きなこのブログ

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安倍晋三の7.21反菅(はんすが)クーデター

[3232]横浜市長選(22日)が、自民党内 ” 7.21反菅(はんすが)クーデター” の勝敗を決する。
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/

横浜市長選(22日)が、自民党内の“7.21反菅(はんすが)クーデター” の成否を決める」と題して、私は、日本の政治状況への最新の 分析を公表する。
 

私の判断では、9月末(29日)の自民党総裁選(そうさいせん)で、菅義偉が首相に再選されるだろう。

 

その背後に大きな政治ドラマがあった。 

 

この流れを決めるのは、22日に迫った横浜市長選挙である。

 

「菅(すが)が、自分の地元で負ける」という新聞の 世論調査の結果が次々と出ている。

(転載貼り付け始め)

●「自民党で現実味を帯びてきた菅退陣とポスト菅 横浜市長選で野党候補がまさかのリード」
2021年8月17日 AERA ( アエラ 朝日新聞のネット版)

 

 

 

8月22日に投開票が行われる横浜市長選がとんでもない展開になってきた。

 

8人の候補者が出馬しているが、菅義偉首相の「盟友」、小此木八郎国家公安委員長(56)と立憲民主党が推薦する横浜市立大学教授だった山中竹春氏(48)の一騎打ちの様相となってきた。

当初、菅首相のお膝元でもある横浜市で圧倒的な知名度、強固な地盤を誇る小此木氏が楽勝かと誰もがみていた。

 

しかし、マスコミなどの世論調査期日前投票出口調査では、山中氏が先行。

 

小此木氏が追う展開になっている。

 

「まったくの想定外の展開だ」  (以下、略。URLを開いて読んで下さい)

(転載貼り付け貼り終わり)

日本でオリンピックが開かれている最中に、日本の政界では激しい大きなドラマが展開していた。

 

今から私が書くことは、とてもそんなことは信じられない、というような事実の羅列となる。

 

私が、この文を書いている8月18日(水)で、私は「菅政権の継続」と予想、予言している。

この22日の横浜市長選挙で、上記の通り、朝日新聞でも、上記のアエラでも、自民党が負けて、立憲民主党の候補が勝つ」という出口調査の結果が、発表されている。

新聞各紙と文芸春秋までが、「予想外の展開で、菅首相にとって手痛い打撃となる。首相が推す、小此木八郎氏(6月18日まで、国家公安委員長だった)が負けると、菅政権が受ける打撃が大きい。だから菅政権は倒れる」という論調が出ている。

 

私は、そうは思わない。

 

これはあくまで政治評論における予測、予言に属する。
 

さあ、これから、私、副島隆彦が縷々(るる)解説する。

 

当否は読み手の皆さんが自分で判断してください。

 

「それは、いくら何でもありえない」と思う人は、そのように思っていていてください。

始まりは、7月23日の東京オリンピック開会式の前々日(7月21日)の真夜中に起きた。

 

現職の中山泰秀(やまなかやすひで)外務省副大臣(50歳)が、ユダヤ人差別のホロコーストをコントのジョークをたった一言しゃべっただけ(23年も前の古いもの)が、Youtubeで流れたという理由で、この小林賢太郎というコメディアンあがりの舞台演出家が、やり玉に挙がった。

これを中山副大臣は、21日の真夜中、午前1時に、日本政府にこの問題の自分の意見を言うべきなのに、いきなりアメリカのユダヤ人種差別糾弾団体のSWC(サイモン・ヴィーゼンタール・センター)に通報、告げ口した。

すると、SWCの所長が即座に、真夜中に声明文を出して、ホロコースト問題を笑いの種にするような人物が、オリンピックの主催者側にいることは許しがたいことだ」と発表した。

 

これで、日本政府とJOC、大会組織委員会が大騒ぎになって、この小林賢太郎は、即座に解任され、橋本聖子大会組織委員長が悲痛な謝罪声明文を出した(22日)。

 

その翌日が開会式なのである。 

 

開会式が中止にある可能性が、この時、本当にあったのだ。 

 

