きなこのブログ

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習近平 国家主席の異例の3期目入り

 

中国共産党の長老たちに注目が集まっている
http://suinikki.blog.jp/archives/86709237.html

私の勝手なイメージであるが、中国の最高指導部を引退した人物たちは長命な人が多いようだ。

 

80代後半、90代、100歳でも元気に何か式典があれば出てくるように思われる。

 

私が物心ついての中国の指導者と言えば、鄧小平だが、鄧小平も92歳まで生きた。

 

今回は105歳になる宋平が出席しており話題となっている。


宋平

 

胡錦涛(真ん中)

第20回中国共産党大会にも中央政治局常務委員を務めた「長老たち」が数多く出席した。

 

「特別招待代表」という枠での出席ということだ。

 

以下に新聞記事を貼り付ける。

(貼り付けはじめ)

党大会に江沢民氏らは不在 引退幹部の言動監視し、長老たちの影響力低下か
2022年10月16日 20時31分 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/208515

【北京=白山泉】16日開幕の中国共産党大会では胡錦濤(こきんとう)前総書記(79)ら元最高指導者らが「特別招待代表」として出席し、習近平(しゅうきんぺい)総書記(69)とともにひな壇席に並んだ。

 

ただ、江沢民(こうたくみん)元総書記(96)や、改革派として庶民に人気がある朱鎔基(しゅようき)元首相(93)らの姿はなく、長老の影響力低下も印象づけた。

江氏はたびたび重病説が流れているが、今年10月上旬には夫人と一緒に籐椅子とういすに座って誕生日を祝う写真がネット上に掲載された。

 

15日に発表された、党大会の議事運営を取り仕切る計46人の「主席団常務委員会」には名を連ねている。

長老とは、主に引退した最高指導部メンバーを指す。

 

1976年に毛沢東(もうたくとう)が死去した後は、政策や指導部人事に影響を行使してきた。

 

存命の長老は20人弱だが、大半は80歳以上と高齢だ。

 

毛沢東への権力集中と個人崇拝が中国を大混乱に陥れた文化大革命(66〜76年)につながった反省から、習氏への権力集中には慎重な立場とされる。

一方、習氏はこうした長老の介入を抑え込むため、反腐敗キャンペーンを推進。

 

元政治局常務委員の周永康(しゅうえいこう)氏らが無期懲役の判決を受け服役中のほか、江氏率いる「上海閥」の有力者や胡氏側近の排除を繰り返し長老に圧力を加えてきた。

最近は共産党の引退幹部らの言動に対する監視も強めている。

 

共産党機関紙・人民日報は今年5月、引退幹部に党の規律を厳守するよう通知したと報じた。

 

党の人事責任者は「党の方針について勝手な発言をしたり、政治的にマイナスな言論を広げてはならない」などと警告。

 

海外への渡航手続きも厳格化している。

(貼り付け終わり)

 


こうした長老たちに注目が集まるのは何か大きなことが起きている時だ。

 

1989年の天安門事件趙紫陽総書記が失脚することになったが、この時も8名の長老たちが集まって、事態収拾にあたった。

 

習近平が3期目も続投するということについて、党長老たちは批判的だと言われているが、党大会に出席しているということはこの路線をある程度受け入れているということになるのだろう。

 

96歳の江沢民国家主席、93歳の朱鎔基元首相の第3世代の上海閥コンビは党大会を欠席したことで、「無言の抗議ではないか」という憶測が出ている。

 

96歳と93歳であれば健康問題が本当のところだろうというのが私の考えだが、中国共産党は革命戦争を戦い抜き、情報戦に勝つための秘密主義を守っているので、最高指導部層の情報はほぼ出てこないし、ニューズになる場合には党中央の意向を反映した形になる。

 

また、長老たちには影響力が残っているとは言っても、鄧小平のように実権はない。

 

鄧小平は亡くなる数年前まで中国国家中央軍事委員会主席の座からは降りなかった。

 

鄧小平の実権の裏付けは人民解放軍であった。

 

しかし、現在の長老たちにはそのような実権はないし、後ろ盾となる力もない。そのように考えると、江沢民と朱鎔基の欠席は健康問題なのだろうと思われる。

長老たちが会議の最前列に座ってボーとした姿を見せるのは、習近平体制の正統性を担保するということだ。

 

党の分裂や内部闘争をしている時ではない、という時に長老たちへの注目が集まる。

 

習近平3期目について、3期目に続投することが非常事態ということではなくて、習近平が3期目も続投しなければならない世界情勢、第三次世界大戦一歩前という状況が非常事態であり、「習近平しかこの状況を乗り切れない、だからまとまらねばならない」ということを長老たちの姿は語っているということになる。

