露軍が「国土防衛戦」に備えて兵器をウクライナとの国境近くへ移動させている
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9月の中旬にNATOが表面に出てきた。
たとえば9月13日にアンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長が「キエフ安全保障協定」の草案を発表、アメリカの統合参謀本部は「ウクライナ司令部」を創設するとしている。
アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが分析しているように、ウクライナを舞台とした戦闘はNATO軍とロシア軍との戦いという様相を強めている。
アメリカ/NATOは2014年2月のクーデターより前からネオ・ナチを軍事訓練していたが、クーデター後にもNATO加盟国で戦闘員を訓練してきた。
その一方で大量の兵器を供給、NATO各国の兵器が足りなくなっているとも言われている。
それだけジョー・バイデン政権は必死だということだ。
バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権はウクライナのクーデター体制をテコ入れするためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、
傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させたと伝えられた。
またCIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練しているという。
ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。
クーデター体制の中核はネオコン/ネオ・ナチで、この体制を嫌う軍人や治安機関のメンバーは少なくなかったと言われている。
オバマ政権としてもウクライナ軍を信頼しきれなかったようで、2014年3月には内務省に親衛隊を設置した。
その新たな戦闘部隊で中心的な役割を果たすようになるのは同年5月に創設されたアゾフ大隊(後にアゾフ特殊作戦分遣隊)だ。
親衛隊の戦闘員を集めるためにネオ・ナチのネットワークが使われ、ブラジル、クロアチア、スペイン、アメリカ、フランス、ギリシャ、イタリア、スロバキア、チェコ、スカンジナビア諸国、イギリス、そしてロシアから集めたと言われている。
ところで、アゾフ大隊の中核になったのはネオ・ナチの「右派セクター」。
そのドミトロ・ヤロシュは2007年からNATOの秘密部隊ネットワークに参加している。
その時にアメリカのNATO大使を務めていた人物がビクトリア・ヌランドだ。
この年の5月にウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議でヤロシュは議長を務め、2014年3月に発表した声明の中で、彼はチェチェンやシリアでロシアと戦ったサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)などイスラム系の武装集団への支援を表明した。
そして2021年11月、ヤロシュはウクライナ軍参謀長の顧問に就任した。
軍をネオ・ナチがコントロールする態勢ができたと言える。
アゾフ特殊作戦分遣隊はマリウポリを占領、活動の拠点にしたが、今年5月にロシア軍との戦いで敗北、この段階で親衛隊は事実上、崩壊した。
ウクライナ軍も壊滅状態で、ウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦に向けて話し合いを始める環境になっていた。
そうした流れを止めるため、4月9日にイギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフへ乗り込み、停戦交渉を止めている。
4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、「全ての裏切り者を処刑する」と語った。
そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。
ロシアとの戦争に反対する者は殺すと脅したわけだ。
4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。
ここでもペロシは戦火を拡大させるために動いている。
ジョンソン英首相は8月24日にもキエフを訪問、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと釘を刺す。
ロシアと戦い続けろと命じたわけだが、すでにウクライナの軍や親衛隊は戦争の継続が難しいほど大きなダメージを受けていた。
ウクライナへ兵器を供給しても戦闘員が足りない。
特殊部隊を送り込み、一般の戦闘員はウクライナの外で集めるだけでなく、情報の提供や指揮という形でNATOが戦闘に深く関与せざるをえない。
そうしたことが実際、起こっているわけだ。
そうした動きにロシア側も対応し、ウラジミル・プーチン大統領は部分的な動員を実施すると9月21日に発表。
9月23日から27日にかけて、ドンバス(ドネツクやルガンスク)、ヘルソン、ザポリージャではロシアと一体になることを問う住民投票が実施された。
賛成に投票した人は投票総数のうちドネツクで99%、ルガンスクで98%、ザポリージャで93%、ヘルソンで87%に達した。
この結果を受け、ロシア議会も併合を承認した。
今後、ドンバス、ヘルソン、ザポリージャをロシア政府は自国領として対応することになる。
それに対し、ウクライナ北東部のハリコフ州でゼレンスキー政権が送り込んだ戦闘部隊が支配地域を広げた。
その前にロシア軍が撤退、現地軍やチェチェン人部隊が守っていただけのようだが、そうした状況を利用しての攻撃だったかもしれない。
リマンからもロシア/ドンバス軍は撤退したようだが、その際、航空兵力からの攻撃を受けたと現地から報道されている。
アメリカ/NATOが提供した航空兵力が前線に届き、ロシアの防空システムは機能しなかったということになるだろう。
ウクライナの東部地域はステップ(大草原)のため、隠れることが困難だと考えられている。
ロシア軍はミサイルなどで攻撃していると言われているが、少なくともハリコフ周辺ではロシア軍が制空権を握っていると言えないようだ。
そうした中、9月26日と27日にロシアからEUへ天然ガスを運ぶために建設されたふたつのパイプライン、「ノード・ストリーム1(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」から天然ガスが流出していることが判明した。
爆破されたことは間違いないようだ。
ドイツが受けるダメージは計り知れない。
アメリカ/NATOはNATO加盟国で軍事訓練を実施してきた部隊を温存していたが、ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入されたと言われている。
今後、アメリカ/NATOが前面に出てくる可能性が高い。
バイデン政権は11月に行われる中間選挙の前に「ロシアを追い詰めている」という演出をしようと必死だろうが、ドンバス、ヘルソン、ザポリージャのロシアへの併合が決まった段階でロシア軍は新たな軍事作戦を始めると見られている。
そのためか、ロシア軍の西部軍管区の司令官が交代になり、ロシア国内ではウクライナとの国境近くへ大量の兵器が輸送されている。
10月には大きな動きがあるかもしれない。