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ネオコン派総帥ディック・チェイニーの娘リズ・チェイニー

リズ・チェイニー連邦下院議員が共和党予備選挙で敗北
http://suinikki.blog.jp/archives/86500711.html



このブログでも以前に取り上げ、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも取り上げたリズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)が今年11月の中間選挙での共和党議員選挙の共和党予備選挙共和党の候補者を決める選挙)で、ドナルド・トランプが支持する挑戦者に敗れて、本選挙に共和党候補者として出馬できないことになり、下院議員の議席を失うことになった。



連邦下院議員は2年ごとに全員が選挙ということになり(任期が2年)、選挙に追いまくられる生活を強いられる。

 

また、2年おきに選挙があるので、野心がある人間が常に挑戦者となって迫ってくる。

 

勝ち続けるということは難しい。

 

しかし、リズの父親ディック・チェイニーワイオミング州選出の連邦下院議員を務め、その後は国防長官や副大統領(ジョージ・W・ブッシュ政権で実質的な指揮を執った)を務め、「王朝(ダイナスティ、dynasty)」と形容されるほどの地盤を誇った。

 

 

また、政治資金集めも親の七光りもあって成功していた。

 

しかし、今回脆くも敗れ去った。

リズ・チェイニーは元々ドナルド・トランプに好意的な人物であった。

 

2016年の大統領選挙ではいち早く支持を表明し、トランプが女性スキャンダルに見舞われた際にも指示を変えなかった。

 

トランプ政権下での連邦下院での法案への投票行動の記録では、トランプの意向に沿った形で、93%の割合でトランプの望むような投票行動を取った。

 

トランプがリズについて「ワイオミングの人々は素晴らしい政治家を持っている」と称賛したこともあった。



しかし、2020年の大統領選挙でトランプが敗北とされたことに対して異議を申し立てたあたりから、2人の関係は変わり、リズ・チェイニーはトランプ批判を行うようになった。

 

そして、2021年1月6日の連邦議会にトランプ支持派が進入するという事件が起きてから、そのトーンは激しくなった。

 

 

 

連邦下院でトランプ弾劾に関する投票が行われ(結果は否決)、共和党からは10名が賛成に投票した。

 

その中にリズが含まれていた。

トランプはリズに対する批判を強めた。

 

そして、今年の中間選挙に関して、各地で自身が誰を支持するかということで、賛成派を増やし、反対派を議会から追い出すという戦略を取っている。

 

リズに関しては議会から追い出すということで、トランプが支持する挑戦者が共和党予備選挙に出馬し、現職であり、チェイニー王朝の当主リズ・チェイニーを破った。

 

連邦下院でトランプ弾劾に賛成した10名の共和党所属の下院議員のうち、4名は元々引退を決めていた。

 

4名が再選を目指していたが共和党予備選挙で敗退した(ここにリズも含まれる)。

 

2名が共和党予備選挙を突破したが、1名は選挙区の区割りが変わり、民主党が優勢となったために本選挙で敗れる可能性が高い。

 

そうなると、1名だけが来年の議会に戻ってくるということになる。

リズ・チェイニーを反トランプの結集軸、象徴にしようという声が出ている。

 

リズ知名度と反トランプ姿勢を評価してのことだ。

 

具体的には2024年の大統領選挙に向けて、2023年から具体的に始まる大統領選挙の共和党予備選挙に出馬すべきだという声だ。

 

現在、各種世論調査「2024年の大統領選挙の共和党候補者は誰が良いか」という設問に対して、ドナルド・トランプが1位という結果が出ている。

 

トランプ自身はまだ何も言っていないが、共和党員や共和党支持者の間でトランプ待望論が根強い。

 

 

これは現在、共和党内部で清新なリーダーが見当たらないということもある。



こうした動きを阻止するために、「トランプに共和党の候補者指名を受けさせないために邪魔をする」ということでリズ・チェイニーの待望論が出ている訳だ。

 

しかし、チェイニーは反トランプの結集軸となり得るだろうか? 

