【3084】ガザ戦争(イスラエル・ハマス戦争)について、遅れたが、書く。
https://snsi.jp/bbs/page-1/
10月7日に、イスラエルのガザ地区(Gaza strip ガザ・ストリップ 飛び地 の意味)で戦争が始まった。
ガザ地区から出撃したハマス Hamas という武装集団が、襲撃してイスラエル側で1700人の死者が出た。このあとイスラエル軍の反撃で、どうやら5000人ぐらいのパレスチナ人が死んだ。10月25日現在である。
この新らしい小さな戦争のことを、私は書かなければいけないとずっと思っていた。
もう3週間が過ぎた。
この新たな戦争のことは、皆、テレビやネットの報道などで知っているとおりである。
私に、特別の情報や知識はない。
まず私が言うべきことは、世界中の人々が、ウクライナ戦争に次いで再び中東(ミドル・イースト)で戦乱の火が上がったので、激しく動揺し、狼狽(うろた)えたことだ。
特に女と子どもたちが、「第3次世界大戦になるの?」と脅(おび)えた。
現地のガザ地区でイスラエルからのミサイル(ロケット砲)攻撃で負傷しているパレスチナの子どもたちの悲惨なニューズ映像を見て、日本人も驚いたようである。
私は世界中の民衆が、次の大きな戦争を予感して、恐怖することを軽く考えない。
民衆が受ける大きな受容感覚が、世界政治と歴史を作っていくからだ。
ここから下が、私、副島隆彦の考えである。
ハマスHamas というパレスチナ人(難民全体で900万人ぐらいが諸外国にも散らばって暮らしている。そのうちの)220万人もが、固まって居住するガザ地区を政治的、軍事的に制圧している集団である。
まずはっきり書くべきは、このハマスという組織は、パレスチナ人の民衆を代表する組織ではない。
私はハマスは、アメリカのCIAが、1987年から作った武装組織だと考えている。
だから今回のガザ地区戦争は、真実は、アメリカ政府が、仕組んで仕掛けたものである。
なぜか、をこれから説明する。
この10月7日にガザ地区から突如、非戦闘地帯(緩衝地帯。 DZE ディーミリタライゼイション・ゾーン))の、幅3キロぐらいの砂漠を踏み越えて行って、イスラエル人の居住地区に銃や手榴弾で突撃していった1万人ぐらいのハマスの戦闘員たちがいる。
どうやらそのうちの2000人ぐらいが、イスラエル側の郷土防衛隊によって自衛の反撃で殺されたようだ。
その時、200人ぐらいのイスラエルの一般住民を人質で取って退却した。
これは特攻隊(決死隊)のやり方である。
このハマスの兵士として死んだ、パレスチナ人の青年たちは、ハマスに焚き付けられて騙されて、血気盛んとなって、イスラエルへの激しい憎しみと復讐心で突撃して死んだのである。
どんな時代も、どこの国の戦争でも、騙されて最前線で死んでいく若者たちが存在する。
憐れなものだ。
だが、これが人類の戦争の歴史である。
はじめの報道で、3500発のロケット砲がガザ地区の北部を占領するハマスの秘密基地から発射されて、イスラエル側の居住地区に落ちて、無差別の死者がたくさん出た。
このガザから発射されたロケット弾の映像は、日本でもニューズ報道されて、私も見た。
ハマス側は、今も2万発のロケット弾を持っているという。
それらはどこから来たのか。
報道で流れたのは、「ウクライナに行ったはずの砲弾が、死の商人 (death merchant デス・マーチャント、兵器商人)たちによって、ハマスに売却され引き渡されたものだ」としている。
この裏側にアメリカ政府の動きがある。
今回のガザ戦争は、だから、深く仕組まれている。
だからこそ、この10月7日の突如の戦闘で、ほぼ大きな衝突は終わりであると私は最初から考えた。
なぜなら、この10月7日というのは、「第4次中東戦争(1973年10月7日)」のちょうど50周年にあたる日だ。
私はこの日のことを大学生だったが新聞で読んで覚えている。
中東戦争の歴史については、ここでは説明しないが、パレスチナ人の独立運動とイスラエル側の自衛戦争としての反アラブ諸国との激しいぶつかり合いの枠組みが、この1973年に決定した。
