。 

 

HBOのヒット作「サクセッション」の中に描かれたような、内紛(infighting)、悲劇(tragedy)、反社会的組織の陰謀が充満している。

 

統一教会の資産が増加するにつれて、その資産をめぐる争いはより激しく、憎むべきものになった。

 

文鮮明の末子ショーン(文亨進、Sean、Moon Hyung-jin)は、タイム誌とのインタヴューで、安倍殺害の責任は、2012年の文鮮明の死後、統一教会の実権を奪った別居中の母親である韓鶴子(Hak Ja Han)にあると断言した。

 

ショーンは、「これは、主である神と再来したイエスを裏切ってきた組織に対する裁きの鉄槌だ」と語っている。

 

ショーンはペンシルヴァニア州の田舎に、分派の教会であるサンクチュアリ教会を設立した。

 

ショーンは銃を携帯し、銃を前面に押し出している。

 

1月6日には国会議事堂の外で親トランプ暴徒の中で催涙ガスを浴びた。

 

ショーンは「盲目的なそして異端的な方向性がその組織(統一教会)に呪いをもたらした」と述べている。



確かに、安倍元首相の死は、統一教会にとって存在を揺るがす深刻な問題である。

 

日本政府は10月13日、統一教会から宗教法人としての地位を剥奪するように裁判所に訴えた。

 

宗教穂人の資格はく奪により、法人税と固定資産税が免除されなくなる。

 

統一教会の世界的な資金源の70%は日本だと推定され、積極的な献金勧誘に加え、先祖の霊を「鎮める(appease)」とされる高値の「霊感(psychic)」人参茶や大理石の壺を販売している。

 

全国霊感商法対策弁護団(Japan’s National Network of Lawyers Against Spiritual Sales)が実施した調査によると、1987年から2021年までに、全国の弁護士会や消費者センターに報告された統一教会の募金に関する被害件数は3万4537件に達し、被害総額は8億5000万ドルを超えている。

 

カルト研究家のサラ・ハイタワーは「彼らは基本的に日本をATMとして利用している」と述べた。

その資金源が脅かされている今、統一教会は、積極的な資金調達戦術が憲法修正第1条によって守られている、アメリに重点を移している。

 

10月、ハク・ジャハンは4年ぶりにアメリカに戻り、ラスヴェガスで「真のお母様の心を理解する(understand True Mother's heart)」ための「特別ワークショップ(special workshop)」を開催した。

 

17歳から40歳を対象としたこのイヴェントは、日本からの収入減を補うために寄付を増やす必要性に支配されていた。

 

タイム誌が入手したリークされた電子メールには、「真のお母様に私たちがどれほど感謝しているかを伝えるために」、イリノイ州シャンバーグにある住所に100ドル札を送るようアメリカの信者たちに指示し、「文書に現金という文字を書かないように」と更に指示していた。

統一教会アメリ支部である世界平和統一家庭連合(Family Federation for World Peace and Unification International、FFWPUI)の会長、デミアン・ダンクリー牧師が主催した9月26日のZoom会議の映像がリークされた。

 

この中では、同団体が直面している様々な危機について説明し、日本からの減少分を補うためにアメリカ人会員からの献金を3倍にするよう牧師たちに促した。

 

「最も高い献金者から始め、徐々に下げていこう」とダンクリー牧師は述べた。

 

今後の「主要な目的」は、「会員数の増加」と「財政的な成長」だと彼は言った。

 

ダンクリー牧師は「もし、ネパールの食べるのに苦労している家族が、自分たちの子供たちを食べさせることができるかどうかも分からないのに、年に一度、真のお母様に真の愛の献金をすることができるのであれば、アメリカの家族にも同じことができるはずだ」と述べた。

 

2020年2月7日、韓国・加平の清心平和国際センターで行われた世界平和統一家庭連合の祝福式で、新婚カップルたちの中に立つ統一教会創始者である故文鮮明の妻、韓鶴子

会議の中でダンクリーは、「日本の人口の90%が統一教会解散に賛成している」ことを認め、友好的な「首相周辺の国会議員たち(parliamentarians around the prime minister)」(彼はこれを「私たちの仲間(our people)」と表現している)は、「おそらくこれを逃れる方法はないだろう」と述べていると語った。

 

日本におけるこのような逆風を考慮すると、アメリカの牧師たちは「若者」の勧誘に力を入れるべきであり、また「お母様に会うように言われた億万長者や大富豪たち」を参加させれば、これらの問題を迅速に解決できるとダンクリーは指示した。

統一教会の中で育ち、現在は回復した元会員たちを助けるために「フォーリング・アウト」というポッドキャストを主催しているエルゲン・ストレイトにとって、このメッセージは非常に明確だ。

 

そして、秋には接戦が予想される大統領選挙が近づいており、統一教会の政治的、財政的な力は、統一教会アジェンダに最も適した人物たちに握られている。

統一教会は長い間、定義づけを拒んできた。

 

統一教会は、1960年代から1970年代にかけて西側諸国を席巻したハレ・クリシュナ(Hare Krishna)や超越瞑想(Transcendental Meditation)などの新宗教運動の津波の一部ではあるが、その持続性と影響力の両方において際立っている。

 

それでも今のところ、ISISやマンソン・ファミリー、ジム・ジョーンズの人民寺院(People’s Temple)のような殺人志向は見受けられない。

 

統一教会の信者の多くは、何十年もの間、統一教会を出たり入ったりしている。

 

統一教会が与えるいかなる害も、より陰にこもったものだ。

1920年、現在の北朝鮮北西部に生まれた文鮮明は、残忍な日本統治時代に藁葺き小屋で育った。

 

10歳の時、彼の家族はキリスト教に改宗し、16歳の時、彼はイエス・キリストの訪問を受けたと主張した。

 

1945年に連合軍が朝鮮半島を解放した後、彼はソ連が支配する平壌に移り住んだが、3年後に逮捕され、共産主義者が運営する収容所で5年間を過ごした。

朝鮮戦争勃発後、文鮮明は国境を越えて逃亡し、韓国の釜山に定住し、一間の掘っ立て小屋に住んでいた。

 

彼は、キリスト教(Christianity)、儒教(Confucianism)、シャーマニズム(shamanism)、反共産主義の辛辣さ(anti-communist vitriol)を混ぜ合わせた神学的信条を土壁に走り書きし始めた。

 

1950年代には、文鮮明の献身的な信奉者の一団が成長し、文鮮明が教会関連の財団や企業を多数設立するのを支援した。

 

1960年、文鮮明は40歳のときに、当時まだ17歳だった2番目の妻、料理人の娘、韓鶴子と結婚した。

 

文鮮明はまた、1963年に複合企業「統一グループ(Tongil Group)」を設立し(「統一(Tongli)」とは韓国語で「統一」を意味する)、武器、農業、高麗人参、造船、航空、観光、鉱物などの事業に進出し、急速に多角化(diversified)した。

統一教会信者で文鮮明の非公式伝記を書いたマイク・ブリーンは、「間近で見る文鮮明は、とても謙虚な印象を受けた。とても、とても気配り上手で、向き合っているその瞬間、本当に相手に集中している人という感じがした」と述べた。

 

2012年8月14日、ソウルで開催された日本の植民地支配からの解放記念行事に先立つ集会で、日本軍によって行われた戦争時の朝鮮人性奴隷に対する謝罪の行為として頭を下げる統一教会の日本人信者たち。