だから、安倍は開会式に自分は出ない、と言ったのだ。

それは菅首相の責任となって、日本だけでなく、世界中から非難轟轟(ごうごう)の嵐となって、それで菅政権が倒れる、という事態になっていた。
 

私は、だから、これを、“ 7.21 反菅(はんすが)クーデター ” と名付けた。

 

このクーデターを仕掛けたのは、誰あろう安倍晋三である。

ところが、この直後、22日から、日本国内のテレビ新聞、週刊誌、ネットニューズが、一斉に「中山泰秀副大臣のとった行動はおかしい」と報道を始めた。

 

日本国内のメディアが全く同じ論調になったことは極めて珍しいことである。

 

及ばずながら、私、副島隆彦が22日の早い時間に、この中山泰秀事件のひどさ謀略性について、急いで書いて公表した。

 

これが影響を与えたようである。

この直前に、安倍晋三前首相は、「自分は開会式に参加しない」と表明していた。

 

このことは、極めて異常なことなのである。

 

なぜなら、安倍晋三は、首相だった2016年にブラジルのリオデジャネイロの閉会式で、自らスーパーマリオの恰好をして出てきて、次の東京オリンピックの宣伝をぶちあげた。

 

彼は、2013年9月のアルゼンチンで、東京オリンピック誘致が決まったときの「ばんざーい」以来の、開催の責任者だ。

 

だから、安倍が、名誉顧問になっていたのに、開会式に出ないと周囲に漏らしたことで、激しく非難された。

安倍は、この時、東京オリンピックの開会式が流れて、オリンピックがぶち壊れなることを想定して、菅義偉にクーデターを仕掛けたのだ。

安倍晋三の勢力が、東京オリンピックを妨害することで、菅首相に大打撃を与えることを計画していた。

 

オリンピック終了後に行われることになっている自民党総裁選挙(9月29日予定)と衆議院選挙(11月中旬だろう)で、菅義偉に対する国民からの大きな失望と激しい責任追及の嵐が起きることを想定しての安倍たちの行動であった。

 

私は、これを7月21日の“安倍の反菅クーデター”命名した。

そして、これは見事に失敗した。

 

なぜなら中山泰秀は、激しく国内メディアから非難され、それと連携して動いた安倍晋三への批判も沸き起こった。

 

だから菅首相と二階自民党幹事長の勝利である。

 

二階俊博は、自民党内で権力闘争が起きるときに、必ず、「上等、上等」と言い放って受けて立つ。

このあと、安倍晋三クーデターが、成功して、彼が首相に再び返り咲いて「安倍再々登場」など、許されざることである。 

 

あれほど、7年8ヶ月も(2020年8月まで)ヒドい政治を行ってきた人物が、再び首相に復帰するなど、日本の政治が許していいわけがないのである。

私が、あのとき(7月22日)、もっとも強く警告を発したのは日本の左翼リベラル派の人たちに対してである。

 

彼らの知恵の足りない見方では、現職の自民党の首相を引きずり降ろすことが常に念頭にある。

 

ということは、菅内閣が倒れると安倍晋三が復帰することになるのである。

 

このことは、日本の左翼リベラル勢力が、安倍晋三の勢力に利用されることになるのだ。

 

このことを分かってほしい、と私は訴えた。 

 

それは、今度の22日の横浜市長選挙でも起きている。

私の大きな見方では、安倍の勢力は、中国と戦争しようという危険な思想の集団である。

 

このことは、そのお仲間である櫻井よしこ氏の「今こそ中国と戦おう」というような本たちのタイトルを見ていると分かる。
 

私たちの日本国はアメリカとも、中国とも仲良くやって、世界情勢の厳しいところを、うまく生き延びていかなければならないのである。

 

だから私は7月21日の安倍クーデターが失敗して本当に良かったと思っている。

そして23日の開会式を菅義偉政権は、無事なんとか乗り切った。

 

何が何でもとにかく世界との約束のオリンピックを、どんなにみっともなかろうが「無観客」ででも、乗り切って、開催し、終了させなければならなかったのだ。
 

幸い、日本国民はオリンピックの試合をテレビでずっと見て、大いに楽しんだ。

 

テレビの視聴率はかなり高かった。

 

私がこれで菅義偉が勝った、と判断した。

 

国民には、お楽しみであるタダで貰えるパンとサーカスを与えれば、それでいいのである。

 

