[3366]ウクライナ戦争。6本目。プーチンは、アメリカ(ディープステイト)の策に嵌(はま)って負けたのか。
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ウクライナ戦争 に対しての私の評論の6本目です。
世界は、いよいよ核戦争の脅威と恐怖から逃れられなくなりつつある。
ウクライナ戦争は、ロシアとプーチンにとっての泥沼の戦争になりつつある。
停戦の協定成立が、このあと一週間後にある、としても、それは、そのまま和平交渉にはならない。
ウクライナ戦争は泥沼の戦争になった。
プーチンはアメリカ(西側)の策に嵌(はま)ったようだ。
どうもそうらしい。
ウクライナ侵攻のその日(2月24日)から、ロシア軍は、電子戦争(サイバー・ウォー)と情報戦争(インフォメイション・ウォー)で負けている。
これでは緒戦(開戦)からのプーチンの負けとなる。
侵攻後の3週間でロシア軍が受けた打撃はあまりに大きい。
おそらく1万人のロシア兵が死んでいる。
戦車と戦闘車両が、500台撃破さている。
兵員輸送車はその倍が破壊された。
戦闘機も武装ヘリも80機以上が撃墜されている。
ほとんどが実際の戦争を知らないロシア兵たちの間に、厭戦気分(えんせんきぶん)が広がり、士気が低下している、というのは本当だろう。
ウクライナ軍のドローンや、対(たい)戦車ミサイルの餌食にならないで、戦闘車両と共に、火だるまとなって、瞬時で死んだ者たちを除いて、逃げ出して、うまく捕虜になった若いロシア兵たちの愁訴と哀願が、スマホを通して、世界中に伝わった。
しかしウクライナ兵も、ロシア兵の3倍は死んでいる。
この事実を抜きにして、ロシア軍の作戦の失敗ばかり言ってはならない。
哀れなのは、大きな世界勢力間(かん)の道具にされて、国土が破壊され、民衆までが大量に死ななければいけないウクライナ人である。
「我々、ウクライナ人は、ロシア軍を打ち破って、必ず勝利する」と言っているウクライナ人たちは、プロパガンダ(宣伝、工作)の人たちだ。
本当の多数派のウクライナ人の考えとはちがう。
ここで割り込みで、金融・経済の重要な話を書く。
アメリカのFRB(中央銀行)が、短期金利(政策金利、FFレイト)の0.25% の上げを決定した。
アメリカは、国内の激しいインフレと現状のインフラ崩壊 を阻止するために、政策金利をゼロ金利から脱出して、金融引き締めに転じた。
長期金利(米国債の利回り、イールド)は、すでに、2.2%まで上昇している。
米国債の利回りが上昇し続けると、そのまま金融危機につながる。
ロシア政府の金融資産を、敵性国家資産の凍結という非常措置によって、動かせないようにした。
これはもう国家と国家の戦争状態を意味する。
アメリカ政府は、金利上げが、株式の暴落に繋がることを知っているので、それを、防ぐために、FRBのFOMCの利上げの発表の直前の16日(水)、17日(木)の2日間、相場操縦をやって、1000ドル近い、株価の上昇をやった。
日本もそれに追随した。
NY株(ダウ平均株価)は、34,000ドル、日経平均は26,000円を回復した。
金(きん)は、3月8,9日のウクライナ戦況が、一番、激しかったときに、1オンス(31.1グラム 2,070ドル (日本の小売りで、1グラム=8,400円)の最高値まで行った。
だが、このあと、1900ドルまで落ちている。
ウクライナ戦争でのロシア軍の負け、の情報がアメリカの金融業界にも広がって、このときからNY株の上昇の動きとなった。
しかし、このまま上昇が続くわけではない。
NYの金融市場が、抱えている重大な亀裂の部分から、また株式の暴落、と債券(国債)の暴落 と 金(きん)の上昇が起こる。
欧米(西側)は、ウクライナ侵攻への、ロシア政府への経済制裁(エコノミック・サンクション)として、ロシア政府の決済口座を、SWIFT(スウイフト)という国際電子決済制度から追放して、使わせなくした、ということまでやった。
資金の決済ができなくなると、受け取るべき資金を受け取れなくなる。
西側からの、ロシアへの経済制裁は、そのまま西側世界への打撃ともなる。
世界経済は、一気に、戦争経済(ウオー・エコノミー)、戦争体制の経済に入りつつある。
