きなこのブログ

大失業時代が到来しています。大失業の恐ろしさを歴史から学ばなければならない。『大失業は戦争への道につながっている』

「エシュロン」 情報収集システム

ヨーロッパなどでは既に問題となり議論の的になっている「エシュロン」。

アメリ国土安全保障省の対テロ対策として導入され電話、ファックス、インターネットなど、世界中のどの通信機にも侵入し、盗聴が容易に可能だと言われている。

1947年、第二次世界大戦後、来たる対ソビエト連邦時代に備え、アメリカとイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの5カ国で、ある秘密協定が結ばれた。

そのコードネームが「エシュロン」という。

各国の諜報機関の情報収集システムを統括することにより、アメリカは世界中の通信を盗聴することができるというもの。

このシステムは、電話やファクス、電子メールなど、世界の国際通信のほとんどすべてと各地の国内通信の一部を、そっくりシステムの中にいったん取り込み、その中からあらかじめ定められたキーワードを含む通信だけを検索して抽出し、情報機関の担当者の端末に表示する。

インターネット上にある全文検索システムを、何1000倍も高速にしたシステムともいえる。システム全体で、1日に30億本の電話や電子メールを処理する能力を持っている。

純化して例えると、「爆弾」とか「ビンラディン」といったキーワードを設定しておけば、イスラム原理主義テロリストの黒幕といわれるアラブ人富豪オサマ・ビンラディンの指示で、どこかのアメリカ大使館に爆弾を仕掛けようとしているテロリストの打ち合わせ電話をキャッチできる。
 
「ヘロイン」「マイアミ」というキーワードを入れておけば、コロンビアからマイアミに麻薬を運ぼうとしている組織の動きをつかめる、といった寸法だ。

このエシュロンの存在が明るみになり、問題化したのは今から7年も前ののことだった。

「日常で使う携帯電話もEメールも、郵便物でさえ、政府の管理下に置かれている。あなたはすでに覗き見られています。」『New York Times』誌上に、「ACLU(アメリカ市民自由連合)」によるエシュロンの存在を告発する意見広告が打たれ、2001年9月には欧州議会総会にて、ドイツやフランスを始めとしたEU諸国が「エシュロン調査委員会」を設置した。

だが、今でもアメリカ政府はエシュロンの存在を否定し、調査を拒み続けている。

エシュロンは当初、対ソ連との情報戦争に打ち勝つために作られたシステムだった。しかい、今では、ヨーロッパ、アジアなど全世界を監視することで、テロリストなど犯罪組織の情報収集とともに、ビジネスにおける産業スパイの役割を果たしている。

フランスのエアバス社が中近東、中東米諸国への航空機売り込み合戦で米国ボーイング社に負けたのも、ドイツの風力発電会社が米国企業に負けたのも、事前にエシュロンを使い入札金額を傍受していたからだ。

日本の精密情報が「盗聴」されアメリカ企業に敗北した事例として、インドネシアへの通信システム導入入札、中国の空港建設入札、モンゴルの飛行場現場入札、他にも開発途中の最先端技術なども流出したことがある。

このシステムは、アメリカが世界を監視下に置いているに他ならない。