それが、政治というものだ。

このあと、菅義偉二階俊博からの安倍晋三への激しい反撃が起きた。

 

このことが今日の私の主題である。

 

前置きが長すぎたて、あまりにもダラダラと書き過ぎると、読み手がきついので、このあとは要点だけをサクサクと書く。

菅政権を倒そうとしていた安倍勢力の主要人物が、一人ずつ引きはがされるように安倍から離れて菅首相についていく姿が如実に見られた。


その始まりは、7月30日に起きた。

 

例の法務省検察庁の 検察審査会による、安倍晋三の後援会の「桜を見る会・前夜祭パーティ」(2013~2019年の開催分)でのお金の動きについて、安倍晋三を不起訴にした検察庁の判断があった(2020年12月24日)。
 
それをひっくり返す議決が行われた(7月15日らしい)。

 

検察審査会が下した不起訴不当の議決である。

 

これで安倍晋三は再び公職選挙法政治資金規正法の2つの違反での被疑者の立場に戻った。

 

このあと、安倍晋三議員は検察庁に数回、呼ばれて厳しい取り調べを受ける。

 

この7月30日の決議の公表が、政治的にものすごく大きい。

 

菅と二階の側からの、「7.21オリンピック・クーデター」への強い反撃と逆襲である。

 

このあと安倍晋三は、黙りこくって表に出られなくなった。

 

このあとの動きを時系列で書く。

この7月30日に、なんと3A(安倍、麻生、甘利明の同志である、 麻生太郎副総理が、安倍前首相の自宅へその日の夜、走り込んだ。

 

そして2人で何を話したかである。

 

この時から、まるで煙幕を張るがごとく女性議員の高市早苗(たかいちさなえ)を総裁選挙に出そう、という妙な動きが表に出た。

 

すでにこのとき、麻生と安倍は腰砕けになって、もう菅・二階ラインを崩すことはできないと分かったのだ。

 

だが、まだ横浜市長選挙がある。

●「自民総裁選 高市・岸田氏出馬は安倍・麻生氏の思惑通りの展開か」
週刊ポスト2021年8月27日・9月3日号

 


この7月30日の検察審査会不起訴不当は、オリンピックの最中であったから新聞各紙の社会面の本当に小さな記事でしか扱われなかった。

 

朝日新聞だけが比較的大きかった。

 

この記事のことで私はすでに評論を1本書いている。

そして、月が替わって8月3日に菅首相は、ずっと犬猿の仲で口もきかないと言われていた  加藤勝信官房長官を自室に呼びつけた。

 

そして2人で話し込んだ。

 

それまでは周りの番記者(ばんきしゃ。メディアの政治部記者の若手)たちに、加藤は、「首相は会ってもくれない。意見を言おうとしても『うるさい、出て行け』 と言われる。これじゃやってられないよ」と、ぶつぶつと発言している。

おまけに官房機密費も菅に取り上げられて、使わせてもらえず、“名ばかり官房長官 と政治部記者たちから呼ばれている。

 

ところが、菅首相が加藤官房長官を呼びつけて話し込んだのだ。

 

菅は加藤に何といったか。

翌日、8月4日にフジテレビ(FNN)の番組だけに、なぜか加藤官房長官が出て来て、「今の菅政権を支えるのが、私の仕事であります」と、いつもの、記者会見での、昼行燈(ひるあんどん)のボソボソとした口調では違って、ペラペラと能弁な感じで話していた。

●「加藤官房長官菅首相への信頼つくる」 自民党総裁選めぐり」
2021年8月4日 FNN

 

 

加藤勝信安倍晋三の直系の子分というよりは、さらに晋三のお母さんの洋子(ようこ。93歳)に、いちばん気に入られて、かわいがられて育った政治家である。

 

元は岸洋子で、岸信介の長女である。

 

写真でも、見るからに恐ろしい鬼のような女だ。

 

このゴットマザーが安倍政権を裏から操っていたと言われていた。



だから菅が呼びつけて、口もききたくない関係の加藤と2人で何を話したか。

 

ここを考えるのが政治を見る重要な目である。

 