 

私はあまりにも「タマが悪い」と考える。

 

リズの後ろにはアメリカを泥沼の対外戦争に引き込んだネオコンがいる。

 

そもそも父親ディック・チェイニーネオコン派の総帥なのだ。

 

また、トランプ政権下ではトランプと蜜月の関係にあった。

 

そのことから、反トランプ派(共和党内部、民主党無党派)がどれだけリズを一枚岩で押し上げるというのは難しいと私は考えている。

2024年の大統領選挙の共和党予備選挙で、2020年の大統領選挙本選挙でトランプが敗れた各州でリズが勝利すれば、トランプの候補者指名を阻止できる可能性はある。

 

しかし、そう言うことになれば共和党は深刻な分裂状態、共和党が優勢な南部とそれ以外の地域で分裂が起きる。

 

そうなれば漁夫の利を得るのは民主党だ。

 

トランプの候補者指名を阻止するために出る、という後ろ向きの立候補は共和党に深刻なダメージを与えることになる。

 

そうなれば共和党エスタブリッシュメント派でもあるリズ・チェイニーは、共和党破壊の張本人となってしまう。

 

彼女にそれを甘受できるほどの覚悟はできないのではないかと思う。

今年の中間選挙では共和党が連邦下院で過半数を獲得すると見られている。

 

そして、共和党予備選挙ではトランプが支持する候補者たちが勝利している。

 

来年の連邦議会はより反バイデン姿勢を取るようになり、バイデン政権の活動はより厳しくなるだろう。

(貼り付けはじめ)

ワイオミングでのチェイニーの敗北の重要なポイント(Key takeaways from Cheney’s loss in Wyoming)
マックス・グリーンウッド筆 2022年8月17日 『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604803-key-takeaways-from-cheneys-loss-in-wyoming/

リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオ州選出、共和党)が火曜日にドナルド・トランプ前大統領の支持する予備選挑戦者に敗れた。この出来事は、前大統領が党内から批判者を排除しようとする努力の重要な一里塚の1つとなった。

チェイニーは、2021年1月6日の連邦議会議事堂での暴動に関与したトランプ前大統領の弾劾において、昨年連邦下院で行われた弾劾に賛成投票を行った数少ない連邦下院共和党議員の1人で、前大統領への批判の手を緩めることなく、「トランプは依然として法の支配とアメリカの民主政治体制に対する脅威である」と最後まで主張した。

しかし、チェイニーの連邦下院議員選挙共和党予備選は、トランプがホワイトハウスから追放されてから約2年後の共和党の未来と、その有権者の立ち位置について、いくつかの示唆を与えてくれるものだ。

チェイニーの選挙からの5つのポイントについて見ていく。

(1)トランプの共和党への支配力と掌握力はこれまでと変わらずに強い(Trump’s grip on GOP as strong as ever)
火曜日にチェイニーが敗れたことで、トランプの批判者たちの間に残っていた、党の有権者たちが前大統領に逆らい、自分たちの進むべき道を切り開く準備ができたかもしれないという希望は打ち砕かれた。
また、少なくとも共和党優勢州の共和党員たちの間で、トランプの影響力がこれまでと同様に強いことが明確に認識されることになった。
トランプ前大統領はホワイトハウスから何百マイルも離れているが、共和党有権者を自分の好む候補者に誘導し、不誠実とみなす人物からは遠ざけることができることをこれまでに繰り返し証明してきた。もちろん、例外もある。たとえば、ジョージア州知事のブライアン・ケンプは、トランプが支援する予備選挑戦者を簡単に敗退させた。
しかし、トランプが現代の共和党においておそらく最も強力な存在であることに疑いの余地はなく、この事実は、2024年にホワイトハウスへの復帰を検討しているトランプにとって特に好都合な兆候である。

(2)弾劾賛成派の共和党員たちは減少し続けている(Pro-impeachment Republicans are dwindling)
来年、第118回連邦議会が召集される時、一つだけ確かなことがある。昨年、トランプ弾劾に賛成投票した共和党所属の連邦下院議員の大半は、その場にいないことになる。
トランプ前大統領の弾劾に賛成した連邦下院共和党議員10名のうち、4名は今年の選挙に立候補しないと発表している。チェイニーを含む別の4名は再選に挑戦したが、トランプが支持する予備選挙挑戦者たちに打ち負かされた。
共和党予備選で生き残ったのは2名だけとなった。デイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)と、ダン・ニューハウス(ワシントン州選出、共和党)である。
ニューハウスの地元は共和党が強い選挙区であることから、今年の再選は間違いなさそうだが、ヴァラダオは政治的にかなり不安定な立場にある。今年6月の予備選を辛うじて突破したが、現在は区割り変更のおかげで、民主党支持が多い選挙区からの出馬となる。
新しい選挙区割りによって、民主党は攻勢を強めており、ヴァラダオは民主党議会選挙委員会(Democratic Congressional Campaign Committee、DCCC)の2022年中間選挙のターゲット者名簿に名前が載ってしまい、来年議会に戻ることを望むであろうが、厳しい戦いになることを示唆している。
ヴァラダオが仮に当選しても、これまでで最も親トランプ的な連邦下院共和党の中に身を置くことになる。

