「高まってない7割超」でも改憲議論ゴリ押し…自民、維新、国民民主の「サル以下」と言われても仕方ない不真面目な態度
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本日(2023.05.03)、日本国憲法が施行されて76年を迎えた。
共同通信の世論調査では、憲法改正の機運が国民のあいだで「高まっている」「どちらかといえば高まっている」と答えた人が計28%だったのに対し、「高まっていない」「どちらかといえば高まっていない」と答えた人が計71%にも上ったように、改憲に対して強い関心が持たれ世論が盛り上がっているとは到底言えない状態だ。
しかし、だからといって改憲が遠のいているというわけではけっしてない。
むしろ、世論とは裏腹に、現在の国会の状況はかつてないほど改憲に向けて一気に進みつつあり、改憲の危機は高まっているからだ。
まず大前提として、昨年の参院選の結果により改憲派が国会発議に必要な3分の2以上を占めているうえ、日本維新の会と国民民主党という「第2自民党」のアシストによって、昨年以降、予算審議の期間以外は衆院憲法審査会が週1回の定例日開催が定着。
こうした動きに対し、参院憲法審査会の野党筆頭幹事だった立憲民主党の小西洋之・参院議員(安倍トモ一派や第2自民党の野党(統一教会)の天敵)が「(毎週開催は)サルがやること」などと発言した際には改憲派が猛批判を浴びせ、立憲も小西議員を野党筆頭幹部から更迭させてしまった。*統一教会に支配される国を憂う議員がまた一人潰された。
従来、憲法審査会は他の委員会とは違って与野党協調を重視し、与党と野党の合意の上で開催してきた。
そういう意味では、小西議員の批判は当然だったのだが、自民党は、維新と国民民主党とともに強引に改憲議論を進め始めた。
世論は高まっていないのに、「改憲の議論は深まった」というためだけの既成事実がつくられようとしているのだ。
だが、これこそが岸田政権、自民党の「戦略」なのだ。
実際、岸田文雄首相は、4月25日に自民党の憲法改正実現本部の会合に出席した際、「改憲に対する思いはいささかも変化していない」と来年9月末までの自民党総裁任期中に改憲を実現する決意を語り、「具体的な議論をさらに早急に深めてもらい、賛同する議員を増やす。党派を超え、この数を増やしていく。こうした取り組みを進めていってほしい」と発言。
さらに、読売新聞5月2日付の記事によると、自民党幹部もこう語っている。
「自民が主導すると反発が強まる。野党から言わせてまとめていく」
維新は統一地方選でも「反自民の受け皿」として票を集め躍進を果たしたが、改憲では完全に「自民党の尖兵」となっているのである。
国民民主・玉木雄一郎はChat GPTに9条改憲の是非を訊くトンチンカン G7ではAIに世論誘導が問題視されているのに
しかも、「野党から言わせて(改憲を)まとめていく」という自民党の戦略は、着々とかたちになりつつある。
事実、維新と国民民主党、衆院会派の「有志の会」は今年3月、緊急事態条項の憲法改正条文案を発表したが、これを衆院憲法審査会の与党筆頭幹事を務める自民の新藤義孝・元総務相は「建設的かつ真摯な議論の結果として歓迎したい」と評価。
とくに緊急事態条項の項目のひとつである「緊急時の議員の任期延長」は、改憲派の自民・公明・維新・国民で「必要」と意見が一致しているため、維新と国民は“衆院憲法審査会として具体的な条文案の作成に入るべきだ”とし、各党に条文案を提示するよう主張を展開。
国民の玉木雄一郎代表は「議員任期延長の改憲なら合意を得やすい」などと言い、自民でさえ二の足を踏んでいる“お試し改憲”による強行を狙う発言をおこなっている始末だ。
さらに、自衛隊を憲法に明記する改憲案についても、維新は自民と同じく9条明記で賛同。
一方、公明は首相や内閣の事務などを定める憲法72条や73条に明記する案を提示し、国民も首相の職務を規定する条文への明記を示しつつ、玉木代表は「論理的帰着としては戦力不保持を定めた9条2項の削除は議論すべきだ」と発言。
つまり、見解に相違はあるとはいえ、「自衛隊の明記ありき」で議論が強引に進められている状態にあるのだ。
議員の任期延長にしろ、自衛隊の明記にしろ、喫緊の課題でもなければ世論が「改正すべき」と高まっているわけでもない。
にもかかわらず、そもそもの必要性の問題を論じることもなく、自民の補完勢力が「議論しろ」「条文案を示せ」と声高に叫びつづける。
こうした数の力の横暴により、どんどんと改憲のための準備が進んでしまっているのである。
しかも、だ。
「サルがやること」と言われて激高した維新や国民といった改憲派が、真面目に憲法審査会に向き合っているかといえば、まったくそんなことはない。
たとえば、国民の玉木代表は4月27日の衆院憲法審査会で“Chat GPTに「憲法9条は改正したほうがいいですか」と訊いてみた”などと、Chat GPTの回答を紹介した。
玉木代表の紹介したChat GPTの回答というのは、改憲派と護憲派の両論併記しているものの、結論としては「丁寧な議論が重要」など留保をつけつつ「時代の変化に合わせて議論し、必要に応じて適切な改正が行われることも必要かと思う」などと改憲議論に誘導するような内容だった。
しかも玉木代表は「自民党の改憲案は、じつは自国防衛の強化を目的としていない」「Chat GPTさんは、自民改憲案の本質をまだ理解していない」などと発言した。
