維新から大戦、敗戦から現代に連なる不断の水脈
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哲学者の内田樹氏と政治学者の白井聡氏による対談書
『日本戦後史論』(徳間書店)
http://goo.gl/rkFHcI
おもしろい。
帯には
「タブーなしの徹底対談!」
とある。
「タブーなし」
とあるように、本書では、
「天皇の戦争責任」
が論じられている。
第二次大戦の敗戦後、日本は新しい時代を迎えたと思われているが、その実、戦前の日本を引きずっている。
二人の著者は占領下の日本の徹底検証が必要であると強調する。
白井氏は
『永続敗戦論』
http://goo.gl/yibEL5
で、大いなる注目を浴びている。
白井氏は、戦後の日本が、第二次大戦の純然たる敗北、文句なしの負けをごまかしてきた、と指摘する。
白井氏はこれを「敗戦の否認」と呼ぶ。
なぜ敗戦を否認しなければいけなかったのか。
白井氏はこう指摘する。
「あの戦争を指導していた人たちが、戦後また支配的な地位に留まり続けるためです。
彼らは間違った指導をしたのですから、本来は損な地位に就けるはずがない。
だから敗戦という事実をできる限りあやふやにしなければならなかった。」
戦後の日本は戦前と断絶し、新しい時代に切り替わったと学校では教えている。
しかし、内実は違う。
戦後の日本は、内実のところで、戦前を引きずっているのである。
そして、旧体制が自己保身するために、すべてを米国に寄り添ってきたのである。
内田氏は同書末尾で次のように述べる。
「フランスの場合を似ているのは、占領期に占領軍と通じていた人間たちが、その後の日本政府の中枢を占めているということです。
自民党のある部分は敗戦時に軍隊の物資を私物化したフィクサーとCIAの合作です。
ですから、そこにかかわる話は日本の保守政界でも、保守系メディアでも完全なタブーですね。
しかしいまだに当時の関係者たちの末裔たちが政権中枢に居座っている。
占領期にアメリカと通じた人たちとその係累たちが今も続いて日本の支配層を形成している。
占領期における対米協力者というのは、フランスにおける対独協力者と機能的には同じものですよね。
岸信介も、賀屋興宣も、正力松太郎もCIA協力者リストに名前があがっている。
アメリカは公文書を開示してくれますから、日本人自身がどれほど隠蔽しようとしても、外から情報が漏れてきてしまう。
岸と正力がCIAのエージェントだったことを知れば、安倍晋三と読売新聞がつるんでいるという政治的絵図は1945年から変わっていないということがわかります。」
情報を開示する米国ではあるが、岸信介に関する情報は、いまだに十分開示されていない。
白井氏は、
「CIAの情報は自動的に何年か経てば公開していくはずなんだけれども、岸ファイルについては例外扱いで、公開されていなのだそうです。
戦後の日米関係の根幹、ひいては現在の日米関係を揺るがしかねないという反なのでしょう」
と指摘する。
私たちは、『戦後史の正体』を確認する必要がある。
戦前は戦後につながり、明治は昭和につながっている。
そして、明治維新についての真相解明が強く求められている。
現代日本を正確に理解するには、明治維新の謎を解き明かすことが必要である。
支配者は「民主主義」の装いを纏(まと)うが、現実には民主主義を敵視している。
民主主義の装いを纏い、いかに人民を欺くかに腐心しているのである。
その内実、カラクリを見破り、支配の構造を打破、刷新しなければならない。
民衆を指揮して、日本政治の構造を打破する「運動」の始動が求められている。