 

党長老たちが最前列に座る

(貼り付けはじめ)


習近平に挑戦するかもしれない中国共産党の長老たち(The Party Elders Who May Challenge Xi)
-後継者問題が常に中国共産党のアキレス腱である。

メリンダ・リウ筆
2022年10月13日
『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/13/china-xi-jinping-succession-ccp-party-congress-elders/

かつて彼らは「八仙(八大長老、Eight Immortals)」と呼ばれた。彼らは中国共産党の長老たちで、裏で政治的影響力を行使していた人たちだ。1989年春、街頭デモと党内権力闘争に苦しむ鄧小平は、派閥化した指導部をまとめ、感情的になった国民を落ち着かせるため、7人の引退した高官を呼び寄せた。そして、デモ隊に同調した鄧小平の後継者である趙紫陽を粛清し、兵士には民間人への発砲を命じた。当時、中国のテレビを見ていた私は、外国メディアや外交官たちの中に混じって、表舞台から消えて久しい老革命家たちが、突然、全国放送で再び脚光を浴びることになったことを信じられない思いで一杯だった。一緒にいた西側諸国からの記者は「『ナイト・オブ・ザ・リビングデッドNight of the Living Dead)』を見ているようだ」とつぶやいた。

習近平が直面している課題は、1989年の天安門事件(1989 Tiananmen crisis)の流血とは全く異なる。しかし、古い習慣はなかなか消えない。1989年の事件は、後継者問題が中国共産党のアキレス腱であり、扱いを誤れば、最も尊敬されている指導者の評判さえも傷つけかねないことを改めて証明した。

中国の政治活動が混乱し、特に個人的な変化が起きる場合、これまで、党の長老たちが多くの場合に再登板してきた。習近平が2012年に中国共産党総書記に就任するや否や、電光石火のスピードで権力固めに動き、習近平は引退した老兵を視界から消し、闇に葬ろうと必死になっている。そのために、中国共産党はこの春、より厳格な新指針を発表した。この指針は、党の幹部たちに対して、トップレヴェルの政策議論について沈黙し、政治的に否定的な発言を避け、影響力の行使を控え、「違法な社会組織の活動(the activities of illegal social organizations)」を避け、何よりも「あらゆる誤った考え方に断固反対し抵抗する(resolutely oppose and resist all kinds of wrongful thinking)」ことを求めた。

中国の現在の政治的緊張は10月16日に開幕する第20回中国共産党大会の間に解消されるだろうと予測する人がいる。しかし、それは間違いだ。党大会は1つの問題を解決するかもしれないが、それ以上に多くの問題を引き起こすことになるだろう。習近平中国共産党の指導者として3期目を務めると広く予想されており、1989年に鄧小平の遺産を曖昧にし、機能不全の意思決定を防ぐために採用された数十年の慣習を一部覆すことになる。習近平は3期目の任期を延長するため、あるいは終身在任の可能性もあるため、論争を呼び、政治的資本(人々からの信認や支持)をリスクに晒すという事実は、彼が政治的頭痛の種というパンドラの箱を開けていることを意味する。

ジュード・ブランシェットとエヴァン・S・メディロスは国際戦略研究所(International Institute for Strategic Studies、IISS)の機関誌『サヴァイヴァル:グローバル・ポリティクス・アンド・ストラテジー』の記事で、「第20回中国共産党大会は、これまでの政治的継承のパターンとは大きく異なるものになるだろう」と書いている。彼らは続けて次のように書いている。「習近平の次の任期は、エリート政治の新しい規範を確立する上で決定的なものになるかもしれない」。習近平は「中央の意思決定の主導権を政府官僚から奪い取った」のであり、政権存続への懸念が高まる中で、次の5年間は「国際的な非難を顧みない厳しい措置」に対するリスク許容度が高くなるだろう。その代表例は、習近平が独自に進める、評判の良くない「ゼロ新型コロナウイルス」への固執だ。

習近平が徹底して冷酷に批判者を弾圧するため、公に反対意見を述べることは極めて稀であるが、知られていない訳ではない。10月13日、北京では、大学のキャンパスが集中する海淀区に、驚くべき2つの抗議横断幕が現れた。高速道路の高架橋に掲げられた横断幕は次のように宣言していた。「新型コロナウイルステストにノーと言え、食べ物にイエスと言え。監禁はダメ、自由を。嘘にノー、尊厳にイエス文化大革命はノー、改革はイエス。偉大な指導者にノー、投票にイエス。奴隷になるな、市民であれ」。もう1つの横断幕にはこう書かれていた。「独裁者で国賊習近平を追い出せ」。当時記録された写真や映像では、陸橋の上で煙が上がり、音声が録音されているように見えた。横断幕に関するコメントは、警戒する検閲官によってソーシャルメディアからすぐに削除された。一部の人々は、『孤勇者(Lonely Warrior)』というタイトルの中国の歌を共有することで、抗議者(または複数の抗議者)への支持を間接的に示した。

