きなこのブログ

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バイデンがキエフ訪問 ~和解を拒否して戦争を続ける時間稼ぎの策略~

欧米をますます不利にするバイデンのウクライナ訪問
https://tanakanews.com/230223ukrain.htm

2月20日ポーランドを訪問中の米バイデン大統領が、公式日程になかったウクライナキエフ(キーウ)訪問を電撃的に行った。

 

同行した米記者団は、バイデンがキエフに行くかもしれないと予測していたものの、列車で行くとは思っていなかったらしい(ウソっぽいが)。

 

バイデンはポーランド国境から10時間の列車の旅をしてキエフを訪問し、キエフに5時間滞在した後、再び10時間かけてポーランドに戻った。

 

米国側マスコミの中には、バイデンが飛行機を使うこともできたのに、象徴的な意味を込めて列車の旅を選んだかのように報じているものもあるが、大間違いである。

 

バイデンは列車で行くしかなかった。

 

ウクライナ全土の上空は開戦直後からずっとロシアが制空権を握って飛行禁止区域に設定している。

 

バイデンが飛行機で行ったらロシアのミサイルに撃ち落とされて死んでいた可能性がある。

 

 


最近の記事にも書いたとおり、ロシアは、戦場になっていないウクライナ西部の鉄道が平常運行されても空爆しないと許可しており、開戦後キエフを訪れたEU諸国など米国側の要人たちは、全員が片道10時間の列車の旅をしている。

 

加えて米政府は、バイデンのウクライナ訪問を事前にロシア政府に通告することで安全度を高めた。

 

プーチンの子分でお茶目なメドベージェフ元露大統領によると、露政府はウクライナ滞在中のバイデンを攻撃しないと米政府に約束したそうだ(本気で敵対してないのがバレると困るので、ロシアの諜報機関はこの話を否定した)。 

 

 


事前にバイデンの安全を保障してやったかどうかにかかわらず、ロシアがウクライナ滞在中のバイデンを攻撃しなかったことは、この戦争におけるロシアの「余裕」を表している。

 

ロシアは、ウクライナ戦争とそれに伴う欧米による対露制裁が長引くほど、欧米が経済的に自滅して相対的・地政学的にロシアが優勢になるので、この戦争が延々と続くことを望んでいる。

 

バイデンがキエフに来て戦争継続を鼓舞するのは、ロシアにとって望ましいことだった。

 


バイデンのキエフ訪問中、ウクライナ当局は空襲警報のサイレンを鳴らし続け、あたかもロシア軍が今にも空爆してきそうな感じを醸成して、その音声や映像が世界に報道されたが、ロシアは全く攻撃してこなかった。

 

空襲警報「欧米が軍事支援を増やさないとウクライナはロシア軍に空爆されて潰されるぞ」という緊張感を醸し出すためのウクライナ当局の演出だ。

 

昨年来、EUなどの要人がキエフを訪問するたびに、同様の演出的な空襲警報が高らかに鳴らされている。

 

欧州も要人のキエフ訪問を事前に露政府に通告していたのでないか。

 


バイデンはキエフで会ったゼレンスキー大統領に対し、ロシアと戦うための巨額の軍事支援の追加を約束した。

 

新型ミサイルも供給され始めている。

 

巨額で大量の新兵器がきたら、戦況が転換してロシアの負けになるのでないか??。

 

 

マスコミを信じている人々は、そう思うかもしれない。

 

しかし、それも多分間違いだ。

 

これまでも米国側からウクライナに巨額で大量の兵器類が送られてきた。

 

ロシアは不利だ。

 

もうすぐ負ける。

 

間もなくウクライナが勝利する。

 

ずっと、そう報じられてきた。

 

 

だが、大量の兵器類が来ているのにウクライナは勝ってない。

 

ずっとロシアの優勢が続いている。

 

ロシアはウクライナの制空権を握っているので、欧米が戦場に送り込んできた大量の兵器類をピンポイント攻撃してどんどん破壊していく。 

 


ロシアは自軍がこっそり優勢な状態で戦争を長引かせたいので、欧米から送り込まれた兵器類を破壊したことを一部しか発表しない。

 

米国側マスコミの「ロシアは負けそう」という歪曲報道・戦争プロパガンダを、ロシア側は否定せず放置している(だからプーチンはいつも含み笑いをしている、とか)。

 

米国側の全体で、新たに調達・製造する兵器の何倍もの量をウクライナに送り込んでいる。

 

それらの多くは、使う前に露軍の空爆で破壊されていると推測される。

 

米国側の兵器が上手に使われていたら、もっとウクライナが盛り返しても不思議でないが、そうなっていない。

 

ウクライナ高官らが兵器を不正に国外に転売しているという説もあるが、それだと世界のどこかで紛争が激化しそうなのに、今は世界中で戦闘が沈静化する傾向だ。

 

不正転売は一部であり、米国側が送った兵器の大半はウクライナ国内で露軍にピンポイント破壊されているのだろう。 

 


米欧は軍事費の多くを使ってウクライナに送る兵器を増産しているが、露軍にどんどん壊されるので追いつかない。

 