かなりの政治分析ができる者たちであっても、まさかそんな、という事態が起きたのだ。

菅は加藤に直接、「これからも、私を支えてくれますね」と切り出したはずなのである。

 

これは加藤にとって相当に堪える。

 

加藤は、このとき「はい、そうします」と答えたはずだ。

 

このとき加藤は、自分を育てて引き上げてくれた、安倍(岸)洋子と安倍晋三を裏切ったことになるのだ。

 

これが政治の世界である。

加藤勝信 は、どうやら、もう菅の方が強いと思い知って、自分の政治家生命を守るために菅につくと決めたのだ。

 

ここが見えなければ、自分には床屋政談、政治談議をやる能力などないと思ったほうがいい。

その前から3A(安倍、麻生、甘利明が、激しく菅義偉を激しく揺さぶって、「俺たちの言うことを聞け。そうしないと首相は続けられないぞ」と言い、その為には、二階俊博を幹事長から下ろせ。辞めさせろ」と圧力をものすごく掛けていた。

春ぐらいから3Aが2F(二階)に勝ちそうな勢いだった。

 

しかし、7月21日クーデターが見事に失敗して、安倍晋三は、もんどりうって倒れた。

 

そして、2週間後に、オリンピックは何とか終わった(8月8日)。

それでも、菅はオリンピックは失敗、コロナ対策でも失敗していると言われて、菅内閣は、国民の不興を買い、世論調査の数字もひどくて、29%の支持率しかない」と言われた。

 

しかし、こういう記事を書いている者たち自身が安倍晋三の勢力のジャーナリストや、記者たちであり、安倍勢力の引力に引きずられているのだ。

 

それでも彼らも、どうせ自分たちの勢力がどうも負けたと自覚せざるをえない。

ただし、左翼リベラル派は、全く、その人生が汚れていない人たちなのだが、ちょっと頭が弱い人たちだ。

 

だから、「とにかく自民党を倒せ」のスローガンしか言えない。
 

彼らの目には、菅・二階と安倍勢力の激しい戦いが見えないのである。

 

私は、自分の身近の人たちであり、何かの時には、一緒に闘わなければいけない人たち(彼らが、私を呼んでくれれば、だが。笑い)なのだが。

私は、彼らに対して、「もう少し頭が良くなりなさいね。その代表が日刊ゲンダイだ」と書いてきた。

 

本当に、自民・公明党連立政権と官僚政治をうち倒して、立憲民主党を中心とするリベラル政権を作りたいと考えるならば、まず為すべきことは、真っ正面から枝野幸男立憲民主党・党首がおかしい」と彼を批判することなのだ。

枝野幸男のやっていることは、裏側で自民党や財界とつながって、野党勢力の統一と、政権奪取のための努力をないがしろにし、削ぎ落としている。

 

私たちは枝野幸男を激しく批判し、党首から引きずり降ろす運動をしなければならないのである。

 

この本筋を忘れて、菅政権打倒ばかりを言っているのは、頭が足りないのである。

話を元に戻すが、この  加藤勝信がひっくり返ったと思われる8月3日の同日に、菅首相は、 山口那津男(やまぐちなつお)公明党党首と45分間、食事をして話し込んでいる。

 

ここで菅首相は、公明党も私を支えてくれますね」と言ったはずなのだ。

 

ところがその翌日、8月4日に、公明党遠山清彦(とうやまはるひこ)元議員の秘書たちが、取り調べを受け、事務所にガサ入れ(家宅捜査)が入った。

この遠山元議員は、安倍政権のとき(第4次安倍第2次改造内閣)に財務副大臣を経験している。

 

だから、公明党の中でいちばん安倍に近くて、おそらく菅政権倒しを公明党の中で行っていたのであろう。

 

そこに突如、検察庁がガツンとくらわして、汚職の容疑で捜索した。

 

これで公明党は震え上がって「はい、菅首相の言うことを聞きます」と完全に折れたはずなのである。

ここで、はっきり書いておくが、政治評論や、政治談議をしたい人に教えておく。

 

公務員は、そのときの首相の言うことを聞く。

 

命令に従う。公務員の上のほうである官僚たちも、「自分たちの首を切る権限を持っているのは首相である」と死ぬほどよく分かっている。

 

