きなこのブログ

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日米地位協定 と 日米原子力協定

「1366」書評:前泊博盛・編著『本当は憲法より大切な 日米地位協定入門』(創元社)を読む。ジャパン・ハンドラーズと外務官僚が威張れるのも日米安保地位協定があるからだ。
 
安倍晋三政権が、TPPの交渉参加に向けて暴走している。
 
TPP(環太平洋戦略連携協定)とは、英語でTrans Pacific Strategic Partnershipと言う。
 
しかし、場合によっては、Trans Pacific Partnership Agreement(TPPA)とも表記するものもある。
 
ここで重要なのは、TPPがアグリーメントという条約一歩手前の協定というものであることだ。
 
実は、日米関係だけではないが、日本の国内政治は、そのような各種のアグリーメントによって制約を受けている。
 
日本国憲法においては、98条第2項に
 
「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」
 
と書いてある。
 
国内法よりも上位概念が条約や国際法規ということを憲法で規定している。
 
だから、憲法以外の国内法は条約などの下に存在する。
 
日本国が締結した条約に違反する法律というものは存在しないという解釈になっているようだ。
 
だから、日本がTPPに参加するかどうかということは重大な問題になる。
 
TPPにはISDS(投資家―国家紛争裁定手続き)という条項がある。
 
アメリカは韓国とFTAを近年結び、これは両国の国会で昨年に批准されて発効しているが、この中では米国法は、米韓FTAの取り決めに優先するが、韓国国内法は米韓FTAに拘束されるという不平等条項が存在している。
 
日本では憲法98条があるので、FTAに「特別の定め」を規定しても、TPPや各種FTAに対して日本国内法が優先するかどうかは疑わしい。
 
仮に条約の一種であるTPPを国会が批准すれば、米国法はTPPに束縛を受けないが、他の参加国の国内法はTPPに束縛されるという実態が生まれないという保障はない。
 
だから、国内法で議論できるはずの農業の自由化(関税の撤廃や縮小はTPPでなくともできる)とか、規制緩和というものを国際条約であるTPPに結びつけることに本来何の合理性もない。
 
あるのはTPPによって利益を得る米国を中心とする多国籍企業の合理的選択である。
 
TPPと同様に日本の国家戦略である外交安全保障とエネルギー政策の選択肢を狭めているのが、日米安保条約に基づく日米地位協定や、米原子力協定である。
 
この二つの協定は外交安保・エネルギー政策を考える上で極めて重要なものである。
 
ともに外務省が所管しており、地位協定は条約局(現・国際法局)日米安全保障課と、外務省・国際原子力協力室が窓口になって、米国側のカウンターパートと交渉することになっている。
 
米原子力協定についてはいずれ他の本の書評をする際に触れたいが、要するにこの協定が現在の形になっているために、日本は使用済み核燃料の再処理をしなければ、アメリカから睨まれるという事になっているのである。
 
だから、日本国内でいかに原子力政策を議論しようとしても、この協定があるために、何も変わらないのだ。
 
同じように、日米地位協定というものが、日米の不平等の根底にある。
 
日本はアメリカの属国であるということを具体的に規定しているのが、日米安全保障条約に基づく、この日米地位協定なのだ。
 
この地位協定は、英語では、U.S. - Japan Status of Forces Agreement、SOFAと表記する。
 
正式名称は、
 
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」
 
となっている。
 
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日米地位協定 入門】 天木直人・前泊博盛の対談 2013/3/5 【1:18:36】
http://www.youtube.com/watch?v=krV62aIe1_M