きなこのブログ

大失業時代が到来しています。大失業の恐ろしさを歴史から学ばなければならない。『大失業は戦争への道につながっている』

レッセ・フェール(ユダヤ自由放任思想) 2

規制改革実施計画」はアメリカによる規制緩和の大空襲だ
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/

「街の弁護士日記」さんの2014年6月26日(火)付「規制改革実施計画249項目 対日要求の構造化」を読んで愕然とした。
 
事態はもうここまで進んでいるのかと。
 
「日経テクノロジーonline」を見ると、6月24日、政府は規制改革会議で「規制改革実施計画」閣議決定したと言う。
 
同日、経済財政諮問会議による「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)、及び産業競争力会議の「日本再興戦略改訂2014」(成長戦略)が閣議決定されている。
 
この日は、故意経済財政諮問会議産業競争力会議、そして規制改革会議の三つのイベントが抱き合わせにされている。
 
これは2013年4月17日の産業競争力会議で、竹中平蔵たち構造改革派が目立たないように国家戦略特区を始動したこととそっくりである。
 
つまり「規制改革実施計画」こそが本命中の本命なのだが、政府はこれを目立たせないために、他の二つのイベントと組み合わせたのである。
 
この場合、産業競争力会議経済財政諮問会議骨太の方針や成長戦略のイベントはどうでもよいというわけではないが、規制改革会議が戦後の日本経済史では最悪の閣議決定が為されたと断言してもよい。
 
ある程度は予想はしていたが、規制改革会議がこれほど露骨な暴挙に打って出てくるとはさすがに思いもよらなかった。
 
それが「規制改革実施計画249項目」閣議決定である。
 
ついにわが国は、国家戦略特区に続いて、米国による対日規制緩和要求の圧力に完全に屈する政策に踏み切った。
 
「街の弁護士日記」さんによれば、内閣府の規制改革会議のページに「規制改革実施計画」のpdf(3つ)がアップされていて、それぞれの分野の規制緩和メニューが羅列されている。
 
目を通して見たが、あまりの分量にめまいがして到底全体を渉猟することはできない。
 
確かに、この全貌を理解して把握した人は誰一人としていないだろう。
 
「街の弁護士日記」さんから拝借すると、分野別の規制緩和の件数は以下である。
 
健康・医療分野    63項目
雇用分野        6項目
創業・IT等分野  100項目
農業分野       20項目
貿易・投資分野    60項目
 
経済再生、骨太の方針、財政健全化などという謳い文句に隠れて、暴走安倍政権はUSTRやCSISの最大の対日要求を漏れなく実現させようとしているのだ。
 
これはB29の東京大空襲に匹敵する国民経済の大破壊をもたらす。
 
規制改革実施計画で目論まれている249項目の規制撤廃規制緩和はもはや経済政策ではなく、日本解体の構造化といってもいいくらい壊滅的なインパクトがある。
 
1989年から1990年にかけて数次にわたって行われた日米構造協議(Structural Impediments Initiative)で、日本が要求された規制緩和の最終的なメニューの実現と言っていい。
 
たとえばこのpdfにある「Ⅲ 規制所管府省の主体的な規制改革への取組」「1 具体的なシステムの考え方」→(1)見直し基準→「②見直しの視点」にはこう書かれている。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

見直しの視点については、「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」(平成21年3月31日閣議決定)及び過去の累次の閣議決定を踏まえ、次のとおりとする。

ⅰ 経済的規制は原則廃止、社会的規制は必要最小限との原則の下での規制の抜本的見直し
ⅱ 許可制から届出制への移行等、より緩やかな規制への移行
ⅲ 検査の民間移行等規制方法の合理化
ⅳ 規制内容・手続について国際的整合化の推進
ⅴ 規制内容の明確化・簡素化、許認可等の審査における審査基準の明確化、申請書類等の簡素化
(他は略)

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

なんと、経済的規制は原則廃止、社会的規制は必要最小限との原則の下で規制の抜本的な見直しをすると言っている。
 
これを翻訳すれば、企業経済が国民経済に完全にとって替わるという意味になる。
 
ほとんどの国民は規制悪玉論を信じ込まされているから、この事態が日本解体であることを全く実感できずにいる。
 
ジャーナリスト・佐々木実氏の著書『市場と権力』(講談社)によれば、この米構造協議の時点で、アメリカは「貯蓄と投資」「土地利用」「流通システム」「排他的慣行」「系列取引」「価格メカニズム」など、200項目を超える多岐にわたる規制緩和要求がリストに載せられていたという。
 