そもそもChat GPTは誤情報の流布が問題になっているうえ、G7デジタル・技術相会合ではAIによる世論操作への悪用など民主主義や人権が脅かされる懸念が示されたばかり。
憲法審査会という慎重で丁寧な議論が求められる場で、そんな問題の多いAIの回答を持ち出し、自説の補強に利用するとは一体どういう神経をしているのか。
こんな人間に改憲議論を先導させること自体、それこそ民主主義の自殺行為だろう。
「戦争ができる国づくり」のためのものでしかない自民党改憲案を矮小化したうえ、自分が主張する改憲案への補強に利用したのだ。
維新・猪瀬直樹は憲法審査会にガム噛みながら出席する舐めっぷり なのに「野党から言わせる」という自民の改憲戦略が既成事実化
4月12日におこなわれた参院憲法審査会のネット中継では、維新所属の浅田均参院議員が発言している隣で猪瀬議員がガムをクチャクチャと噛んでいた姿が映し出され、ネット上で問題に。
維新は猪瀬議員に厳重注意をおこなったというが、猪瀬議員は「飲食禁止とは知っていたが、ガムまで禁止とは知らなかった」などと言い訳したのだ。
国民の代表として選ばれたことの自覚もなく、審議中に平然とガムを噛んで出席するなど、憲法審査会という場を舐めているとしか言いようがない。
このような「サル以下」の維新や国民の議員が、「野党から言わせてまとめていく」という自民の戦略に協力し、改憲を既成事実化しつつあるという現実──。
安倍晋三という改憲に血道を上げてきた代表格がいなくなったことで安心感が広がっているのかもしれないが、むしろ警戒を強めなければいけない局面にあるということを肝に銘じてほしい。
妖怪の孫の憲法破壊手口
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2023/05/post-26935e.html
日本国憲法の基本原理は、国民主権、戦争放棄、基本的人権の尊重、他国に類例を見ない素晴らしい憲法である。
憲法は絶対不可侵の存在ではない。
必要があれば変えれば良い。
しかし、必要もないのに変える必要はない。
憲法改定論議が喧(かまびす)しいが、憲法を直ちに変える必要性を感じる主権者は少数ではないか。
憲法が存在することの最大の意味は権力の暴走を防ぐこと。
政治権力といえども憲法の前には従順でなければならない。
憲法は政治権力の前に君臨する。
憲法が政治権力の暴走を防ぐ防波堤の役割を果たす。
これが立憲主義の考え方。
選挙で信任を受けた内閣は憲法をも支配できると考えるのは大いなる誤り。
かつて、「選挙に勝った政権は憲法解釈を変えられる」と発言した首相が存在した。
恥じるべきことだ。
安倍内閣は内閣の独断で憲法の解釈を変えた。
日本政府が40年以上にわたって維持してきた憲法解釈を勝手に変えた。
内閣には内閣法制局という独立性の高い部局が存在する。
憲法解釈を行い、政府の立法に対して高度に専門的な立場から法的見解を示す。
内閣といえども憲法の前には従順でなければならない。
内閣法制局は政府の立法措置等についての法的見解を示してきた。
法を作ったり変えたりする上での最難関が内閣法制局だった。
立憲主義は内閣法制局が正常に機能することで保たれてきた。
ところが安倍首相は憲法解釈を変えるために内閣法制局長官を変えた。
政府は憲法解釈上、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとしてきた。
この憲法判断を支えてきたのが内閣法制局。
安倍首相が集団的自衛権の行使が必要だと考えたのなら憲法改正の手続きを踏むべきだった。
日本国憲法には憲法改正に関する規定がある。
憲法改正は正当な手続きを踏むことにより実行可能である。
面倒な手続きではあっても憲法の内容を変える必要性があると考えるなら、正規の憲法改正の手続きを踏む必要があった。
ところが、安倍首相は正規の憲法改正の手続きを踏まずに、内閣法制局長官を変えるという手法を用いた。
集団的自衛権行使を合憲であるとする人物を内閣法制局長官に据えて憲法解釈変更を強行した。
邪道としか言いようがない。
蛇道と言ってもいいだろう。
集団的自衛権行使は日本が軍事攻撃を受けていないときに、日本と同盟関係にある国が武力攻撃を受けた際に、日本が武力攻撃を受けたものとして日本が軍事出動すること。
米国が創作する戦争に日本が巻き込まれることを意味する。
米国は米国軍産複合体の利益追求のために戦争を創作している。
利益追求のために戦争を人為的に創作している。
その、米国が創作する戦争に日本が率先して巻き込まれることを選択するのが集団的自衛権行使の容認だ。
法を守るための砦が内閣法制局。
その内閣法制局の人事を歪めて、法を守るための砦を壊す。
その上で憲法の内容を正規の手続きを踏まずに変えてしまう。
「壊憲」以外の何者でもない。
憲法記念日を迎えるにあたり、安倍内閣が実行した国家破壊行為を改めて確認し、その再評価を行う必要がある。
米国は米国が創作する戦争に日本を巻き込む憲法解釈変更を日本に強要した上で、今度は日本に軍事費倍増を強要している。
米国の命令にただ服従する点で岸田首相は安倍元首相と相違がない。
最後に問われるのは日本の主権者の判断。
米国に隷従する日本。
憲法を破壊して平然としている政府を野放しにする日本。
この日本を是とするのか、それとも非とするのか。
日本の主権者の見識が問われている。