世界的な統制経済への道を歩み始めた。
ロシアは、6300億ドル(70兆円)の外貨準備を持っている。
ところが、その半額の、3200億ドル(35兆円)が、凍結されて使えなくされた。
それで対外債権の決済が出来なくなって、もうすぐロシアはデフォールト(債務不履行)に陥る、と言われている。
すでに、ロシア・ルーブルは、大暴落して、去年まで1ルーブル=12円ぐらいだったのが、今は1ルーブル=1円 あたりにまで、下がった。
それでもロシア国内の生活は、ルーブルで行うので、ロシア国民は暮らせる。
このままのアメリカの金利の上昇は、アメリカ経済を支えてゆくことが出来なくなることに繋(つな)がる。
今年中に、7回の金利上げで、政策金利は、3%近くなるになる。
それに耐えられるだけの財政基盤を超大国アメリカは、もう持っていない。
世界は、2024年の大恐慌突入(ワールド・デプレッション)に向かってひた走っている。
これは、もう避けられない。
私、副島隆彦は、この5年間、ずっと自分の本で、「2024年、世界恐慌に突入」を書いてきた。
いよいよ アメリカの金融崩壊、実体経済の機能不全によって、泥沼の世界に入ってゆく。
アメリカは最初から、プーチンを怒らせて挑発して、まんまとウクライナに引きずり込んで、1979年のアフガニスタン戦争(ロシアの侵攻の失敗)の二の舞にし、あのとき、「アフガニスタンを、ロシア(ソビエト)のベトナムにしてやる」と言った、ズビクニュー・ブレジンスキーの戦略が、再び蘇(よみがえ)っている。
つまり「ウクラナイをロシアのベトナム戦争の泥沼にしてやる」という、ネオコン(neo-Con 今はさらに純化してムーニー Moonie )戦略に陥りつつある。
私が、編集長と話していて、3月4日(金)のことだったが、「アメリカが、始めから、うまくプーチンを騙して、ロシア軍のウクライナへの侵攻を、やらせたという説が有る」と聞いた。
私は驚いたが、この時、深刻に考え込んだ。
それは、どうも有り得る、と。
アメリアの高級外交誌の 「フォーリン・アフェアーズ」(FA誌 )の4月号に、この「プーチンを ウクライナで巧妙な罠に陥れよ」という内容の論文が載っているそうである。
私はまだ読んでいない。
すぐに読まなければいけない。
プーチンは、ディープステイトの策に落ちたようだ。
中国が、そのことをヒドく心配している。
しかし、それでも中国は、ロシアの大後方(だいこうこう。 the grea back)である。
今、世界政治の中心軸は、ここにある。
ヨーロッパではない。
しかしプーチンは、もう、あとには退(ひ)かないだろう。
自分の体制が壊れるまで、戦争を続ける。
なぜなら、プーチンは、大きな、人類の正義の側にいる人間であるから、このディープステイトの悪魔崇拝の勢力との戦いを、もう、やめるわけにはゆかない。
私が前回、書いた通り、
ウクライナで、
生物兵器(危険な病原菌を培養して兵器としてバラまく)と、
中性子爆弾(Neutron bomb ニュートロン・ボム)という小型核兵器(戦術核)を
ウクライナの30か所の研究所で、
アメリカの資金と指導で、研究し製造していた、ことは、真実である。
だからそれらを、プーチンが先制攻撃で、取り上げて破壊した。
それらの証拠はどんどん公開されている。
西側同盟の主要国(列強)は、本当に、ディープステイトに支配されているのだ。
日本もその哀れな家来である。
この大きな事実から私たちは、目を逸(そ)らしてはならない。
どっちが、悪の帝国であるか。
日本は、どっちの勢力の子分であるのか。
世界を火の海にしたいのは、ディープステイトたちである。
ただ単にプーチンひとりを叩きのめして失脚させればいい、ということではない。
世界中を火の海にしたいのだ。
プーチンは、ウクライナのネオナチの勢力を根絶やしにするまでは、ウクライナでの戦争をやめない。
だからこのまま、ウクライナ戦争は、泥沼のまま、そして世界戦争につながる道を歩んでいる。
その途中で、2024年に世界は大恐慌に突入するだろう。
今以上の、西側諸国からの、軍事支援に対して、プーチンが、本当に怒ったら、ポーランド国境地帯の ウクライナの軍事拠点への、戦術核(タクティカル・ニュークレア・ウエポン)の使用を決断して実施するだろう。
