狙っているのはヒズボラというグループ。
ヒズボラってどんなグループなのか、どうしてイスラエルはヒズボラを攻めているのか。
戦いが起きているのは、中東とよばれるところ。ヨーロッパから見て「中くらいに遠い東」という意味です。
(日本は「極めて遠い東」だから極東といいます。)この中東でずっと、争いが続いているのです。
第2次世界大戦のあと、ユダヤ人が中東に国を作りました。
それがイスラエルです。
ユダヤ人は、2000年以上前にはここに住んでいたのですが、国が滅びたので世界中に散らばり、いじめられてきました。
だから、ふるさとに自分たちの国を作りたかったのです。
でもここにはアラブ人もたくさん住んでいて、この土地のことをパレスチナと呼んでいました。
急にユダヤ人の国ができたので、アラブ人は怒り戦争になりました。
中東戦争です。
その結果、イスラエルはアラブの人が住んでいたところを占領し、土地を奪われたアラブの人は、ガザ地区とヨルダン川西岸地区という場所に住むようになりました。
土地を奪われたアラブの人はパレスチナ人と呼ばれるようになります。
パレスチナ人は、土地を返せといって、イスラエルに対し爆弾テロを起こし、イスラエルもパレスチナ人を攻撃する、ということがくり返されました。
先月もガザで大きな衝突が起きました。
ところが、今回イスラエルは国を出て、隣の国のレバノンを攻めたのです。
レバノンはアラブ人の国。
人口は460万人で岐阜県くらいの大きさです。
2つの国が戦争になったのかというと、そうではありません。
実はイスラエルが攻撃しているのは、ヒズボラという武器を持ったグループなのです。
ヒズボラとは、アラビア語で「神の党」という意味です。
1982年、イスラエルがレバノンの南部に攻めてきたとき、これに対抗するためにできました。
イスラム教のシーア派と呼ばれる人たちが作ったグループで、メンバーは数千人いると言われています。
いまのリーダーは、ナスララ師という人です。
「イスラエルは中東から出て行け」と言って、イスラエル軍に対して爆弾テロをくり返してきました。
でも、テロをくり返すだけではありません。
病院や学校をつくったり、貧しい人に食料を配ったりする活動もするので、レバノンの人に人気があります。
「神の党」というくらいですから、国会議員も14人いて、大臣も2人いるのです。
今回の戦いは今月12日、ヒズボラが、イスラエル軍の兵隊2人を拉致(らち)したことがきっかけでした。
イスラエルに捕まって刑務所にいる、大勢のアラブ人の仲間と、人質を交換しようというのです。
ヒズボラの本部や空港に爆弾を落としたり、ミサイルを撃ち込んだりして攻撃しました。
一般の市民やこども、それに外国からの旅行者も巻きぞえになり、レバノンでは合わせて300人以上が亡くなりました。
イスラエルに対しては、「やり過ぎではないか」という批判が強くなってきています。
一方、ヒズボラもロケット砲でイスラエルの北部を攻撃し、30人以上が死亡しています。
レバノンの政府は、イスラエルに対して「攻撃をやめて欲しい」というだけ。
イスラエルは強いので戦争は避けなければなりません。
一方、武器をたくさんもっていて、人気のあるヒズボラに対しても強くは言えないのです。
国の軍隊でもないのに、ヒズボラはどうしてイスラエルと戦えるのでしょう。実はヒズボラを応援している国があるからです。
それがイランとシリアなのです。
シリアはアラブ人の国、イランはペルシア人ですが、ヒズボラと同じイスラム教のシーア派を信じる人が多く、どちらもイスラエルとはずっと対立しています。
ヒズボラにお金や武器を渡したり、軍隊の訓練をしてあげたりして、イスラエルとの戦いに協力しているのです。
戦いがやむ目処は立っていません。
もし、イスラエルと、イランやシリアとの戦争にでもなったら大変なことになります。
国連の安全保障理事会でもこの問題が取り上げられ、国連から軍隊を出して、戦いをやめさせることなどが話し合われていますが、この後どうなるのか、世界中が心配してるのです