(3)反トランプの共和党内での戦略には限界がある(There are limits to the anti-Trump GOP strategy)
反トランプ派の共和党所属の議員たちはトランプの猛烈な攻撃に耐えられるだけの幅広い有権者層をまとめられるはずだと期待していた人たちにとって、チェイニーの敗北は明らかな失望となってしまった。
しかし、そのような戦略の限界を思い知らされるものでもあった。チェイニーは、トランプ自身と彼による2020年の選挙は盗まれたものだという虚偽の主張を痛烈に批判したため、共和党の保守基盤となる人々の間で孤立し、不人気となった。
しかし、彼女のレトリックは、無党派層民主党議員をしっかりと味方につけるには不十分だった。穏健派の多くは、共和党で最も強力な人物に挑む彼女の意志を賞賛したかもしれないが、他の問題についての彼女の保守的な投票記録は、彼女への投票を厳しいものにしたようだ。
しかし、チェイニーは民主党員や民主党支持者に自信に投票するよう働きかけなかった訳ではない。この夏の初め、彼女の選挙キャンペーンは、ウェブサイトや郵便物を通じて指示を出し始めていた。

(4)チェイニー氏は傷ついたが、めげずに頑張る(Cheney may be bruised, but she’s undaunted)
敗北を認める前から、チェイニーの運命は明らかだったようだ。
彼女はトランプに償いをしようとはしなかったし、トランプの支持者に自分がまだ味方であることを訴えようともしなかった。彼女の締めくくりの選挙広告の一つには、父親であるディック・チェイニー元副大統領がトランプを激怒させる様子が描かれていた。
火曜日に敗北を認めた際も、チェイニーは断固として自分の信念を貫いた。リズ・チェイニーは、2020年の選挙の余波でトランプに味方していれば、予備選に勝てたかもしれないが、単にそうする気がなかったと述べた。
ただ、注目すべきは、彼女の敗北受諾演説には、次に何が起こるかについての潜在的なヒントが含まれていたことだ。彼女は、トランプを再び大統領にしないために「必要なことは何でもする」と誓い、リンカーン元大統領に言及し、彼もホワイトハウスを手に入れる前に選挙に負けたことを指摘したのである。
この言及と、トランプとトランプ主義に対する十字軍を続けるというチェイニーの誓いは、彼女がまだ政治のスポットライトから降りる準備ができていないことを示唆しており、彼女自身がホワイトハウスへの立候補を検討しているという憶測を更に掻き立てるかもしれない。

(5)トランプ氏の総選挙でのアピールポイントに焦点(Focus shifts to Trump’s general election appeal
チェイニーの敗北は、トランプが共和党から批判者を一掃しようとするドラマのクライマックスのようなものであった。彼女は、今年、予備選に臨む弾劾に賛成投票をした最後の下院共和党議員だった。
これでトランプの関心は今年11月の中間選挙に移り、共和党員や共和党支持者だけでなく全ての有権者がトランプが推薦する候補者たちに評決を下すことになる。
ワイオミング州は強固な共和党優勢州なので、ヘイグマンが次期連邦下院議員になることはほぼ確実だが、トランプが推薦した他の候補者はもっと厳しい戦いになると見られている。
例えばペンシルベニア州は、上院議員選挙の激戦区で、民主党のジョン・フェッターマン副知事が、トランプが支持する共和党の競争相手である、著名な医師メフメト・オズに大差をつけてリードしているとの世論調査結果が出ている。
ジョージア州でも同様の状況が展開されており、上院議員のラファエル・ウォーノック民主党)が、トランプが選挙戦序盤に支持した元NFLのスター選手ハーシェル・ウォーカーに対して優位を保っている。
問題は、トランプの影響力が今年の共和党予備選のように、中間選挙で発揮されるかどうかだ。