1万人ぐらいが死ぬ。
西側は、今、そのプーチンの決断を、心底、恐れている。
プーチンをこれ以上、追い詰めて怒らせたら、あの男は、本当に核を使う、と、西側指導者たちは、一致して、考えている。
フランスと、ドイツは、そしてイギリスは、これ以上のウクライナへの軍事支援をやる気はない。
ヨーロッパはこれ以上、ウクラナイ戦争が長引いて、それがヨーロッパ大戦になることを嫌っている。
バイデンが、24日に、ブリュッセルに行って、NATOの会議と、EUの会議に出席する。
そこで、本気で、停戦に向けて、ロシアと話をする、ことになる。
その前に、今日、18日、バイデンは、習近平と電話(テレスクリーン)会談をした。
バイデンは、「中国が仲裁して、プーチンを止めてくれ」と言っただろう。
すなわち、世界は、大国たちによる列強(れっきょう)政治である。
列強(powers パウアズ)の指導者たちだけが、世界の運命を決めることが出来る。
天才学者・小室直樹先生が、私たちに教えてくれたとおり、「世界政治は、剥き出しの大国(列強)政治」 naked powers politics 「ネイキッド・パウアズ・ポリテックス」である。
バイデンさえもが、3月11日に、「甘い考えをするな」と、若い民主党の議員たちを激しく叱った。
好戦派の、若い議員たちが
「ウクライナをさらに支援するために、大統領。ウクライナに戦闘機を送りましょう。ウクライナ上空を、飛行禁止区域(no fly zone、ノー・フライ・ゾーン)に指定しましょう」
と言ったら、
「そんなことをしたら、プーチンは、本当に核兵器を使うぞ。アメリカは、それに核兵器で反撃出来る、と思っているのか。あの男(プーチン)は本気でやるぞ」
と、バイデンが本気で怒った。
私が、ウクライナ戦争の現状を、一番、良く、リアルタイムのように、分かったのは、ユーチューブの「真・防衛研究チャンネル」というサイトである。
誰でも見ることができる。
ウクライナの戦場 図上の 戦況配置図
私は、このサイトを次々と見たら、この3週間のロシア軍の苦戦が分かる。
電子戦と 情報戦で、ロシアは、始めから負けていた。
アメリカ空軍のAWAC(エイワックス)の情報収集機が、ウクライナ軍に直接、ロシア軍の居場所と配置を、正確に精密に逐一、教えている。
緒戦の2月24日に、キエフの北方の、ホストメリという地区にある、アントノフ空軍基地を、ロシア軍の最強の 空挺師団(ヘリボーン)の特殊部隊(スペツナズ)の1個中隊、200人の最精鋭のロシア軍が殲滅(せんめつ)された。
Mil-17 「ミル17」武装ヘリで着陸して空港を占領した。
これが、周囲で、待ち伏せしていたウクライナ軍の第4即応理旅団4000人によって、完全に包囲され撃滅された。
ロシアの特殊部隊(スペツナズ)は、一旦は、空港を制圧したのだが、これ自体が、始めから仕掛けられた大きな罠だった。
後続のロシアの装甲師団(戦車部隊)が、チェルノブイリ方向から、急いで南下して、湿地帯を通過して、到着するのが間に合わなかった。
ロシア軍の動きは、すべて、アメリカのAWACに傍受され、そのままウクライナ軍に通報されていた。
この時、ロシアの大型輸送機Il 76 「イルージョン」2機が、キエフの南に向かって飛んでいて撃墜されている。
おそらくキエフの南側、すなわち、ウクライナ軍の正面からは背後に、降りようとしていたロシアの空挺部隊が、これで全滅しただろう。
これらのことは、上記の「真・防衛研究チャンネル」で、3月2日? の号で描かれ説明されている。
ロシア軍の侵攻を、十分に想定して、この為に準備して、8年前の2014年からずっと、8年間、アメリカ軍とNATO軍の軍事顧問団が、周到に準備していた。
アメリカ軍のベテランの教官たちが、ウクライナ正規軍と、それと今や一体化している、アゾフ大隊(ネオナチ)集団に、 「ジャベリン」対戦車ミサイルの使い方や、暗号化した信号データの送り方や、電子妨害の仕方や、S-300の地対空ミサイルや、BUK(ブーク)ミサイルの 隠し方、素早い移動の仕方を軍事指導していた。
これではロシア軍は勝てない。
ロシア軍の通信は、暗号化されていない普通のスマホのようなもので行われていた。
