この世に金の生る木はないものか…
と思ったら、あった
社会福祉法人の売買横行 理事長私物化、数億円で取引も
本来は福祉のための「非営利団体」で、個人が売買してはいけない。
「3億円で理事長ポストを買わないか。何回かに分けて現金で払えばいい」
障害者施設などを運営する社福だ。
「もう年だし、やめるつもりだ」という理事長は、数億円にのぼる朝日の里などの預金通帳を見せてこう言ったという。
「理事長に就いたら自由に使える」
「理事を身内にすれば、理事長を引き継ぐという形で決められる。現金でもらえば売買は表に出ない」
この話は折り合わなかった。
すると売却話は仲介者を通じて形を変え、東京都内の税理士と始まった。
「朝日の里への参入及び継承プロジェクト」。
そう記す資料には3段階の売却シナリオが描かれている。
(1)税理士が理事長側の希望する土地を所有する
(2)税理士は4千万円を払い、(理事長側は)法人の理事1人、評議員2人の職を提供する
(3)税理士が最後に1億円を払い、(理事長側は)理事長と理事2人、評議員1人の職を提供する。
税理士は11年8月に理事になり、前後して6千万円が渡った。
だが、その後の約束は実行されず、理事長になれないまま。
そこで今度は税理士が金を回収しようと、社福の売却話を持ちかけて回っている。
当時の理事長はこう話す。
「みんな同じ穴のむじな。いずれは売却したいという話を聞きつけ、金の臭いを嗅ぎ取った連中が群がってきた。自分は『3億円』とは言っていない」
理事長ポストを利用した社福売買は広がっている。
インターネットでは、社福の運営権の取得方法を紹介するホームページもある。
関東地方の行政書士は売買に十数回立ち会った。
今年、首都圏の社福が数億円で売られた際には買い手の代理人として現金を渡し、引きかえに理事全員から辞任届を受け取った。
仲介料は売買価格の5%だ。
「社福は介護報酬などの収入があり、財産がたまる。施設建設には補助金が出て、税金もかからない。買い手は多い」
と言う。
(西井泰之、北川慧一)
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朝日新聞社
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朝日新聞社
<介護職>低い賃金で疲弊 相次ぐ離職「仕事夢ない」
毎日新聞 4月27日(日)8時38分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140427-00000006-mai-soci
毎日新聞 4月27日(日)8時38分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140427-00000006-mai-soci
過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職。
政府も手は打ってきたものの、依然、他業種との格差は埋まらない。
人材確保には、賃金アップか外国人の活用か--。
ここへきて国の姿勢も揺れている。
【遠藤拓、佐藤丈一、中島和哉】
常夜灯がぼんやり照らす廊下を、おむつやタオル、ごみ箱を積んだ台車が行き来する。
11日深夜。
1フロアには約40人が入居する。
大半は80~90歳代で7割は認知症だ。
同僚と2人、一晩で4回は巡回し、おむつを替え、トイレを介助し、体位を変える。
消灯後も徘徊(はいかい)する人はいるし、繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。
ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけ。
「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」。
そう気遣う女性入居者に、宮崎さんは「気にしなくていいんですよ」とほほ笑んだ。
月4~5回の夜勤日は、午後5時前から翌朝10時前までの勤務。
しかし、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ、朝食にありつけたのは昼近くになっていた。
◇平均を9万円下回る
正規職で介護福祉士の資格を持つ宮崎さんの月給は、手取りで約18万円。
15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じる。
とはいえ、介護労働者の賃金は他業種に比べて低い。
全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。
厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。
長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。
職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。
介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17.0%(2011~12年)で、全産業平均(14.8%)を上回る。
求職者1人に働き口がいくつあるかを示す2月の有効求人倍率は2.19倍。
全産業平均(1.05倍)の2倍だ。
「家族を養えないからな」。
この道7年目。
専門学校の同期80人のうち、続けているのは十数人。
自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となった。
が、同業の妻は初めて産んだ子の育休中。
共働きでなければ生活は成り立たず、保育所を確保できるかが不安でならない。
「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」
入居する母(83)の昼食介助に隣の石川県野々市市から訪れる主婦(64)は通ううちに介護職員の疲弊を知り、入居者の家族と職員の処遇改善を求める署名に取り組むようになった。
母親が入居したのは06年10月。
脳梗塞(こうそく)で半身不随となり、食事、排せつなどすべてに介護が必要だ。
感情が高ぶるとパジャマを歯で切り裂く。
そんな母をてきぱき世話してくれる職員たちも、入居当初からの顔なじみは3人に1人ほど。
慣れた頃にはいなくなるからだ。
この主婦は訴える。
「親の面倒を見るかのようにしてくれた職員が、どんどん辞めている。専門職にふさわしい給料が必要です」
介護報酬とは保険料と税金、利用者の自己負担(1割)を元に、介護施設に払われる公定料金。
今年末に報酬の引き上げを決め、来年度から介護職員の待遇改善を実現できるかどうかが焦点だ。
政府は09年度の介護報酬改定で「人材確保」を掲げ、00年度の制度創設以来、初めて報酬を引き上げた(3%増)。
介護職の賃金は月額平均で9000円増えたという。
また11年度までは施設経営者への交付金として税金4000億円を投入、12年度は再び介護報酬を使った。
計算上、一連の対策で押し上げられた賃金は3万円分。
ただし、介護報酬には人件費にどれだけ回すという決まりはなく、経営者に委ねられている。
関係者は「人件費率は7割近くで赤字になる。内部留保をため込む法人は人件費を削って介護の質を落としているのでは」と指摘し、報酬に常勤労働者の比率に応じて加算する仕組みを作れば解決するとみる。
介護現場での勤務経験を持つ白梅学園大の森山千賀子教授(介護福祉学)は
「介護を一生の仕事にできる環境整備には、一時的な交付金より介護報酬の方がいい。ただ、単純に上げるだけでは処遇改善につながるとは限らず、資格や研修の充実など介護の質の向上を促す加算の仕組みを整えるべきだ」
と話す。
高齢化に伴い、今後都市部を中心に75歳以上人口が急増する。
埼玉、神奈川両県では30年で倍増だ。
介護職員は全国に約150万人。
国は将来、約100万人不足するとみており、政府の産業競争力会議は外国人の積極活用を打ち出した。
厚労省は介護報酬で賃金を増やし、日本人中心に人手不足を解消していく考えだ。
保険料などが財源の介護報酬で賃金増を図れば、5000円を突破するのは確実だ。
負担が増すお年寄りや、保険料を折半する労使の理解を得られる保証はない。