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リズ・チェイニーの政治的な将来に関する5つの疑問(Five questions about Liz Cheney’s political future)
マイケル・シュニール、ジュリア・マンチェスター筆 2022年8月16日 『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604524-five-questions-about-liz-cheneys-political-future/

リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、火曜日に行われた連邦下院議員選挙共和党予備選挙で、トランプが推薦する弁護士ハリエット・ヘイグマンに敗れ、新たな政治的将来に向かうことを余儀なくされた。

共和党内部の政治的な王朝出身で、3期目の連邦下院議員を務めていたチェイニーは、連邦議会での任期が終了したら何をするのかということに関する憶測は着実に大きくなっており、2024年の大統領選挙に出馬するのかどうか、明確に示していない。

チェイニーは火曜日の夜、反抗的な演説を行い、トランプ前大統領と彼が作り出した運動、そして2020年の選挙について彼の主張を繰り返す候補者たちを非難した。それは同時に、敗北を受け入れる演説であり、これからも公職に関わる将来を約束するものとなった。

チェイニーは「だから、今夜皆さんにお願いしたいことがある。それは、ここを去るとき、私たちの共和国を破壊する者たちに対して、共和党員、民主党員、無党派層が共に立ち上がることを決意するというものだ」と語った。

しかし、「ドナルド・トランプが二度と大統領執務室に近づかないようにするために必要なことは何でもする」と誓いながらも、チェイニー自身が次に具体的に何をするのかについてはほとんど言及しなかった。

チェイニーは「この予備選挙は終わったが、これからが本当の仕事の始まりだ」と述べた。

リズ・チェイニーの政治的な将来については5つの疑問が存在する。

(1)チェイニーは2024年大統領選挙に出馬するだろうか?(Does she launch a 2024 presidential campaign?)
ディック・チェイニー元副大統領の娘であるリズ・チェイニーは、2024年の大統領選挙出馬の可能性についての質問をかわし、トランプをホワイトハウスから締め出すという彼女の主な目標に話を戻したがった。
チェイニーはこれから、ケーブルテレビで仕事をする、シンクタンクに入る、本を書くといったことができるが、ジョージ・W・ブッシュとチェイニーのホワイトハウスで働いた共和党所属のストラティジストであるスコット・ジェニングスは、チェイニーがその目標を達成するための「次の論理的」ステップは2024年の大統領選挙への立候補であると語った。
ジェニングスは「できることは色々とあるだろうが、選挙戦を行うこと以上に良いプラットフォームがあるだろうか?」 と本誌とのインタヴューの中で述べている。
ジェニングスは続けて次のように述べた。「リズ・チェイニーが大統領選挙に出馬すれば、彼女が受ける報道の量、メディアの注目度は、世論調査での彼女の地位を大きく押し上げることは間違いないところだろう。もし、共和党支持の人々に、自分が重要だと思う考えを話したいと思っているのなら、大統領選の時期にそれをするのが最良の方法だと私は考える」。
論理的に言えば、チェイニーの大統領選挙出馬は可能だ。
チェイニーは連邦下院議員として、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を調査する連邦下院特別委員会の副委員長としての仕事を通じて、全国的な知名度を急上昇させた。NBCニューズによると、彼女は高い知名度を誇り、共和党内部に強いコネを持ち、3週間前の時点で選挙口座には740万ドルの資金が残っている状態であった。
そしてチェイニーは、パターン通り、火曜日の演説の多くをトランプとトランプ主義に集中させたが、2024年については何も否定しなかった。