すべては、アメリカ製の高度の通信機器で傍受され、ウクライナ軍に筒抜けで伝わった。
同じロシア語を使っているのだから。
ウクライナ語とそんなに違わない。
この通信・情報戦でもロシア軍は決定的に負けている。
それでもロシア軍は、物量で優勢だから、大きな損害を出しながらも、じわじわと面取り、陣取り作戦で、ウクライナ国境線から100キロぐらいのところまで、ぐるりと、占領している。
今も戦闘は続いている。
いくら、「双方、撃ち方、やめ」の 停戦合意(cease -fire agreement シースファイア・アグリーメント)が成立しても、ロシア軍は、自分たちが血で贖(あがな)って占領した地帯から簡単には撤退しないだろう。
なぜなら、停戦のあとの和平交渉(peace talks ピーストークス) が、うまくゆくわけはないからだ。
上に載せた、「新・防衛チャンネル」の 画像の 戦況地図を見て、解説を聞いているいと分かる。
3月17日になっても、北のハリコフ(ハルキウ。第二の都市。大阪みたいな。ロシア系の住民が多い) でも、南のマリウポリでも、まだ市街の中心部では戦闘が続いている。
それで一般住民にまで死者の被害が出てる。
アゾフ大隊のようなネオナチの強固の信念をした、死ぬまでロシア軍と戦う、という者たちが、残っていて、すでに、都市ゲリラ戦になっている。
おそらくほとんどは地下の退避豪にいる住民たちの間を、動き回りながら、ロシア軍と戦っている。
死ぬ気で戦う者を相手にしたら勝てない。
しかし、今、アメリカで、ウクライナのネオナチを勝たせたら、その悪い影響がアメリカ国内にまで広がる、という警戒感が生まれている。
ここにチェチェン共和国で、ロシア側について、地獄の戦争をしてきた、カディロフ首長のような男の軍団(3500人から7千人と言われる )を、プーチンは、自分の信頼関係で、連れてきて投入した。
地獄の戦いだ。
南部の都市ネルソンは、完全にロシア軍が制圧している。
しかしここでは、非武装の普通の市民たちが街に出てきて、ロシアの戦車の前に集まって、丸腰のまま抗議をしている。
非武装の市民を撃つことは出来ないので、ロシア軍の戦車と兵士たちは、黙って見ている。
ウクライナ人たちは、何でも知ってるはずだ。
今のゼレンスキー政権が、ここまでプーチンを追い詰めて、怒らせて、侵攻したただけの理由がある、ということも。
ただ単に、戦争反対、ロシアの侵略反対、だけを言っても、本当は、通用しないのだ、ということも。
みんな分かっているのだ。
プーチンが要求している、ウクライナの「ウクライナの中立化(非軍事化)」と、ネオナチの勢力を政権から排除する 「非ナチ化」de-Nazification ディー・ナチフケイション の正当性も。
そして、ロシア系の住民が多い東部のドネツク、ルハンクスの2州と、クリミア半島のロシアへの併合。
この要求を飲むことが、停戦合意の条件になっている。
だが停戦交渉は、これから何度でも行われ、合意するが、また破られる。
それがこれからずっと続くだろう。
西側の主要国(大国、列強たち)は、自分たちに、ロシアの核兵器が飛んでこなければ、それでいい、と思っている。
ウクライナ人たちは可哀そうだが、さらに一段階上の、プーチンと、主要国首脳の交渉で、ウクライナ人たちの要求は抑えつけられてゆく。
だから、ここでは、私、副島隆彦が、30年間唱えて来た、世界史(人類史)を貫く 「帝国―属国 関係」として、冷酷に現状を見る必要がある。
ロシア帝国(皇帝プーチン)は、ウクライナがNATOに入って、ロシアの安全を脅かすことを絶対に容認しない。
歴史的に自分の周辺属国であったウクライナが、敵側の西側世界(ディープステイトが支配する)の手先となって、ロシアを破壊する作戦に使われることを許さない。
だから、このあとも、ずるずるとウクラナイナ戦争は、泥沼化したまま続く。
プーチンは、次の任期である2024年には引退するだろう。
そのあとを誰が、ロシア帝国を指導するのか、分からない。
ロシアが西側(ディープステイト)の深い計画どおり、崩壊してゆく、ということはない。
西側の金融、経済の大崩壊の方が、その前に起きるだろう。
それは、2024年である。