習近平は少なくとも10年前から野心的な権力闘争の下地づくりを始めていた。同時に、習近平の父、習仲勲は有名な党の長老であったため、習近平は早くから党の先輩たち(old guards)に対する理解を深めていたようだ。2015年には早くも、習近平は古い世代からの干渉を望まないことを明らかにした。『人民日報』紙は、江沢民国家主席を狙ったとみられるヴェイルに包まれた警告で、引退した指導者たちに「人が去るとお茶が冷める(once people leave, the tea cools down)」と助言し、引退した身分に「メンタリティを合わせる(adjust their mentality)」よう促したのである。

それ以来、習近平にはライヴァルを排除し、足を引っ張る仲間を排除する時間がたっぷりあった。習近平が権威を確立するための主な手段は、多くの高官を捕らえた執拗な反腐敗キャンペーン(anti-corruption campaign)だ。習近平の1期目には、全権を握る政治局常務委員会の元メンバー1人と、数十人の小役人や将軍が、リスクの高い反腐敗弾圧の一環として、接待係に取り押さえられた。ブランシェットとメディロスは、この取り締まりは「どう考えても壮大な規模だった」と書いている。

この捜査網(dragnet)は、軍事、治安、諜報部門の重要人物も陥れた。2017年、イスラム教徒が多い新疆ウイグル自治区での強引な政策を撤回するよう北京に提案した後、軍の高官だった劉亜洲は公の場から姿を消し、中国のソーシャルメディアや亡命した元党幹部の蔡霞によると、彼の自宅は家宅捜索された。劉の義父は元八仙の1人である故李先念国家主席だ。

9月下旬にも、警察幹部の孫力軍が、「複数の重要部門を掌握するための陰謀(cabal to take control over several key departments)」を企て、「邪悪な政治的資質(“evil political qualities)」を持っていたとして、汚職の容疑で起訴され、執行猶予付きの死刑判決を受けた。複数の中国メディアの報道によると、彼の主な罪は江沢民(現在96歳)と結びついた徒党に参加したことだということだ。

江沢民は1989年から2002年まで中国共産党総書記を務め、2004年まで党の強力な機関である中央軍事委員会主席に留まり、権力にしがみついたと見られている。江沢民は中国政治におけるいわゆる「上海閥(Shanghai clique)」のボスとみなされ、中国の引退した最高指導部経験者の中で最も影響力があると考えられるが、体調不良に悩まされているという噂がある。同様に、ぶっきらぼうではあるが広く尊敬されている朱鎔基元首相(93歳)も体調不良と伝えられている。朱鎔基の健康問題は、一部の中国アナリストが、朱鎔基は、習近平の経済的に悲惨で孤立主義的な反新型コロナウイルス政策に愕然としていると主張するのを止めてはいない。匿名希望のある中国側関係者は、「朱鎔基は多くの人が彼に期待を寄せ、適切なタイミングで発言することを期待していることを承知している」と述べている。

しかし、中国共産党の長老たちは、習近平時代になっても糸を引いているのだろうか? 1989年の「八仙」はもういない。当時、鄧小平の後継者である趙紫陽が既に中国共産党総書記になっており、趙が粛清されるまでは、この8人に鄧小平が含まれていた。鄧小平は1997年に死去した。彼らのあだ名は、中国の伝説に登場する超能力を持つ8人の道教の人物を連想させしばらくは定着していた。しかし、習近平政権は、この「8仙」を、党を引退してまだ生きている8人の幹部と呼ぶようになった。現在、習近平が徹底的に政敵を無力化したおかげで、習近平と同世代の潜在的な挑戦者のほとんどは、協力するか、臆病になるか、黙り込むか、牢獄に入れられるかしている。

この事実は、今年105歳になる党の長老である宋平がニューズに出てから、最近飛び交い始めた荒唐無稽な噂の説明に役立つ。9月、宋は慈善基金で演説する姿をビデオに収め、「改革開放(reform and opening up)」について曖昧なことを述べたという。中国のソーシャルメディアは別次元の盛り上がりに突入した。クーデターの噂も流れた。インターネット検閲は、宋の発言に関する報道をサイバースペースから削除しようと躍起になった。宋が発した言葉は、まったく無害なもの、あるいは習近平自身が過去に使ったものであったのならば、気にすることはないはずだ。