(2)彼女はホワイトハウスを勝ち取るために出馬するのか、それともトランプを排除するために出馬するのか?(Does she run to win the White House — or keep Trump out of it?)
2024年の共和党大統領選挙候補の座を勝ち取ることは、チェイニーにとって苦しい戦いになるだろうというのが関係者の共通認識だ。
「2024年の大統領選挙で共和党の候補者は誰が良いか」という世論調査のほとんどで、トランプが首位をキープしている。トランプ氏の政策を推進するフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が2位となっている。そして、まだ予備選挙の開票作業中ではあるが、チェイニーはトランプから30ポイント以上の差をつけられているようだ。
しかし、勝てる見込みがほとんどなくても、チェイニーは大統領選挙の共和党予備選挙の結果を左右するために出馬するかもしれない。
ジェニングスは次のように語った。「“成功の定義をどうするか?”ということになる。彼女にとっては、指名を獲得することよりも、トランプを指名させないようにすることの方が重要かもしれない。だから、成功をどう定義するか次第だと思う」。
彼女の存在は、トランプと彼の政策やレトリックを信奉する人々によって支配されている大統領選の会話からほとんど締め出されている反トランプの共和党員や死者たちに声を与えることにもなる。
マイク・ペンス元副大統領の補佐官を務めたオリヴィア・トロイは、「“アメリカを再び偉大に(MAGA)”運動全体に参加していない人、共和党の方向性に満足していない人、私のように昔ながらの伝統的な保守的共和党員にとって、リズ・チェイニーはより魅力的な選択肢に思える」と語った。
トロイは「彼女のような人が、政治の世界で、起きていることについて主張をし、真実を伝え続けようとする姿勢が重要だと思う」と述べた。
チェイニーは火曜日、米国の統一を維持するために戦ったリンカーン元大統領に言及した。
「私たちの党の偉大な勝利者エイブラハム・リンカーンは、最重要な選挙に勝つ前に、連邦上院と連邦下院の選挙で敗れたのである。リンカーンは最終的に勝利を収め、連邦を救い、歴史に残るアメリカ人としての義務を定義した」と彼女は語った。

(3)彼女は残された任期で何をするのか?(What does she do with her time left in office?)
2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を調査する連邦下院特別委員会は、11月に共和党が議会の主導権を握ることを見越して、今後数カ月以内に調査を終結させようと、既に時間との戦いに突入している。
しかしそれ以前に、委員会はさらに公聴会を開き、トランプが自身の権力を維持するための計画の中心にいたという主張を補強するための追加情報を提示することを明確に誓っている。チェイニーはこのプレゼンテイションにおいて、おそらく大きな役割を果たすであろう。
アダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)は先月、連邦議事堂で記者団に次のように語った。「私たちは現在負けてはいない。証言を名乗り出る人々が殺到しているのを見るのは素晴らしいことだ。退く時ではない」。
チェイニーはこれまでにも委員会の公聴会で中心的な役割を果たし、開会宣言や閉会宣言を行い、委員会で証言する証人たちに質問を行ってきた。
その際、トランプや共和党の同僚を批判することも臆することなく行っており、このやり方は残り数カ月の任期中も、強化はしないまでも、続けることになりそうだ。
共和党所属のストラティジストであるダグ・ヘイは、リズ・チェイニーが共和党予備選挙敗北後にどのような道を歩もうとも、委員会での仕事をスタートに、アメリカ政治における発言力のある存在であり続けることを確認すると『ザ・ヒル』誌に語った。
ヘイは「はっきりしているのは、彼女の声がどこにも届かないということだ。そしてそれは、1月6日調査委員会の次の公聴会から始まり、その後、彼女が決めたどんな形であれ、続けていくことになる」と述べた。

(4)今後、彼女はどのようなサポートを受けるのだろうか?(What kind of support does she have for future moves?)
チェイニーは予備選挙で敗れたものの、全国に広大な支持者と献金者のネットワークを持っており、今後の政治活動に役立てることができるだろう。
リズ・チェイニー議員は、今年の第1四半期に自身の記録を更新し、300万ドル近くを集め、第2四半期には290万ドルという途方もない額を記録した。
チェイニーは、草の根の寄付に加えて、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ブッシュ元大統領の補佐官を務めたカール・ローブ、映画プロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグ、億万長者のヘッジファンドマネージャー、セス・クラーマンなど全米の共和党民主党の著名な寄付者たちからも資金を得ている。
しかし、共和党の大統領予備選挙では、チェイニーは共和党予備選挙に参加できる有権者たちにアピールする必要がある。そして、反トランプの共和党員は彼女だけとは限らない。メリーランド州知事のラリー・ホーガン(共和党所属)は、2024年の共和党の希望として繰り返し浮上しており、まだ出馬を否定していない。
トロイは「より穏健な有権者にどのようにアプローチするかが重要になると思う」と述べた。
トロイは続けて「彼らは長年にわたり共和党で尊敬を集めてきた人物だ。そして、彼らの声は、多くの人ができない方法で聴衆に届けることができる」。

