きなこのブログ

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自民党改憲草案98、99条にある「緊急事態条項」 2

[Everyone says I love you !]フランスの非常事態宣言より100倍ヤバい、人権停止がエンドレスの自民党改憲草案「緊急事態条項」。
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=104268
 
とても重要な記事だと思います。
 
自民党改憲草案「緊急事態条項」の内容ですが、フランスにおいて継続中の非常事態宣言よりもずっと強いものだということで、その具体的な内容が示されています。
 
これを見ると、ほとんどナチスの“全権委任法”と同等のものではないかと思いましたが、調べてみると専門家も同様の見解http://article9.jp/wordpress/?p=6154 でした。
 
大手メディアは、この法案の危険性をきちんと報道すべきです。
 
元々存在価値のないメディアですが、今や政権の一部となって、政権と共に悪を成すという感じがします。
 
フランスの非常事態宣言より100倍ヤバい、人権停止がエンドレスの自民党改憲草案「緊急事態条項」。
転載元より抜粋) Everyone says I love you ! 16/1/4
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/d79fbe96cb6c8d15762dede4c3721522
 
喉元過ぎれば熱さ忘れる、と言いますが、日本ではめったに報道されることのなくなった2015年11月13日に発生し、130名もの尊い犠牲が生じたパリ同時多発テロ
 
この同時多発テロを受けて、オランド大統領により発令された非常事態宣言は法律の規定で12日間だけのはずのところ、11月20日に3か月の延長が決まり、現在、非常事態宣言は継続中です。
 

さらに、フランス政府は12月23日の閣議で、非常事態の発動要件緩和など大統領権限を強化する憲法改正案を国会に上程することを決めたのですが、その改正案に、テロに関与した二重国籍者からのフランス国籍剥奪、テロ容疑者らの移動制限強化などを盛り込む方針を決定しました。
 
これを受けて、ヴァルス首相は記者会見して
 
「テロの脅威はかつてなく高まっている」
 
と述べ、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いに全力を挙げる必要性を強調し、2016年2月3日に憲法改正案を国民議会(下院)に上程すると述べました。
 

実は、今発令されているフランスの非常事態宣言は、フランスの憲法に規定のあるものではなく、一法律によるものです。
 
フランスには、日本で議論されている緊急事態条項に類するものとして、
 
1 憲法上の戒厳令 秩序維持の権限が行政府から軍隊に移される
 
2 憲法上の非常措置大権 大統領に基本的人権を制限するなどの大権が与えられる
 
3 緊急状態法による非常事態宣言で警察権が強化される
 
の3つがあり、今回はこの3による措置が取られているのです。
 
ちなみに、日本の自民党憲法改正草案に規定しているのは2ですからね。
 
今から、フランスの3を見ていきますから、これが2になったらどれだけ恐ろしいか、よく想像してみてください。
 

フランス全土に非常事態宣言が出されてから一か月半。
 
テロのあったパリを中心に、美術館や図書館が閉鎖され、集会やデモの許可が取り消されました
(集会結社の自由の制限)。
 
住民には不急の外出を控えるように通達されています
(移動の自由の制限)。
 
警察権の強化により、内務大臣が「公の秩序と安全に対し危険な活動をしている人々」を自宅軟禁することができる権限を持ったため、テロからたった一週間で164人を自宅軟禁状態としました
(移動の自由の制限)
 
また、裁判所の令状なしに、昼夜問わずに家宅捜索したり、武器を押収したりすることも可能となるそうなのですが、ヴァルス首相によると、これまで令状なしに793件の家宅捜索がなされ、174件の武器押収がありました
(刑事手続きにおける適正手続きの修正)。
 
その後、一か月で、令状なしの家宅捜索の件数は3000件に及んでいます。
 
さらに、命令のあった場所・時間における人や車の交通が禁止されたり、安全地帯が設定されたりすることで、移動の自由が制限されています。また、コンサートホールなどの興業場、酒類の小売店閉鎖命令など、行動の自由も制限されているのです。
 

軍隊も警察活動に従事する。
 
これらのフランスの非常事態措置は法律に基づくものなので、これから憲法違反であるという裁判が起こされることも考えられ、だからこそフランスは憲法改正によって、これらの措置に憲法上の根拠を与え、違憲主張を封じようとしています
 
ところが、日本の緊急事態条項はいきなり憲法に規定を設けるので、それに基づいてあとから作る法律は、憲法上の根拠に基づくものということで憲法違反という主張を全くできないことになりかねません。
 
さらに、困ったことには、自民党憲法草案の規定では、緊急事態条項が発令できる場合が、戦争、災害、秩序の混乱、その他となっていて、総花的ですから、パリのような警察権の強化だけでなく、国民の財産権や表現の自由・知る権利・通信の自由の制限まで考えられます。
 
