日本の新聞はまったく報道していませんが、アメリカ国内は格差が拡大して、ひどい状態が続いているのです。
アメリカから帰ってきた人に
「日本は、郵政民営化で350兆円をアメリカのための使おうとしています。
アメリカが10年間以上これを要求し続けて、ようやく実現したのです。
そして次にアメリカが要求しているのは医療です。
日本の医療をアメリカ的医療に変えろという要求です」
と話しました。
アメリカでは、金がなければ医者に行けないのです。
17~18%の人たちは、貧しさのために健康保険証ももてないので、救急車でしか病院に入れないのです。
それらの人々は死ぬか生きるかの状態になって初めて病院で診てもらうことができるのです。
このため、帰ってはこられない人がたくさんいるといいます。
けがをした人も、手当てが遅れて腕や足がなくなってしまうことも多いそうです。
ロサンゼルスの街で目立つのは、戦後の日本でアコーディオンを弾いていた白衣の傷病兵のような人びとだそうです。
それに対する不満も相当高じているそうです。
中間選挙ではイラク政策だけではなく、共和党の市場主義も否定されたのです。
市場主義は、結局強い者が勝ち、弱い者が犠牲になる弱肉強食の世界です。
アメリカでもそういう状況に、みんなが耐えられなくなっているのです。
いま、イギリスは転向を始めています。
ブレアはすでにレーム・ダックです。
若いキャメロン保守党党首は、党首選挙で
「思いやりのある中道政治。アメリカに従属しない政治」と主張したそうです。
それで、党首選に勝ったのです。
本来これは、労働党が主張しなければいけない政策ですし、「思いやりのない自由主義」に対抗するスローガンです。
キャメロンは党首選挙に勝ち、保守党が、昔の労働党のような政策を主張しているのです。
このキャメロンはいま40%くらいの支持率だそうです。
つい先日まで「自由主義」「市場経済」とグローバル・スタンダードを唱えていた『フィナンシャルタイムズ』や『エコノミスト』などは、ここ半年くらいの間に転向し、政府が経済過程に関与して、貧しい人たちを救済する福祉政策をとるという修正資本主義・社会民主主義の立場を主張するようになっています。
福祉を行うヨーロッパか、福祉を切り捨てるアングロ・サクソンかという対立軸を比較して、福祉を行う政府のほうが犯罪は少なく、皆が将来に対して明るい希望をもって生きられるのでヨーロッパ型の方が望ましいという論調に変わってきているのです。
アメリカでも1年後にはブッシュ政権が終わり、かなり高い確率で民主党政権に移行すると思います。
民主党政権は、福祉の拡充に努め、弱者の救済に取り組むでしょう。
ヨーロッパも、社会民主主義復活の方向に動いており、フランスでも社会党政権ができる可能性が高まってきています。
いまこの流れから外れているのが、日本とオーストラリアです。
日本は、石原慎太郎と安倍晋三で共和党路線をとっており、まさに世界から立ち遅れてしまっているのです。
残念なことですが、東京都民は石原というとんでもない人物を英雄にしてしまいました。
東京都民のもつ石原幻想をどのように打ち破っていくか、いま、真剣に考えなければならない。
いまの東京を地方から見れば、「自分のところさえよければよい」という生き方をしています。
東京だけが栄え、地方は沈んでいます。
少ないパイを奪い合う陳情政治は激化しています。
年末、予算編成期に役所や自民党本部や議員会館に行くと、自治体の首長や助役などの幹部でいっぱいです。
地方からきてホテル代に1万円を払えば、200円はホテル税として東京都に入ります。
陳情政治によって、東京都にだけ金がどんどん集まってくるのです。
最近の統計を見ても、東京都があらゆる面で経済指標がよく、2位、3位との差が大きく開きいています。
もちろん東京都でも、例えば足立区のように教科書の補助を受けている家庭が40%もいるという二重構造もありますが、内閣府の調査を見ますと、東京都民の場合「よくなった家庭」が1~2%の差で「悪くなった家庭」よりも多く、ほとんどが「悪くなっている」地方とは違っています。
その調査が正確だとすれば、半数以上の東京都民が現状に満足しているわけですから、都知事は石原のような人間でもよいということになりかねないのです。
いかに東京都民の意識を変えるかが課題です。
石原のようなブッシュ型の人物をまたも都知事に選ぶようなら、東京は全国民を失望させるでしょう。
都政を私物化するような人物に都知事をつづけさせてはいけないのです。
石原を倒して勝てる候補者を出さなければなりません。
4月8日は、大きな勝負になるのです。