(5)大統領選出馬以外にできることは何か?(What could she do besides run for president?)
2024年の大統領選挙への出馬が最も話題になっているが、チェイニー連邦下院議員には、トランプ大統領に対する闘争を続けるために追求できる別の道もある。
1つは、ケーブルニューズのコメンテイターやアナリストとして参加し、トランプ前大統領に対抗し、2020年の大統領選挙が盗まれたという彼の誤った主張を糾弾するための大きなプラットフォームを手に入れることであろう。
このルートは、元議員に人気のあるルートだ。2018年に当時のミズーリ州司法長官ジョシュ・ホウリー(共和党)に落選させられたクレア・マッカスキル元連邦上院議員ミズーリ州選出、民主党)は、選挙の数カ月後に政治アナリストとしてNBCニューズとMSNBCに入社し、ジェイソン・チャフェッツ元連邦下院議員(ユタ州選出、共和党)は2017年に連邦下院を辞めた翌日に寄稿者とコメンテイターとしてフォックス・ニューズに採用された。
チェイニーは、今年11月の中間選挙に出馬しないキンジンガーのように、シンクタンクに参加したり、自身の政治行動委員会(PAC)を設立したりすることも可能である。
キンジンガー(トランプ批判のもう1人のトップで、1月6日事件調査委員会ではチェイニーの同僚の共和党議員)は、トランプを受け入れる共和党に異議を唱える運動として、「カントリー・ファースト(Country First)」と称する政治行動員会(PAC)を立ち上げた。
チェイニーにとってもう1つの選択肢は、ワシントンを去るトップ政治家がよくやる、本の執筆だ。2020年の選挙で3期目出馬を取り止めたウィル・ハード前議員(テキサス州選出、共和党)は、トランプを何度も批判した後、『アメリカの再起動:大きな問題を終わらせる(American Reboot: An Idealist's Guide to Getting Big Things Done)』と題した本を執筆した。
チェイニーが次の行動に何を選ぶかはまだ分からないが、ジェニングスによれば、チェイニー議員は最近の、そして今後の政治的な動きを推進する計画を持っている可能性が高いと語っている。
ジェニングスは次のように語った。「私はチェイニー家のことをよく知っているし、彼らがいかに賢く、どのように行動しているかも知っている。リズ・チェイニーは、ドナルド・トランプホワイトハウスから締め出すことが自分の使命だと考えているのだろう。だから、それが使命なら、その使命を達成しようとする計画を構築するような人たち、それがチェイニー家なのだ」。

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リズ・チェイニーがワイオミング州での予備選挙で敗北(Liz Cheney defeated in Wyoming primary)
マックス・グリーンウッド筆 2022年8月16日 『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604628-liz-cheney-defeated-in-wyoming-primary/

ドナルド・トランプのかつての盟友で、彼の最も熱心な共和党内部の批判者の1人となったリズ・チェイニー下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、トランプ前大統領と彼の共和党有権者への影響力に逆らって生き残るための長丁場の戦いの末、火曜日の予備選挙で敗れる見通しとなった。

NBCニューズとCBSニューズは、いずれも東部時間午後10時過ぎに選挙戦の結果を報じた。

チェイニーは、弁護士で共和党全国委員会(Republican National Committee 、RNC)委員を務め、昨年トランプから支持を受けたハリエット・ヘイグマンに大敗した。ヘイグマンは来年、共和党が圧倒的優勢な州の唯一の連邦下院議員としてチェイニーの後を継ぐ大本命となる。

選挙結果が決まった後、チェイニーは支持者たちに対して、ヘイグマンに電話で選挙の敗北を受け入れると伝えたと述べた。

「私たちの共和国は、選挙結果を誠実に受け入れるという、全ての候補者の善意に依拠している。そして今夜、ハリエット・ヘイグマンがこの予備選挙で最も多くの票を獲得した。彼女は勝ったのだ」と、チェイニーは熱弁をふるった。

火曜日のヘイグマンの勝利は、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件で、昨年トランプ弾劾に賛成投票した10名の共和党議員を連邦下院から排除しようとするトランプの努力における最後の、そしておそらく最も重要な一里塚であった。