上司の命令に従う、のが、公務員の本能であり生態である。

 

警察や検察庁といえども、行政官であるから、内閣の指揮、命令に従う。

 

この政治体制の基本を甘くみてはいけない。

だから検察庁は、政権とは別個独立に司法の権限として、犯罪捜査をしています」と、あまりキレイごとは言えないのである。

 

どこの国の政治もこうなっている。
 

とりわけ今の検察庁(林眞琴=やはしまこと=検事総長の体制 )は、とにかく安倍晋三前首相と統一教会(ムーニー Moonie) という特殊な宗教団体に激しく怒っている。

検察庁法務省と内側が同じ組織なのだが、その中に何十人もの統一教会のメンバーが入り込んでいて、それが例の河井克行・案里事件を起こした。

 

河井克行(かわいかつゆき)は、たった1ヶ月で辞めさせられたが、安倍が任命して法務大臣にまでなったのである。

 

これらのゴタゴタの激しい内部の事件は、すでに私は別で論じた。

さらに続いて、文科大臣を務める  萩生田光一(はぎうだこうちいち)がいる。

 

彼は東京の西のはずれの、八王子市を地盤とする政治家で、市会議員あがりの、たたき上げだ。

 

まるで暴力団かと見紛うがごとき傲慢な政治家である。

 

彼もずっと安倍晋三の最側近として支え続けた。

だが、萩生田は 統一教会員ではないようだ。

 

だから安倍晋三への忠誠心と言っても、政治信念(イデオロギー)を共にしていないので、必ずしも安倍と一蓮托生ではない。

 

忠誠心にも限度がある。 

 

8月11日の日経新聞が、大きく萩生田が、「私は自民党幹事長になりたい」というインタビュー記事を載せた。

●「雌伏の安倍氏最側近、「いつかは幹事長」 萩生田光一
2021年8月11日 日本経済新聞

 

 

何か異様な感じのするインタビュー記事だ。

 

なぜ、このような時期に二階幹事長を押しのけ、「私が幹事長になりたい」と奇妙なことを言い出したか、である。

 

この真実は、8月11日の時点で、「すでに萩生田は菅義偉の軍門に下っている」としか言いようがない。

 

「私は菅首相と二階幹事長の言うことを聞くので、順番が回ってきたら私を登用してください」と懇願しているとしか思えない。

 

すなわち萩生田も安倍から取り上げられて菅の側についたのである。

さらにもう1つ重要なことは、この間近の22日の横浜市長選挙の投票日で、 ⑤ 小此木八郎(おこのぎはちろう)が当選するか、の問題になる。

 

冒頭で載せた、アエラ誌の8月17日が、大きく投票予想で、野党が勝つ。自民党が負ける、という投票率予想を大きくだした。

●「自民党で現実味を帯びてきた菅退陣とポスト菅 横浜市長選で野党候補がまさかのリード」
2021年8月17日 AERA

 

 

立憲民主党から出ている山中竹春氏(やまなかたけはる。元横浜市立大教授)が当選しそうだと書いた。

 

「そんなことはない」と私は予言しておく。

 

この横浜市長選挙は、複雑な構造が背景にある。

 

現職で再選を目指す林文子(はやしふみこ。75歳)のばあさんは、今回で、お払い箱である。

 

彼女は、キレイさっぱり責任を取らされて捨てられる、その係である。

IR(アイ・アール。カジノを含む統合型リゾート施設)というカジノを横浜に持ってくるという話がずっとあって、もうカジノ場は横浜には作られない、ということはハッキリしているからだ。

 

その責任を一身に取ってやめる。

なぜなら、シェルダン・アデルソンという、むくつけき顔をした「ラスベガス・サンズ」のカジノの大物が、1兆円(100億ドル)を持ち込んで、東京お台場の「船の科学館」に、カジノビルを建てることになっていた。

 

ところが、アデルソンは、マカオ澳門)のカジノ場が、中国の習近平による腐敗摘発の締め付けを受けて儲けが出なくなった。

 

シンガポールのあのビルの上に船が乗っているようなカジノ場もうまくいっていない。

 

そしてアデルソン自身が死んでしまった(2021年1月11日)。 

 