それから丁度、50年が経(た)った。
なぜ、今度のガザ戦争が起きたのか。
一番大きな理由と原因は、今年の3月10日に、中国(王毅=おうき=外相)が、仲介して仲裁者(ミィーディエイター)をして、なんと、イランとサウジアラビアという中東の2つの大国が和解の協議をして、国交を回復したことである。
イランとサウジアラビアは、長年、激しく対立し争ってきたのだが、急に仲直りをして、平和を中東にもたらすという動きに出た。
それを中国が後押ししたという事実は、世界歴史上の大きな動きである。
中東アラブの世界は、ほとんどがイスラム教徒だが、彼らが「もうイギリスとアメリカに騙されて、中東で新たな戦乱が起きることを望まない」と大きな決断をしたのだ。
イランは、イスラム教の中でもシーア派(シーアイト)という、やや差別されている宗派(セクト)の国である。
その隣のイラクは、このシーア派の方がやや多数派の国である。
イラク戦争(アメリカ軍が、2003年3月20日のバクダッド爆撃から16万人の兵力で侵略した。そしてサダム・フセインを捕まえて縛(しば)り首にした)でイラクは弱体化していて、今はイランの影響下にある。
それに対してサウジアラビアは、イスラム教の中の主流派で、正統派とされるスンニ派(スンナー。ハンバル法学者集団による教義中心のイスラム思想)である。
サウジアラビア国は、そのスンニ派の中のさらにワッハーブ派(ワッハービア)という矯激(きょうげき 言動などが並はずれて激しいこと。)なセクトである。
それでもイランとサウジが仲直りして、中東世界が団結したことは、ものすごく重要なことだ。
だから、これを叩き壊すために、ワルのアメリカが、動いて再び中東で戦乱を引き起こすことを計画した。
それが今度のガザ戦争だ。
大きくは中国による次の世界覇権(世界の安定を目指す)を邪魔して、妨害するための動きである。
ついこの間まで、イラク北部とシリアでの、IS(アイエス。イスラム国という暴れ者の集団)が戦争を仕掛けた。
あのISは、2014年の6月に、突如、7万人の兵力で、イラク北部に出現した。
トヨタの「ランドクルーザー」SUV(砂漠に強い。アメリカのテキサス州で製造。荷台に機関銃の銃座を据え付ける)の、2000台の堂々たる隊列を連ねて、出現した。
ヒラリーとジョン・マケインたちデープステイトが、育てた「狂ったイスラム聖戦主義者(ジハーディスト)たち」だ。
【アルカイダや、それがバージョンアップしたISISは、米タカ派やイスラエルが中東支配に好都合な「敵を演じてくれる勢力」として育て、こっそり支援し続けている】
ISの幹部たちバグダディ以下の青年たちは、イラク戦争(2003年から)で捕虜になったイラク人の若い兵士たちで、アメリカのサウジの北の砂漠にある、米軍の秘密の軍事基地(米空軍の大きな空港もある)で、米軍の特殊軍(スペシャル・フォーシズ。CIAと反共右翼軍人の結合体)に、洗脳され、訓練されて、ISとなって暴れ出したのだ。
中東を、再び火の海にした。
これに対して、アラブの民衆も指導者たちも、「もう戦争はイヤだ。アメリカが大きらいだ」と腹の底から思っている。
ガザ地区を軍事的に占拠しているハマスは、前述した通り、決してパレスチナ民衆の代表ではない。
今やシリアでもほとんど全滅した(北部のイドリブ県に少し残っている)、このIS「イスラム国」や、今のウクライナのゼレンスキー政権(アゾフ大隊。反ロシア反共右翼)と、全く同じ、英米によって作られて、操(あやつ)られている武装集団である。
そして、アメリカによって、捨て駒、使い捨て、にされる運命だ。
今度のガザ戦争は、このような複雑な仕組みになっているから、普通の人々で、ちょっと世界政治に興味のあるレベルの人間たちでも、なかなか中東の全体像を理解できない。
私、副島隆彦はハッキリ書くが、日本の新聞記者やテレビで世界政治評論をやっている学者たちレベルでも、私が今、書いていることを理解できない。
別に私は、私の考えに従えという気はない。
だが、これまで20年、副島隆彦の言論や知識、思想につきあってきた皆さんは、静かに私の話を受け入れるだろう。
(略)