その10名のうち、4名は今年の選挙に出馬しないことを選択し、チェイニーを含む4名はトランプが支持する挑戦者に共和党予備選挙で敗れている。これまで予備選の挑戦者に買って生き残ったのは2名だけだ。デイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)とダン・ニューハウス(ワシントン州選出、共和党)である。

チェイニーの共和党予備選敗北は、特にトランプにとって象徴的な勝利である。チェイニーは昨年、前大統領の弾劾に賛成した後、トランプについて「アメリカ合衆国憲法をほとんど顧みない反民主政治体制の強者」と頻繁に批判し、トランプ主義に対する共和党の防波堤として台頭してきた。

そうした批判によって共和党の同僚たちと揉め、連邦下院共和党議員会会長を解任されることになった。

しかし、事態はそれだけにとどまらなかった。

共和党全国委員会とワイオミング州共和党は昨年、チェイニーの問責決議案を提出し、多くの同僚共和党議員たちがヘイグマンに賛同してチェイニーを更迭しようとした。

しかし、チェイニーは反抗的な態度を維持した。チェイニーは、2021年1月6日の暴動を調査する下院特別委員会のメンバーに選ばれた2名の共和党員のうちの1名であり、最終的には副委員長に昇格した。

その間、チェイニーは予備選挙で厳しい逆風に直面し、トランプはワイオミングでのレースに特に強い関心を寄せていた。彼のティームは数カ月かけてチェイニーに対する共和党予備選挙挑戦者候補を面接し、元大統領自身も何人かの候補者と面接を行った後、ヘイグマンを予備選挙挑戦者に選んだ。

その結果、予備選挙の候補者は大幅に絞られ、不動のトランプ前大統領の同盟者かとチェイニーかという明確な二者択一となった。

火曜日の夜の演説でチェイニーは、2020年の選挙に関するトランプの虚偽の主張と投票を覆す努力に付き合っていれば、自分が予備選で勝っていただろうと訴えた。結局のところ、そうする気になれなかったとも述べた。

チェイニーは次のように語った。「2年前、私はこの予備選挙で73%の得票率で勝利した。また同じことをするのは簡単なことになるはずだった。道は明らかだった。しかし、そのためには、2020年の選挙に関するトランプ大統領の嘘に、私が1人で付き合わなければならなかっただろう。民主政治体制を崩壊させ、共和国の根幹を攻撃しようとする彼の継続的な努力を無視しなければならなかっただろう。それは私にはできないし、しない道だった」。6年前の2016年のホワイトハウス立候補の際、チェイニーはトランプを支持し、トランプが女性について下品な発言をしている録音が公開され、多くの共和党議員がトランプと距離を置く中でもその支持を維持した、チェイニーのトランプ前大統領への痛烈な批判は、ワイオミング州選出の3期連続の連邦下院議員として、異例の展開となった。

データ専門ウェブサイト「ファイヴサーティーエイト(FiveThirtyEight)」によると、チェイニーは連邦下院議員として、約93%の割合でトランプの立場に沿った票を投じていたということだ。

しかし、2020年大統領選の余波と、選挙が自分に不利に操作されているというトランプの主張が、チェイニーを二度と戻れない限界点まで追い詰めることになった。

火曜日の予備選に向けて、世論調査でヘイグマンに大差をつけられていても、チェイニーはトランプを堂々と批判していた。今月初め、彼女の父親であるディック・チェイニー元副大統領は、彼女のために選挙広告に出演し、トランプを「私たちの共和国に対する脅威」と激しく非難した。

リズ・チェイニーもまた、保守派を自分の大義に結集させることはほとんどしなかった。ワイオミング州選出連邦下院議員リズ・チェイニーは、予備選挙で行われた唯一の討論会で、最後の発言で有権者に対し、自分の政治方針に同意できないのであれば、他の候補者に投票すべきだと述べた。

チェイニーは次のように語った。「私が連邦下院議員に就任する際の宣誓の言葉を破ることは決してないということを皆さんに理解して欲しい。もし私の宣誓とは異なる考えを持つ人を探しているのなら、このステージにいる他の人に投票して欲しい」。


(貼り付け終わり)

(終わり)