だから東京と同じ運命で、横浜も大阪のカジノ場もできないのだ。

アメリカの命令でIRを推進してきたのは、安倍政権とそれを受け継いだ菅政権である。

 

だから、菅としては林文子に責任転嫁して、自分はコロリとIR反対派に回ってしまった。

 

これが政治家の絶妙な動きである。



⑤ 小此木八郎は、横浜を地盤とする有力政治家の小此木彦三郎(おこのぎひこさぶろう)の息子である。

 

彼は、なんと6月18日に突然、国家公安委員長を辞めた。

 

菅首相に直接、「横浜市長選挙に出ます」と言いに行った。

 

このとき2人に緊張が走った。

 

両者にらみ合いである。

 

なぜなら、菅は長い間(20年以上)、横浜で小此木彦三郎の秘書を務めていて、それから横浜市議になり、そして衆議院議員になったからだ。

 

ここには深い深い因縁がある。

 

そのことは私はここではもう書かない。

小此木八郎を支えていたのは、横浜の“港湾のドン”と呼ばれる藤木幸夫(91歳)である。

 

なんと、この 横浜の沖中士(おきなかし)組合の大親分の藤木は、今は、コロリと立民の中山を推している。 

 

それなのに、「(小此木)八郎の名付け親は、私だ。八郎が、どうせ当選するだろう。IRをやるなら、私は切腹する」と言っている。

 

もう、めちゃくちゃな選挙なのだ。

これを言うと、嫌われるだろうが、横浜は、「ブルーライト ヨコーハマ―」というような綺麗な港湾都市だ、というのは表面のきれい事で、裏側は、汚れ切ってものすごくキタナイ都市だ。

 

いろいろの古くからの恐ろしい勢力がいる。

 

これ以上は書けない。

藤木と菅は、この数年、激しく対立し、仲が悪くなっていた。

 

ところがなんとこの土壇場で、菅が7月29日の神奈川新聞に出たのだが、小此木八郎を支持する、と言ったのである。

 

こういう離れ業の、すごい態度転換ができるのが、菅義偉である。

 

大喧嘩をしているはずの相手と簡単に手が組める。
 

この離れ業のようなことを菅がするから、みんなが判断を誤るのだ。

 

しかも、菅は、このカードを土壇場の一番最後で切る。

 

すべてのカードが出揃って、手口が見えたところで、自分は最後に出てくる。

 

そして事態をひっくり返す。

 

政治家でずば抜けた頭脳をしている者はこの「八艘(はっそう)とび」ができる人間だ。

 

それが本物の職業政治家だ。

だから、 小此木が勝つことで、菅が勝つのである。

 

左翼リベラル派は、こういうところで大きく判断を間違える。

 

自分たちがいいように、自民党内の抗争に利用され、使われるのだ。 

 

菅首相が、自分に逆らった小此木を支持すると言った瞬間に、横浜市どころか、神奈川県全体の、自民党が一斉に小此木支持で動きだした。

 

だから、自分の横浜の叛乱も菅が抑えた。

 

このように私は考える。

 

しかし、まだ、安倍晋三の残党たちの動きがある。

菅義偉を熱心に支えているのは、同期で国政に出てきた(衆議院議員になったという意味)、本当に泥臭い、寝業師の、ドブ板政治をずっとやってきた政治家たちである。

 

彼らが菅を強く支えている。

 

彼らの動きのことはここでは書かない。

私、副島隆彦は、安倍晋三統一教会の勢力を叩き潰さないと、日本のためにならないと強く考えている。

 

ここで、政権を奪い取れないと分かった安倍勢力が、バラバラに壊れつつある。

 

しかし、安倍(岸信介)の統一教会の勢力を、簡単に瓦解させることは出来ない。

 

私の希望、願望が急に実現することはない。
 
なぜなら政治は闘いだからである。

 

これ以上は言いようがない。

 

しかし、ここまで私が解説してきたことで、質の高い、政治談議というものは、どういう風にするものなのか、を分かってもらいたい。 

 

どうせ、私たちは、事態の傍観者(ぼうかんしゃ)であり、戦いを遠くから見ているだけだ。

私たちは、自分の運命を自分たちで握ることのできない哀れな人間たちだ。 


副島隆彦