ドル体制を支えてきたサウジが中国との石油取引の決済で人民元を使う意味
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202203160001/
ウクライナでアメリカが配下のネオ・ナチを使って戦争を始めたのは2014年2月のことだった。
その後、ネオ・ナチを中心に親衛隊を編成してロシア語系の住民を攻撃している。
今年3月にはドンバス(ドネツクやルガンスク)を攻撃する予定だったようだ。
このことを示す文書をロシア軍が回収している。
そのロシアに対し、アメリカは経済戦争を仕掛けている。
基軸通貨のドルを発行しているという特権を利用してのことだが、こうした行為はドルに対する信頼度を下げる。
ドル体制に浸かっていると、いつアメリカから攻撃されるかわからず、言いなりになるしかないからだ。
そこでロシアや中国、特にロシアは早いピッチでドル離れを進めてきた。
そうした状況の中、サウジアラビアが中国との石油取引で人民元で決済する可能性が出てきたと伝えられている。
https://www.wsj.com/articles/saudi-arabia-considers-accepting-yuan-instead-of-dollars-for-chinese-oil-sales-11647351541
現在、この件で話し合いを続けているという。
アメリカはドルを発行する余地を作り出すため、実社会からドルを吸い上げる仕組みを作っている。
例えば、投機市場の拡大やペトロダラーだ。
ペトロダラーを産油国の単なる余剰資金だと考えてはいけない。
アメリカは産油国に対して石油取引の決済をドルに限定させ、産油国に集まったドルをアメリカの金融システムへ還流させる仕組みがペトロダラーだ。
日本とアメリカとの間にも似た仕組みがある。
ドルを還流させるため、預金という形で沈めたり、財務相証券や高額兵器を買ったりする。
ドル決済を認めさせる代償としてアメリカの私的権力は産油国に対して国の防衛と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。
そうしたペトロダラーの仕組みで中心的な役割を果たしてきた国がサウジアラビア。
そのサウジアラビアがドルでなく人民元で決済する意味は小さくない。
ペルシャ湾岸の産油国もサウジアラビアと同じ役割を果たしてきたのだが、そのひとつ、アラブ首長国連邦はアメリカ軍の重要な拠点でもある。
ウクライナの問題ではこの国もサウジアラビアと同じように中立。
実は、イスラエルも中立だ。
アメリカの重要な同盟国がアメリカと距離を置き始めている。
明治維新以来、アメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンに従属することで自らの地位と富を維持してきた日本の「エリート」は今でも米英の私的権力に従っているが、世界では珍しい存在だ。
日本全体のことを考えていないとも言える。
ユダヤ系富豪がネオ・ナチと手を組んでいる事実がユダヤ人社会を揺るがし始めた
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イスラエルのナフタリ・ベネット首相は現在、ウクライナ政府とロシア政府の仲介役を務めている。
そのベネットが3月8日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領の要求を呑むように求めたとウクライナ政府の高官が語ったという。
https://www.axios.com/russia-war-israel-bennett-zelensky-told-to-surrender-d5c53a0b-5940-4b09-85e4-ede244a2f5a1.html
しかし、この話をイスラエル政府は否定、情報源の信頼度を疑問を示した。
話はゼレンスキー大統領や限られた彼の側近へ直接伝えているとした上で、本当に政府高官なのかどうか怪しいとし、またイスラエルはそうした要請をロシア政府から受けておらず、従ってウクライナ政府へもそうした話を伝えていないともしている。
事実は明確でないが、ウクライナ政府がイスラエル政府に不満を持っていることは間違い無いだろう。
ベネット政権がウクライナの問題で「中立」の立場にあるからだ。
イスラエル政府はアメリカ政府の政策に従っていないということでもある。
ゼレンスキー大統領自身、ユダヤ系だが、そうしたことで政策は左右されていない。
ウクライナ政府内でネオ・ナチの影響が強い勢力とそうでない勢力の対立が生じている可能性がある。
3月5日にロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺されたと伝えられている。
ロシアのスパイだと疑われたというのだが、SBUは2014年2月のクーデター以後、CIAの下部機関であり、CIAやネオ・ナチにとってロシアと話し合う行為は「裏切り」に他ならないだろう。
そのネオ・ナチを理解するためには、少なくとも1920年代までさかのぼる必要があることは本ブログで繰り返し書いてきた。
現在のネオ・ナチが信奉するステファン・バンデラがOUN-Bを組織したのは1941年3月頃。
MI6(イギリスの対外情報機関)とゲシュタポ(ナチスの政治警察)のハイブリッドだとも書いてきた。
第2次世界大戦後、各国でそうした経歴を持つ人びとを中心にアメリカとイギリスの情報機関は破壊工作機関を組織、それがのちにNATOの秘密部隊になる。
そうした秘密部隊はNATOに加盟する全ての国に存在するが、未加盟のウクライナにも2007年、ドミトロ・ヤロシュを中心に作られた。
ヤロシュはアンドリー・ビレツキーと「右派セクター」を2013年11月に組織、14年のクーデターで中心的な役割を果たした。
2014年5月には右派セクターが中心になって「アゾフ大隊」を正式に発足させ、親衛隊の核になった。
アゾフ大隊を資金面から支えていたイゴール・コロモイスキーはウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストの富豪。
この人物の他、アメリカの「ユダヤ系富豪」がウクライナのネオ・ナチのスポンサーを務めてきた。
バンデラを信奉する人びとがネオ・ナチの主力になっているが、ヤロシュは外国からネオ・ナチを集めている。
出身国にはブラジル、クロアチア、スペイン、アメリカ、フランス、ギリシャ、イタリア、スロバキア、チェコ、イギリス、スカンジナビア諸国、そしてロシアが含まれている。
そのほか10代の若者1万5000人ほどを集めて訓練してきたと言われている。
しばしば「ユダヤ人」と「ナチス」を単純に敵対勢力と決めつける人がいるが、これは歴史的な事実に反する。
シオニストはパレスチナへ移住するユダヤ人が必要で、そのためにはユダヤ人弾圧は有効な手段だと認識されていた。
アドルフ・ヒトラーがドイツの首相に就任した1933年、シオニストの指導者はユダヤ系市民と財産をドイツから出すため、ドイツ政府との協力関係を築こうとしていた。
そこで結ばれたのが「移送合意」だ。
(Edwin Black, "The Transfer Agreement", Carroll & Graf, 1984)
シオニストはユダヤ人社会では少数派だった。
多数派はヒトラー政権を批判、ボイコットなどで対抗している。
弾圧が強まっても大多数のユダヤ人はパレスチナではなく、ヨーロッパ文化に近いアメリカやオーストラリアへ逃げている。
ウクライナ情勢はこうした過去を浮かび上がらせる可能性がある。
「ユダヤ系富豪がカネを出しているので右派セクターはネオ・ナチではない」とは言えない。
ユダヤ系富豪はナチズムの信奉者とも手を組むという事実を人びとの前に突きつけている。
こうしたネオ・ナチの武装集団は2014年2月のクーデター以来、ロシア語系の住民を殺し続けてきた。
その犠牲者数は1万4000名を超すと言われている。
こうした犠牲者を西側の有力メディアは無視してきたのである。
こうした有力メディアの人種差別もウクライナ情勢は浮かび上がらせた。