だから、すでに25年も前に今の国家戦略特区や規制改革会議で出されている規制緩和要求がすでに存在していたということになる。
 
四半世紀に及ぶこの期間、日本はのらりくらりとこれらの強い要求に対し可能な限り抵抗したが、橋本政権辺りからかなり折れていて、小泉政権では完全に向こう側に屈している。
 
安倍政権に至っては、その総仕上げ状態に入っている。
 
めくらましのために国民は全く気付いていないが、今回安倍政権が何食わぬ顔で打ち出した「規制改革実施計画」は、日米構造協議、日米包括経済協議、年次改革要望書、日米経済調和対話など、米国による一連の対日規制緩和要求の総仕上げである。
 
これはグローバル企業群の都合のよい体制に日本国家を作り替えるものであり、従来の国民をガードしていた重要な規制群は根こそぎ無化されるのだ。
 
重要なことは、今回6月24日にひっそりと行われた「規制改革実施計画」の閣議決定はTPPで言うところの“非関税障壁”の突破政策になるということだ。
 
ここで行われる規制緩和群は、外国から見たら経済防衛壁(障壁)のハードルを下げる、あるいは取り崩すことであり、欲しいままの経済侵略を可能にしてしまう。
 
ヘビに狙われた鳥の巣の卵であり、何の抵抗力もないままに呑みこまれてしまうのだ。
 
安倍政権は選挙公約でこのTPP非関税領域のガードを公約しながら、それを完全に反故にした状態で政権を運営しているが、それこそが売国安倍政権のレゾンデートルとなっている。
 
つまり今回の「規制改革実施計画」で、国民や日本社会を守っている非関税領域をグローバル資本にほぼ明け渡すことが最大の任務だったことが分かる。
 
国民不在の企業主権国家、つまり内田樹氏の言う『国家の企業化』が、この問題の本質なのである。
 
究極的な規制撤廃規制緩和とは理想的なレッセ・フェール(自由放任)なのであり、換言すればこれは国家解体なのである。
 
その意味で、安倍母総政権が行う249項目の「規制改革実施計画」とは東京大空襲ならぬ国民経済への大空襲と言えるだろう。
 
 
 
 
6月24日、政府は規制改革実施計画を閣議決定した。

内閣府の規制改革会議のページに「規制改革実施計画」がアップされている。

「規制改革実施計画」(平成26年6月24日 閣議決定

(その1)(PDF形式:764KB)、(その2)(PDF形式:971KB)、 (その3)(PDF形式:864KB)
一覧を眺めるだけで、げんなりする。

249項目に及ぶ。

分野別の件数は以下のとおりだ。
 
健康・医療分野   63項目
雇用分野        6項目
創業・IT等分野  100項目
農業分野       20項目
貿易・投資分野   60項目

混合診療の拡大や、農協解体が目論まれているのはいうまでもない。

雇用分野では、国家戦略特区でブラック特区として批判を浴びた、解雇制限法理の廃止が執拗に追及されている。
 

労使双方が納得する雇用終了の在り方
 
諸外国の関係制度・運用の状況に関する調査研究を行うなど、
 
労働契約関係の継続以外の方法を含め
 
労使双方の利益に適った紛争解決を可能とするシステムの在り方について検討を進める。
 
 
こんな項目がずらりと並ぶ。

あまりに多岐にわたるため、目を通すことすら不可能だ。

その全貌を理解している人は、一人もいないと言ってもよいだろう。
 
議論もされぬまま、この国の暮らしの仕組みを支えてきた規制は、次々と撤廃されていく。

改革事項を眺めていると、ふとデジャブ感を抱く。

これは米国の対日年次改革要望書非関税障壁報告書の国内版ではないか。
 
昨年4月、日本はUSTRにTPP交渉参加を認められ、TPP交渉継続中、日米二国間で並行協議を行うものとされた。

今や、非関税障壁の撤廃は、交渉によって行われている訳ではない。

すでに、上陸され、作業は、国内で進められている。

規制改革実施計画は対日改革要求を、いっそうきめ細かく日本国内において実施しようとするものだ。
 
TPP交渉参加によって、グローバル企業のための国家の作り替えは日本国内に構造化されて進めらる。
 
景気回復経済成長という言葉に惑わされたまま、この国はグローバル企業主権国家へと作り替えられていく。

今、私たちは、ショックドクトリンのまっただ中にいる。