宋平は、リスクを冒すような行動派とは見なされていない。彼は保守的と見られており、1989年の八仙には選ばれなかった。なぜなら、彼は当時、党の重要な中央組織部部長という重要な職に就いていたからだ。天安門事件に共鳴した中国共産党員を除名することを発表したのも彼だった。

しかし、宋平の突然の再登場に注目する理由は1つある。宋は三代にわたる政治家であり、健康状態も良好で、20人ほどの党の要である政治局常務委員会の元メンバーの中で最も影響力のある人物である。しかも、中国政治における「中国共産主義青年団派(tuanpai、Youth League faction)」に属する人物だ。中国共産主義青年団は14歳から28歳までの若者の育成を目的とする(10歳代は「少年先鋒(Young Pioneers)」と呼ばれ、赤いハンカチをつけているのがよく見られる)。青年団は、中国の貧しい内陸部の開発を促進し、所得格差に対処しようとすることが多い。上海閥の本拠地である豊かで華やかな東海岸と対照的である。宋は、辺鄙で荒れた甘粛省で出世し、青年団の有力者である胡錦涛国家主席(宋が鄧に推薦したことでトップへの道筋に乗った可能性がある)と温家宝元首相を指導していた。

習近平時代に共青団派は繁栄していない。首相である李克強共青団出身と見られているが、習近平が執拗に権力を蓄積し、習近平を頂点とする指導層を確立したため、李の地位と影響力は低下した。習は「万物の主席(chairman of everything)」と呼ばれるようになった。共産主義青年団は官僚的な影響力を失い、主要人物は降格や粛清されている。習近平共青団幹部を「官僚的でステレオタイプな話ばかりしている」と批判したこともある。李の権限は切り捨てられただけでなく、党の長老と気軽に会うことさえ禁じられたという根拠のない報道もある。

「引退した指導部出身の長老は、習近平を除く最高幹部たちと交際してはいけないことになっている。これは何年も前からそうだった」と、多くの政府高官を知る中国のある情報源は言う。このような背景から、宋平の再登場は、彼の発言ではなく、彼が姿を見せたという事実が、党の共産主義青年団支持者たちが、来るべき人事異動の際に、彼らの候補者をもっと昇進させるよう水面下で働きかけているとの憶測を呼んだのだ。党大会期間中に人事異動が行われる予定だが、政権交代は来年3月の全国人民代表大会(National People’s Congress)で承認される予定だ。

多くのことが危うい。政治局常務委員7名のうち少なくとも2名(習近平を除く)が引退し、政治局委員25名の半数近くが引退すると予想される(現在の年齢基準がそのまま適用されると仮定した場合)。また、中国の最も高位の外交官2名も引退する予定である。そして、李克強は首相を退任する予定であり、その後任が誰になるかが注目される。

習近平は中国政治を未知の領域へと導いている。鄧小平以降の政治に一定の予測可能性をもたらしてきた、任期制限(term limits)やその他の規範を投げ捨てたことで、多くの敵を作ってしまった。逆説的ではあるが、後継者選びを難しくしているのも事実である。ブランシェットとメディロスは、習近平が「明確で信頼できる後継者(clear and credible successor)を指名し、明確で信頼できる権力移譲のスケジュール(clear and credible timeline for the transfer of power)を確立するまで、「後継者に関する不安(succession uncertainty)」の時期が終わらないと予測している。

それは簡単なことではないだろう。シドニーに拠点を置くローウィー研究所のアナリストで、中国共産党の内部構造を解説した『中国共産党:支配者たちの秘密の世界(The Party: The Secret World of China's Communist Rulers)』の著者であるリチャード・マクレガーは次のように述べている。「最も危険なものの1つは、習近平が指名した後継者だ。人々は習近平を攻撃することはできないが、習近平が後継者として推す人物に対しては列をなして攻撃することができる」。

昔なら、中国の最高指導者は党の長老たちに頼み込んで、このような政治的な駆け引きや派閥争いを乗り切った。しかし、現在では、習近平を支持するよりも、習近平を疎ましく思ったり、習近平に怒りを感じたりする人の方が多い。一方、新たに引退する幹部たちが出ることで、新たな党長老を生み出すことになる。古い「仙人」たちのような革命的な資格を欠いていたとしても、新しい長老たちは後輩たちよりも政治に精通し、反撃のエネルギーを持っている可能性がある。中国のことわざには「熟成した生姜はより辛い」というものがある。在任中、解雇や粛清を恐れて、現在の政策を批判するのを思いとどまった人たちもいただろう。引退によって、失うものは何もないと納得する人もいるかもしれない。

※メリンダ・リウ:北京を拠点とする外交政策コメンテイター。『ニューズウィーク』誌北京支局長、共著に『北京の春(Beijing Spring)』がある。


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(終わり)