「税」で「乱」が起こる2024年
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今年1年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、「税」の文字が選ばれた。
「今年の漢字」は京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が、一年の世相を表す漢字一文字を一般から募集し、最も多かった字を選定するもの。
今年は14万7878票のなかで最多の5976票を集めた「税」の文字が選ばれた。
「今年の漢字」は「日本漢字能力検定協会」が1995年に始めた。
これまでに最も多く選ばれたのは「金」の4回。
いずれもオリンピック開催年に選出されている。
「税」が選ばれたのは2014年に次いで2回目。
2014年は消費税率が5%から8%に引き上げられた年。
2023年に消費税増税は行われていないが、2022年末に岸田首相が大型増税の方針を掲げ、また、10月にはインボイス制度が発足した。
日本経済は長期低迷を続けている。
労働者の実質賃金は1996年以来、減少し続けている。
労働者一人当たりの実質賃金指数は1996年から2022年までの26年間に14.4%も減少した。
内閣府の2022年度版「年次経済財政報告」資料によれば、全世帯の所得分布における中央値は1994年が505万円だったが、2019年には374万円になった。
25年間で世帯所得の中央値が131万円も減った。
このなかで何が行われてきたか。
「税」の変化の核心は「消費税」である。
消費税は1989年度に導入された。
当初の税率は3%だった。
この3%税率が1997年に5%に、2014年に8%に、2019年に10%に引き上げられた。
消費税の最大特徴は逆進性。
消費税は、所得の少ない人ほど過酷な税、所得の多い人ほど負担感の少ない税である。
消費税大増税の裏側で実施されたのは何であったか。
所得税負担と法人税負担の軽減だ。
1989年度から2023年度までの35年間に消費税で約510兆円のお金が吸い上げられた。
その同じ期間に、法人の税負担は約320兆円、個人の所得税・住民税負担は約290兆円軽減された。
税負担軽減の恩恵を受けた中核は大企業と高額所得者である。
消費税がなぜ悪魔の税制と呼ばれるか。
消費税は所得の少ない者に情け容赦のかけらもない税制なのだ。
消費税の税率は所得の少ない人と超富裕層で差がない。
まったく同じ税率なのだ。
所得の多い人は所得の一部しか使わない。
所得の少ない人は所得のすべてを使う。
所得に対する消費税の負担率に激烈な差が生じる。
年収10億円の人が年に1億円消費する場合、収入に対する消費税負担率は1%。
年収200万円の人が年に200万円消費する場合、収入に対する消費税負担率は10%になる。
所得税の場合は、収入が少ない人は税負担額がゼロになる。
例えば夫婦子二人で片働き世帯の場合、子の年齢等の条件にもよるが、年収350万円程度までは所得税負担がゼロになる。
財政の最重要の機能は所得再分配。
経済力の大きい人に大きな負担をしてもらい、経済力の弱い人の所得環境を支える。
ところが、消費税は真逆の効果を持つ。
富裕層には限りなく優しく、所得の少ない層には限りなく厳しい。
日本経済は30年にわたる長期停滞を続けているが、超富裕層だけは増加している。
世界のなかでも超富裕層の比率は日本が一位との検証結果もある。
資本主義が暴走して禁断の領域に足を踏み入れている。
そのひとつが「逆所得再分配」である。
12月14日に内閣改造断行か
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検察が捜査を進める自民党政治資金不正事件。
不正に関与した議員は安倍派に集中している。
政治資金収支報告書に記載されていない政治資金が裏金として使用されていたと見られる。
収支報告書に記載されないカネは議員個人が受領したと見られる。
「横領」の疑いがあり、派閥は政治資金規正法第21条の2に違反して政治家個人に寄附をした疑いがある。
資金を受領した議員は税金を免れていたと見られ、所得税法にも違反する可能性が高い。
安倍派の幹部が軒並み捜査の対象とされている。
リクルート事件並みの巨大事件に発展する可能性が高い。
焦点は検察の姿勢。
厳正に捜査を行うのか、手心を加えて小さな事案として処理してしまうのか。
日本の主権者は監視を強めねばならない。
安倍派幹部が軒並み捜査線上に浮かんでいる。
この事態を踏まえて岸田首相が内閣改造・自民党人事に踏み切る構えを示す。
北海道新聞は12月11日、
「岸田文雄首相は11日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題を受け、14日にも事実上の内閣改造・党役員人事に踏み切る方針を固めた。」
と伝えた。
他方、NHKは、12月11日10時08分配信のニュースで、岸田首相が人事について、
「適切なタイミングで適切に対応を考えたい」
と述べたと伝えている。
北海道新聞記事は、
「派閥からパーティー収入の裏金を受け取った疑いが浮上した松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、高木毅国対委員長らを事実上更迭する」
「安倍派の全議員を政府・党の要職から外す案も浮上している」
と報じている。
1000万円単位の政治資金不正。
厳正に摘発される必要がある。
日本の労働者は長期にわたり実質賃金の減少に苦しめられてきた。
2022年の国税庁民間給与実態調査では1年を通じて勤務した給与所得者の52.1%が年収400万円以下、20.5%が年収200万円以下であることを示す。
給与生活者の半分以上が年収400万円以下。
汗水流して働いて、1年間で得られる給与所得が400万円に届かない。
問題とされている国会議員はパーティー券販売金額のキックバックを受けて、収支報告書にも記載しない裏金だけで1000万円以上の資金を懐に入れていたと見られている。
国民が怒り心頭に発するのは当然。
捜査当局は法律を厳正に適用して違法議員、不正議員を適正に摘発するべきである。
ここまで問題が明らかにされながら、国会議員が無罪放免されることは許されないだろう。
事件を背景に岸田首相が内閣改造・自民党人事を断行するとの報道がなされているが、大きな疑問符がつく。
岸田首相は本年10月に内閣改造を実行したばかり。
多数の安倍派幹部(統一教会議員)を要職に起用している。
わずか3ヵ月で内閣改造を実施するということは、岸田首相の人事に問題があったことを明らかにする意味を持つ。
岸田首相は「適材適所」と強調したが、現実は「不適材不適所」であったことになる。
内閣崩壊は任命権者の責任である。
「内閣改造」ではなく「内閣総辞職」が求められる。
「政治とカネ」の巨大不正は国民の政治不信の根本的要因。
自民党の巨大な政治資金不正が表面化して責任を明らかにするというなら、岸田首相が内閣総辞職で責任を明らかにするのが筋である。
「安倍派の問題」だとして自分には関わりのないこととするのは通用しない。
岸田氏が自民党総裁(最終決裁権を持つ代表職)であり自民党の政治資金不正問題の最終責任者であるからだ。