たとえば、
 
自衛隊が出動して勝手に庭が使われてしまうとか、食料などが徴収されるとか(財産権の制限)、
 
混乱防止のために携帯・スマホやネットの利用が制限されるとか(通信の自由の制限)、
 
報道が規制されるとかです(表現の自由、知る権利の制限)。
 
しかも、内閣総理大臣は国会が作る法律と同じ効力を持つ緊急政令を出せることになっているので、緊急事態前に法律がなくても、バンバン政令を発布して人権を制限することができます

そして、フランスの非常事態宣言よりもっともっと恐ろしいのは、日本の自民党の緊急事態条項がもっともっと恐ろしいのは、いつ終わるか期限がなくてエンドレスなところです。
 
フランスでは、12日間の期限を延長するために法改正をして3か月に期限を延長しているわけですが、これをさらに延長しようと思うとまた新法を制定しないといけません。
 
ところが、自民党改憲草案ではこうなっています。
 
第99条第4項
緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
 
期間制限は法律に委ねられていて、憲法上は白紙です(100日を超えるたびに国会承認が必要とだけ規定されている)。
 
おまけに、議員の任期を特例で延長を伸ばすことができて、さらに緊急事態宣言が出されていると衆議院は解散がない、つまり総選挙がないので、緊急事態宣言を承認した国会議員を選挙で落とすことができませんし、緊急事態にした内閣も変えられないのです。
 
これ、酷くないですか?
 
政府はやりたい放題ですよね。
 
これが日本の緊急事態条項が世界に誇る?恐怖の制度の実態です。
 
 
 
 

こんな危険な緊急事態条項が、野党の中でも国民の中でも、改憲の中で一番評判が良くて、安倍政権も突破口と見ているだなんて信じがたいです。
 
 
自民党が持ち出した国家緊急権はクーデターの準備とも見られているが、その前例は米の愛国者
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201601060001/
 
何らかの非常事態が起きた場合に権力を総理大臣に集中させる「国家緊急権」なるものが議論されているようだ。
 
自民党が公表した改憲草案に含まれているためらしい。
 
アメリカでは1950年代からそうした仕組みが具体的に導入されている。
 
その当時から同国の支配層が先制核攻撃を計画していたことは本ブログで何度も指摘してきた。
 
疲弊したソ連を「完全試合」で地上から消し去ることができると考えていたようだが、それでも核戦争になれば政府が壊滅する可能性もあり、そこでドワイト/アイゼンハワー政権は核戦争後に「秘密政府」を成立させることにした。
 
そうした流れの中で1979年にFEMA連邦緊急事態管理庁)が創設され、ロナルド・レーガン政権は82年にNSDD55を出してCOGプロジェクトを承認、NPO(国家計画局)が創設された。
 
このプランの底流には国家緊急権の考え方がある。
 
このプロジェクトは秘密裏に進められていたが、1987年7月に開かれた「イラン・コントラ事件」の公聴会で下院のジャック・ブルックス議員が取り上げられている。
 
証人として出席していたオリバー・ノース中佐に対し、「NSC国家安全保障会議)で、一時期、大災害時に政府を継続させる計画に関係した仕事を担当したことはありませんか?」と質問したのだ。
 
この計画がCOGプロジェクト
 
公聴会を開いた委員会の委員長だったダニエル・イノウエ上院議員はこの質問を遮り、「高度の秘密性」を理由にして、強制的に終わらせてしまった。
 
1988年になると大統領令12656が出され、COGの対象は核戦争から「国家安全保障上の緊急事態」に変更された。
 
何が「国家安全保障上の緊急事態」かは政府の主観的な判断に委ねられている。
 
この変更によって、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された際に「国家安全保障上の緊急事態」だとすることが可能になり、愛国者法」(Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001/USA PATRIOT Act)が制定されて憲法の機能は停止、現在に至っている。
 
つまりファシズム体制へ入った。
 
アメリカは「国家緊急権」の準備を始めて20年ほどで憲法の機能を停止させ、十数年にわたって憲法を麻痺させた状態を続けている。
 
その経験を踏まえ、日本でも「国家緊急権」を導入しようとしているわけだ。
 
これまで日米支配層が行ってきたことを考えれば、クーデターの準備だと言わざるをえない。
 
大震災や新たな原発事故だけでなく、クーデターを実行するために「非常事態」を演出するということもありえるだろう。
 
ちなみに、東電福島第一原発の事故で政府が迅速に適切な対策を打ち出せなかったのは権力が総理大臣に集中していなかったからではない。
 
原発の稼働が無謀だという事実の隠蔽を含め、情報を官僚が独占し、日頃の準備ができていなかったからだ。
 
本当に日本の安全を考えるならば、秘密保護法を廃止して情報の公開を徹底することから始めなければならない。