軍事費が浪費され、米欧の国家財政は疲弊している。

 

米国側の諸国はロシアからの石油ガス輸入を止めたので燃料費が高騰し、国民生活が悪化している。

 

 

その分の経済支援を政府財政から出したいが、軍事費におされて政府はカネがない。

 

燃料費の高騰で不況がひどくなっている(米経済が好景気だという報道があるが間違いだ。経済統計も歪曲されている)

 

ウクライナ戦争が長引くほど、米国側の諸国(先進国)は政府財政と国民経済が自滅していく。

 

 

 

マスコミがおかしくなっているので、この構図も報道されないままだ。

https://www.stationgossip.com/2023/02/us-tells-ukraine-it-cannot-provide.html

 

独仏など欧州では、自滅的なウクライナ戦争の構図を米国の言いなりで維持してきた左右のエリート支配層が人々の支持をしだいに失い、選挙による政権転覆の可能性が増している。

 

欧州のエリート層は、ウクライナ戦争を早く終わらせねばならないと考える傾向を強めている。

 

彼ら欧州勢は、ゼレンスキーに圧力をかけてロシアとの和解交渉の席につかせたいが、米国の傀儡であるゼレンスキーは好戦的な米国に加圧され、和解を拒否して戦争を続けている。

 

欧州の支配層は米国に、早くウクライナ戦争を終わりにしないと自分たちが失権するという警告を強めている。 

 


米国でも、もうウクライナを支援すべきでないという世論が強まり、その世論を支持する共和党が強くなっている。

 

バイデン政権や民主党は(見かけ上の)方向転換を余儀なくなされている。

 

この流れの中で、バイデンがキエフを訪問した。

 

バイデン訪問に先立って、米上層部が同盟諸国やマスコミに言わせる状況判断が、それまでのウクライナの勝利が近い」から「米国側が頑張って軍事支援しないとウクライナが負け、ロシアとの和解交渉が必要になる」転換した。

 

ウクライナと米国側が、クリミアとドンバスの領有をロシアに認めることで和解交渉するしかない、というウクライナ分割容認の構想が米国で(目くらまし的に)語られるようになった。 

 


しかしこの構想は、すぐに分割容認に行き着くのでなく、その前に数か月間、米国側がウクライナを全力で軍事支援してウクライナがロシアと戦う「最後の猛攻撃の期間」を作る話になっている。

 

その話をするためにバイデンがキエフを初訪問した。

 

バイデンがキエフからワルシャワに戻るのに合わせ、NATO加盟の東欧諸国9か国の首脳たちがワルシャワに集まり、バイデンと会議した。

 

 

バイデンは、米国が東欧諸国を守り抜くことを約束し、だからあと数か月ウクライナを軍事支援してくれと頼んだ(ロシア寄りのハンガリーは欠席)。

 

バイデンは、ウクライナと東欧諸国を巻き込んで「最後の数か月の戦い」の開始を宣言することで、独仏伊など欧州で厭戦機運を強める諸国の外堀を埋め、欧州が対米従属を維持してウクライナ戦争を支援し続ける態勢を作った。

 


今後の戦いが、本当に数か月で終わるかどうかは疑問だ。

 

ウクライナ分割の容認による停戦和平は、ロシアの勝利と、米国やNATO=米英覇権の敗北を認めることであり、NATOと米国と米英覇権と欧州エリートの信用失墜・権力と覇権の崩壊を引き起こす。

 

欧州と米国の支配層は、自分たちの政治的な死につながる停戦和平を認められない。

 

「最後の数か月」はウソであり、本当は単なる時間稼ぎで、その先のことは今の策略が破綻したらまた考えるという話だと思われる。

 


米上層部(諜報界)には、米覇権を維持したい勢力によるその手の時間稼ぎの策略を失敗させようとする人々もいる。

 

彼らはセイモア・ハーシュ「ドイツが作ったノルドストリーム海底ガスパイプラインを昨秋破壊したのは米国で、バイデン自らが破壊を了承した」という情報をリークして特ダネ記事を書かせ、ドイツ人を「やっぱりそうだったのか」と思わせて怒らせ、バイデンの時間稼ぎ策の足を引っ張っている。

 

バイデンのキエフ訪問は以前から計画され、あとはタイミングを決めるだけだったらしいが、訪問の日程が内々に決まったことを受け、対抗的にセイモア・ハーシュへのリークが行われたのだろう。

 


ノルド・ストリームの破壊を本当にバイデン自身が了承したのかは疑問だが、米当局が犯人なのは間違いないだろう。

 

米軍や諜報組織の中に、正式な指揮系統と別のところから命じられて破壊工作をやる人々がいる。

 

911事件もその筋による挙行だし、今回の破壊もそれだろう。

 

バイデン政権としては「米当局がやったのは事実だがバイデンの命令でない」と言うわけにもいかず「全体として誤報だ」と否定するしかない。

 


もう一つ、バイデンのキエフ訪問とタイミングを合わせて進められてきたのは、米国が欧州を巻き込んで中国敵視を強める策だ。

 

中露を米国側の敵として結束させるほど、米覇権は自滅の道をたどる。

 

これについては改めて書くことにする。